第71話 魔王「妹の魔王姫と勇者のお兄さん?」

魔王「魔王姫…?」

魔王「魔王姫…妹は…生きているのですか?」

姫「ええ…この城に幽閉していますわ」

魔王「そんな…」

魔王「魔王姫が…生きて…」

魔王「う…」じわ。

魔王「良かった…生きて…」

魔法使い「…」

魔法使い(泣くか…)

魔法使い(まあ…前魔王が死んだこいつにとって、最後の肉親になるわけだから)

魔法使い(無理もないか)

女勇者「嘘だ…! 戦った七魔将軍は確かに全員殺した筈だぞ!?」

女勇者「生きている訳が…!」

魔法使い「いや…可能性はある、そして我らにはそれを確かめる必要はある」

女勇者「何?」

神官妹「妖魔将軍…」

女勇者「…!」

女勇者(そうか…生き返った…妖魔将軍…)

女勇者(まさか…それに姫が関係しているのか?)

姫「妖魔将軍…?」

姫「何の事か知らんが…信用出来ないなら、見てみるか?」

魔法使い(…妖魔将軍を知らない? 誤魔化しているのか?)

女勇者(まあ何にせよ)

神官妹(実物を見てみないと話は始まりませんわね)

魔王「あ、会いたいです、是非、お、お願いします!」

姫「ふ…良いじゃろう」

一同(何より…将軍の誰が魔王の妹だったのか気になる…!)

姫「では案内しようこちらじゃ」


~姫の居城地下~


女勇者「ありがちな場所に幽閉してるなあ…」

女勇者「何で化物とか大物閉じ込める時ってこんな地下じゃないといけないんだろ…」

女勇者「日当たり良好な場所でも良いじゃん、あージメジメしていやだわー!」

神官妹「確かに地下ってカビ臭くて嫌ですわ…」

魔法使い「よくダンジョンとか潜ってた勇者のパーティーがこれぐらいでダメとか鈍りすぎだろう…」

女勇者「えー…もう魔王倒したんだから、そんな苦労しなくて良いじゃん」

神官妹「そうですわ、わざわざ進んで苦労する必要何てこの世のどこにもありませんわ」

魔法使い「お前らな…;」

姫「ここじゃ」

一同「!」

魔王「ここに魔王姫が…」

女勇者(一体…)

神官妹(どの将軍)

魔法使い(なんだ?)

神官姉「はー…」

姫「ふ…商人!」

商人「はい姫様」ギィーーー(大扉を開ける)

一同「!」

神官妹「こ、これが…魔王様の妹」

神官姉「?」

魔法使い「この将軍が…」

女勇者「鉄の巨人…」

女勇者「業魔将軍…!」

女勇者「って一番ガチムチ枠じゃ無いかよ!」

女勇者(…妹がこいつって…)

女勇者(絶対姫の勘違いだろこれって…)

魔王「魔王姫…! ほ、本当に生きてたんだっ!」

女勇者「って! 本当に妹かよっ!!」ビシ!

魔王「え? は、はいそうですが…」

女勇者 (いやいやいや…)

女勇者(これが妹とか、妹舐めてんの!?)

女勇者(つか股間とか…そ、その盛り上がってるし、男だろどー見ても…)

女勇者(流行りの女の子みたいな男、男の娘だから妹とでも言いたいのか?)

女勇者(いやいやいやあり得ないから…ガチムチマッチョが男の娘です、キャピン☆って言ってああ男の娘だって納得する奴いるか? いないだろっ!)

