第24話

「……っていうか本当にどうやってそれで呼ぶの。そんなトンデモな人いるのかな」

「分からん。でも来てくれるそうだぞ」

「クックック、どうせ空から来るなら美少女を所望するがね?」

「もう、石川さん何を言うんですか! こんな美少女な部下がいるのに何を望むんですか、ハーレム作成ですか!?」


 石川さんは心底不愉快そうな顔を見せた。気持ちはわかる。こんなウザい子が部下なんて。


「……で、その呪文ってのは何なの。空から来る人と呪文ってんならあれしかないよね」

「そうよね。みんなで一緒に!」

「「「バル「言わせねえよ!」


 不死川以外の女子メンバーがこの学校を滅ぼしそうだったので。

 もうなんかこのまま暇してても仕方ないので、さっさと召喚しよう。


「呪文はこうだ。やってみるぞ!」

「おお、来るんだね! イッチーの召喚術! 照明さんお願い!」

「……お天道様を照明係にするんじゃないよ」


 俺は太陽の元、仲間に見守られながら、人生初めての呪文詠唱にチャレンジする。さあ、来たれ! まだ見ぬ仲間よ!


「星降れジン☆ドウ! 星降れジン☆ドウ!」


 チリンチリン、チリンチリン。


「これでいいらしい」

「イッチー、その呪文聞いた時点で誰来るかわからないの?」

「え!? ヨイちゃん分かったの!? どうやって!?」

「恥ずかしいけどなんか乙女チックな呪文だなあとくらいにしか思ってなかったぜ?」

「……どうしようヨイ、この二人天然だ。アホだ」

「日本から出していいのかな?」

「何でそこまで……!」


 シュルルルルルルル!


「ん?」


 いち早く音に反応したのは、戦闘力トップ2の二人。空を見上げている。その視線を追うと、頭上からいくつかのモノが落ちてきていることに気が付いた。


「な、何だアレ!?」

「はい!」


 四十八願はジャンプし、その飛来した物体を空中でキャッチ。取り逃した分は、石川さんがその場で千手観音みたいな動きをして全部確保した。

 太陽光を浴びてきらりと輝くのは、CD‐ROM。

 ゲームソフトが、頑丈な透明のシートを被せられて投げられたのだ。

 それだけではない。俺と剛迫は、そのソフトが何かを瞬時に見抜く。


「こ、これは! 伝説の全力頭球ゲーム!」

「こっちはクソゲー征夷大将軍!」

「あれは親衛隊が出来るほどのソードオブ! なんてこと、全部クソゲー……! まさか!」


 空を仰ぐ。そこには人影が。そしてそのシルエットは明らかに美少女のものではない。


「ワッハッハッハッハッハアーーー!」


 聞き覚えがある笑い声と共に、砂煙を巻き上げて着地した。

 袈裟を纏う、霊峰を思わせる大男。

 全身の隅々にまで雄臭さがにじみ出ている筋骨隆々の肉体。

 こんな人を忘れるはずがない。忘れられるはずがない。


「ワッハッハッハ、太平寺嬢からあらかじめ話は聞いていたぞ! 久しぶりだなお主ら!」


 「天落」。「現在喰いのシーラカンス」。

 レトロゲー風のクソゲーを得意とし、二つ前のクソゲーバトルエクストリームですまいるピエロと戦った漢。


「星見さん!」


 星見 人道(ほしみ じんどう)。

 轟臨。






 星見さんのちょっとした振り返りをしましょう。

 いい歳してクソゲーバトルなんかやっているんじゃねえという当然のツッコミはこの際置いておいて、正々堂々とした、真正面からのクソゲーバトルを良しとするまさに好漢と言うに相応しい男。それが星見 人道だ。

 戦闘力の面でも、あの四十八願をも上回るほどであり、更に全身に悪霊のようなものを纏い操るという訳の分からない形態変化まで存在していると、申し分無いものを持っている。

 人格面でもちょっとエロジジイなところはあるしいちいち物を壊しがちだが、落ち込む剛迫を励ますためにしてくれたことは今でも脳裏に焼き付いている。問題行動はあるが、立派な大人だということだ。

 さあ、要するに。要するにです。

 この男ほど、この旅に最適な人物はいらっしゃらないのです。

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