第63話 魔王「お節介します!」
神官妹「え!? 女勇者が魔族の子供を切って逃げちゃったっですって…!?」
魔王「ええまあ…」
神官妹「そ、それは…参ったわね…」
魔王「はい…それでこの問題を解決出来ないか、神官妹さんにご相談したかったのですが…」
魔王「何か魔族子供♀さんと仲直り出来る方法無いでしょうか?」
神官妹「確かに魔族子供♀と気不味くなってこの場所に来れなくなっているなら…それは何とかしないといけませんよね」
魔王「はい」
戦魔将軍「魔王様…! 何とかなどと…そんな生ぬるい事でこの件は済ましてはいけませんぞ!」
戦魔将軍「敵対する種族とは言え子供に手をかけるなど…勇者の風上にもおけんやつ…!」
戦魔将軍「厳しい対応お願いするでござる!」
魔王「分かってます…しかし今はそれは置いといて…とにかく今は勇者さんに戻ってきて会話の場に立ってもらわねば話が進みません」
魔王「だからまずはそこから始めましょう…」
戦魔将軍「左様で御座いますか…むうう…まあ分かりました」
魔王「さて…どうやったら勇者さんは素直にここに来てくれるか…」
神官妹「ですわね…結構頑固なところがあるから、一度そうなると私でも三ヶ月くらい口を聞いてくれなくなることもありますからねー」
神官妹「それにしても…」
魔王「?」
神官妹「まさか女勇者にそんな過去があったとはね…うーんそれはひねくれますね…」
魔王「ひねくれるって…;」
魔法使い「全く馬鹿な奴だな…魔族が憎いなら憎いと、素直になれば良いのに変なところでこだわっているからややこしい話になるんだ」
魔法使い「まあ…裏切られた奴らのために魔族と戦ってるとは思いたくなかったと言うのは分かるがな…」
魔法使い「家族が殺されても、私とは全く真逆の状況だったと言う訳か…」
魔法使い「…ふん、そうならそうと早く言えば良いものを…だからあいつはクズなのだ」
魔法使い「本当に早く言えば良いもの…ふん///」
魔王「魔法使いさん…」
神官妹「まあ…それはそれとして、女勇者が今まで火を嫌ってたのは…得心いきましたわ」
神官妹「なるほど…妹を焼き殺された光景を見せつけられてかたから…そんな恐ろしい事を思い出したくなくて、嫌だったのですね」
呪族の幼女「なるほどそんな訳があったのか…」
一同「!」
神官妹「あなたいつの間に…」
神官妹「と言うか喋るの上手くなりましたね」
呪族の幼女「当たり前じゃ…、急にこのような姿にされたから、慣れてなかっただけじゃからな」
呪族の幼女「本当の幼女と違って、これでも三千年生きてるのだから、お前らより言葉は知っておるわ!」
呪族の幼女「それより女勇者が火に弱い訳がわかってわらわもスッキリしたぞ」
呪族の幼女「あの時は、可愛い女勇者を責めるだけで聞いていたからそんなには興味が無かったが…」
呪族の幼女「いざ聞けない状況になると…気になって気になってしょうがなかったからの」
呪族の幼女「じゃから今はとてもスッキリした気分じゃ…誉めてつかわすぞお前ら」
神官妹「偉そうなガキね…」
呪族の幼女「…お前のような性格ブスは好みじゃ無いから、口の聞き方に気を付けんと、元に戻った時呪い殺すぞ」
神官妹「何よ女勇者だってかなり性格悪いじゃない!」
呪族の幼女「いいや女勇者はお前より全然綺麗な心しておる」
神官妹「ふーん」ピキピキ。
神官妹「あらそう!」スパーン!
呪族の幼女「ぎゃ!」
神官妹「心がっ! 汚くて! すみませんねっ!」スパーン! スパーン! スパーン!