女勇者(と言うかそんな事以前に)

女勇者「首切れてるのに生きて無いだろ、これ…」

業魔将軍「…」

業魔将軍「…!」

業魔将軍「その声…お兄さま…お兄さまなのですかっ!?」

女勇者「って!? 首切れてるのに何か生きてるー!? しかもこんな見ためなのに声だけめっちゃ可愛いっ!?」

神官妹「そう言えば…業魔将軍って一言も喋らなかったけど…こんんな声だったのね…」

魔法使い「それにしても…」

神官姉「確かに妹…声だけ…なら」

女勇者「いやいやいや…無いからっ! これが妹とか絶対無いから!」

魔王「ゆ、勇者さん、僕の妹が無いとか言わないでください…!」

女勇者「あ…ごめん」

業魔将軍「ゆ、勇者、女勇者…? そこに勇者がいるのですか?」

魔王「え? うんいるけど…」

業魔将軍「…! おのれ女勇者! 私はこんな目に合わして、さらにお兄さまを手を出そうと言うのっ!?」

女勇者「え、いやいや…」

業魔将軍「許せない…女勇者…殺してやる…!」ゴゴゴ。

女勇者「こ、こんな状態で動く…のか!?」

魔王「魔王姫…!」

業魔将軍「はあああ…!」ゴゴゴ。

魔法使い「凄い魔力だ…!」

神官妹「ほ、本当に…」

女勇者「ちょっと…こいつ動くぞ! ちゃんと幽閉しておけよ!」

姫「ふん…問題ないわ」

女勇者「え?」

業魔将軍「はあああ…」ゴゴゴ。

業魔将軍「はああ…」ゴゴゴ。

業魔将軍「…」ゴゴゴ。

女勇者「? 何だ…?」

魔王「ど、どうしたの…魔王姫」

業魔将軍「うう…」

業魔将軍「…も、申し訳ないですお兄さま…体が壊れて…いくら力を込めても動かないんです」

魔王「そ、そうなんだ…無理しないでね」

業魔将軍「ああ…こんな不甲斐ない不肖な妹にそんなお気遣いしてくれるなんて…相変わらずお優しいお兄さま…ぽっ」

女勇者「ガチムチな上に切断された首で頬を染めるな気持ちわりぃ…」

業魔将軍「うるさいですわっ! 貴女がこんな姿にしたのでしょう!」

業魔将軍「しねっ! 死になさい女勇者っ!」

女勇者「は? やだしベロベロ~ばぁ!」

業魔将軍「ムキー!」ゴゴゴ。

姫「まあおふざけはそこら辺にして…」

姫「と言う事で、魔王様の大事な妹は我らの手の内、もしも荒れ果ての地の街の全権を渡さなければ、妹は処刑します」

姫「理解出来ました?」

魔王「…! そ、そんな…」

姫「ふふん…どうしますか?」

神官妹(なるほど…姫は魔王の身内の命切り札にしてたから…あんなに強気だったのね)

魔王「あ、あの!」

姫「あら何かご不満でも?」

魔王「魔王姫の、その処刑する理由は何なのでしょうか!」

姫「は?」

魔王「そ、その…処刑する理由です」

姫「まず気になるところがそこか?」

姫「相変わらず変な奴じゃのう…」

姫「まあ理由なんぞ関係ないと思うが…」

姫「業魔将軍…魔王姫は、我が国民一千万を虐殺したのだ」

姫「処刑するには充分な理由があるだろう」

魔王「そうですか…それは、そう…ですよね…」

業魔将軍「お兄さま…お、お兄さまは気にしないでくださいっ!」

業魔将軍「私が勝手にやっただけなのです…お兄さまが気にする必要はありません」

魔王「でも…たぶん戦わなければ…僕を殺す…そう父上に言われてやっただけなんですよね?」

業魔将軍「…! そ、それは…」

魔王「やはり…そうでしたか、なら魔王姫が一千万も王国の民を虐殺してしまったのは僕のせいです」

魔王「魔王姫に罪はありません、僕を処刑してください!」

姫「は、は? いやそんな事しても…」

業魔将軍「止めて…止めてお兄さま…」

業魔将軍「…おのれっ…性悪な人間めっ! これ以上言うな、お兄さまはお前たち低俗な人間にも慈悲をかけてしまうお優しい性格なのだっ!」

業魔将軍「それにつけこむとは…卑怯ものめっ!」

業魔将軍「殺すなら私を殺しなさいっ!」パカー。

女勇者「…! なんか業魔将軍の胸が開いたら美少女出てきたー!?」

神官妹「なるほど妹だわ…」

魔法使い「自らをコアにして動かすゴーレムだったのか…」

神官姉「魔王…ちゃんの妹ちゃん…将来の…義妹…可愛い…!」

姫「ふん…捕まってから一度も出てこなかったのに、流石に兄妹と言ったところか…」

女勇者「おい、何だよあの妹は…つかあっちが本体なら、業魔将軍の体捨てりゃー良いじゃん!」

魔王「いえ…妹は過剰魔力体質なので体が昔から不自由なのです」

女勇者「かじょーまりょくたいしつ?」

魔法使い「体が耐えられないほどの過剰な魔力を持つことだ」

魔法使い「過ぎた魔力のせいで体中の弱い神経に負荷がかかって損傷し体が不自由になると言った、魔力系の病気の一種だ」

女勇者「へー…そんなのあるんだ…」

魔法使い(分かってないだろ…こいつ)

神官妹「でも人間でも珍しい病気なのに、基本人間より身体能力が高い魔族でもかかるなんてもっと珍しいわね」

魔王「はい、魔王姫は生れた頃から他の魔族より体が弱くて…だから小さい頃からあんな感じに代わりの体に入って普段の生活をしていたのですが…」

女勇者「はあ? じゃあそんなに特徴知ってるなら業魔将軍が妹だってすぐ分かったじゃん」

魔王「え? いえいえ、僕が眠る前はもっと可愛らしいゴーレムに入っていたので、あんな凶悪なのになってたなんて知りませんでしたよ…」

女勇者「? 見た瞬間妹だって分かってたじゃんあんた」

魔王「いや…それは実物みれば、ずっと一緒にいた兄妹ですし、魔力を見るだけで分かりますよ…」

女勇者「あっそ…」

女勇者「ともあれ病弱系妹キター! 不自由な妹にお世話したいっ!」

神官妹「最近貴女明け透け過ぎない…?;」

女勇者「まあ細かい事は置いといて、とりあえず魔王姫を助け出せば万事解決だろ?」

神官妹「ですわね」

魔法使い「そうだ、姫の条件など魔王姫を助け出せば聞く必要は無い」

魔法使い「馬鹿め近づけさせ過ぎたな…」

女勇者「っつう訳で可愛い妹ちゃんは返して貰うぜ!」ダンッ!

魔王「あ! 勇者さん待ってください…!」

姫「…」

姫「ふん」ニヤリ。

魔王姫「お、女勇者が私を助けるなんて…ど、どう言う風の吹き回しなのっ!?」

女勇者「お前が幽閉されている間に随分状況は変わったんだよ」

女勇者「とりあえずこれから切り離すぞ?」

魔王姫「く…女勇者に助けられるなんて屈辱…」

女勇者「まあそう言うなって…行くぞ、ハア!」

キィーーーーーン!!

女勇者「!?」

???「へっ…!」

女勇者「ば、馬鹿な…お前は…」

女勇者「戦士っ!?」

戦士「よお久しぶりだな…女勇者」

女勇者「お、お前まさか…姫側に?」

戦士「おいおいおい…勇者がそれを言うか?」

戦士「俺たち勇者のパーティーは王国に仕えるためにあるんだよ」

姫「ほほほ…」

女勇者「く…!」

戦士「それにしても随分勇者らしさ戻ってきたじゃないか女勇者…」

女勇者「何…?」

戦士「妖魔将軍を拷問してた時の薄汚いお前は勇者じゃ無かった…」

戦士「あの時のお前は、俺が助けてやった時見たいに、ただひんひん泣いてた時の薄汚いガキの頃と変わらなくなってたからな…」

女勇者「く…いつまでも昔の事を…///」カー。

女勇者「そ、そんな事今は関係ないだろっ!

戦士「いやあるね! 大いにあるね!」

戦士「勇者は、勇者に選ばれた者は清く正しく美しく、そんな白き純白のような絶対の無垢な存在じゃないといけないんだ…!」

戦士「そう勇者は正義! 世界の光! 勧善懲悪の必ず善側になる存在…勇者は…勇者はそうでなければいけないのが、この世の絶対真理!」

戦士「お前は…勇者なのだから…勇者に撰ばれたのだからそうあるべきなのだ!」

戦士「俺は! 勇者とはそうあるべき存在じゃないと嫌なんだっ!」

戦士「だからお前が誰かのために戦うような、そんな勇者らしい行動をしてるのが嬉しいんだぜ…?」

女勇者「キモ…相変わらずの鬱陶しいまでの勇者概念の押し付け…ホントキモいわ…」

魔王「こ、この人は…?」

神官妹「私たち勇者パーティーの最後の一人戦士ですわ…」

神官妹「見ての通りの【勇者マニア】で、妖魔将軍を拷問した女勇者があまりに自分が思い描く勇者像とかけ離れ過ぎて、それに絶望してパーティーから去っていたのですが…」

神官妹「まさか姫側についていたなんて…」

戦士「さあ女勇者! もっと正しい事をして、もっともっと勇者らしくなるんだっ!」

女勇者「だからー! アタシは勇者の前に人間何だよっ! 勇者らしいとか…そんなイイコちゃんの真似事なんてできっかよ!」

戦士「おー…ダメだ…ダメだダメだダメだ…勇者がそんな汚い言葉を使っちゃ?」

戦士「勇者はもっと人に勇気を与えるような言葉を遣いしなくちゃって、兄ちゃんいつも言ってただろ?」

女勇者「キモ! 本気でキモい! いつまでも兄貴ヅラしてンじゃねーよっ!」

魔王「あ、兄?」

魔法使い「何でも女勇者は小さい頃に戦士に助けられた事があって、それから兄妹のように、支えあって暮らしてきた時期があったと聞いた事があるぞ」

魔王「勇者さんにそんな事が…」

魔王「でも凄い仲が悪いような…」

神官妹「昔から戦士は女勇者に無理矢理 自分の勇者像を押し付けてた見たいですからね…」

神官妹「その反発からか、一緒に冒険を始めた当初からもう女勇者は戦士の事は相当嫌っていましたわ」

魔王「そ、そうなんですか」

女勇者「ちっ…邪魔するとマジで容赦しないよ!」

戦士「素晴らしい言葉だ! 仲間思うための怒りの言葉、それでこそ勇者だ!」

女勇者「ち…!」

戦士「だが…」

女勇者「あん?」

戦士「だが…その対象者が魔族なのは、お兄ちゃん感心しないなぁー…」

戦士「勇者は人間を守ってこそ勇者だ!」シュタ。

魔王姫「ひっ…」

女勇者「てめー! 何をっ!?」

戦士「何って簡単な事さ、目の前でこいつを殺して、勇者は誰が敵で誰を守る存在なのか…それをはっきりと思い出させてやるんだよ~~」

女勇者「て…めっ!」

戦士「おいおいおい…どうした女勇者…?」

戦士「魔族はお前の仇だろ? そのお前がどうしてこんなやつの命なんか気にするんだ?」

女勇者「…!」

女勇者「そ、れは…」

女勇者「…」

戦士「そうだ…お前はこんな奴の命を気にする必要は無い」

戦士「そう気にする必要は無いんだ」

戦士「何故なら勇者が魔物を倒すのは必然だからだ!」

戦士「それが勇者の…世界にあるべき姿何だ!」

女勇者「アタシは…」

戦士「悩む必要は無い」

戦士「それが世界の」

戦士「常識なのだから」

女勇者「…!」

女勇者「だから…そんな常識…押し付けんなっ!」ダッ!

戦士「馬鹿め…!」

魔王「待ってくださいっ!!!」

戦士・女勇者「「!?」」

戦士「あ?」

女勇者「な、何だよ魔王…アタシはこれからあんたの妹を…」

魔王「助ける必要はありません」

魔王姫「…!」

戦士「!」

女勇者「何だ…って?」

魔王「助ける必要は無いと言ったのです」

女勇者「お前…それどう言う…」

魔王「…」


続く

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