呪族の幼女「いちゃ…いちゃいっ! いちゃいっっっ!!」
神官姉「言葉遣い…戻った…」
魔王「は、はは…た、大変ですね」
呪族の幼女「おのれが力を奪ったせいじゃろがっっっ!!」シュバ!
魔王「僕の髪ーっ!?」
神官妹(固くても髪は切れるんだ…)
呪族の幼女「ふん…これだから男は…今度ふざけた事言ったら坊主にするからなっ!」
魔王「よ、よく分かりませんが分かりました。気を付けます」
魔王(ひいい…呪族の王女さん(子供)怖いよ…)
魔王「え、えーと…それで何の話をしてたんでしたっけ」
神官姉「勇者が…火に…弱かった…理由」
魔王「そ、そうでしたね。勇者さんは妹を焼き殺された光景を見て辛くなると…」
魔王「…?」
魔王(あれ…何か…おかしく無いか?)
魔王「…!」
魔王「あ、あの皆さん! 皆さん女勇者さんを会話の場に出てきて貰える方法を思い付いたのですが!」
一同「…!」
神官妹「そ、それはどういう…?」
魔王「はい…実は」
魔族子供♀「…」コソ。
魔族子供♀(私のせいで大変な事になっちゃった…)
魔族子供♀(私のせいだ。私があの時、間に入らなければ…)
魔族子供♀(だから私が何とかしなきゃ…)ヨロヨロ。
魔族子供♀(っ痛…!)
魔族子供♀「…はあはあ」
魔族子供♀「…!」キッ!
魔族子供♀「…私が…何とか」ヨロヨロ。
女勇者「…」こそ。
女勇者(魔族子供♀どうなったのかな…?)
女勇者(い、いや別に魔族何かどうでも良いけど…)
女勇者(一応自分が手にかけた奴の生死ぐらい気にしなとアレだしな…うんアレだからな…)
女勇者(そう…だから死んじゃいないと思うけど…アレだから見に行かないといけないよな)
女勇者(だからこれはお見舞い的なアレじゃ無いんだからな…!)
魔族子供1「お、おい聞いたか!?」
女勇者(ん? あれは死んでも良いむかつく魔族のガキ…)
女勇者(何か慌てているみたいだけど…何かあったのか?)
魔族子供2「どうしたんですか?」
魔族子供1「魔族子供♀が病室に立て籠っちゃったって!」
女勇者 (…は?)
魔族子供1「何でも女勇者が来ないと、治療を受けないとか騒いでるとか!」
女勇者(な、何だそれ…)
魔族子供2「マジですか!?」
魔族子供1「ああ、しかも無理しているから命に関わるみたいだぞ!」
女勇者「!」
魔族子供1「だからブス勇者探してるんだけど、お前何処にいるか知らないか…ん?」
魔族子供2「どうした?」
魔族子供1「いや今そこに…誰かいた?」
魔族子供2「え? さあ」
女勇者(何やってんだあいつは…!)タタタ。
女勇者(あいつの病室は…ここか!)
女勇者(魔族子供♀…今)
女勇者(…! で、でもアタシは…魔族子供♀にあんな事を…)
女勇者(でも早く行かないと、魔族子供♀の命が…)
女勇者「~~~」
女勇者「えーいっ! ままよ」バーン。
女勇者「魔族子供♀!」
魔王「待ってましたよ勇者さん」
女勇者「なっ! 魔王…!」
神官妹「全く勝手に何処か行かれましたら困りますわ、ホント」
女勇者「神官妹…! 戻っていたのか…」
魔法使い「遅いぞクズが」
女勇者「魔法使いまで…これは」
女勇者「くそ…嵌めやがったなっ!」ダッ。
魔王「待ってください勇者さん!」
女勇者「待つかばーか!」
魔王「魔族子供♀さんが心配で来ましたね!!」
女勇者「!」
女勇者「…は、はあ? 魔族何か死ねば良いって思っているアタシがそんな訳無いだろ…」
魔王「それは嘘ですね…」
女勇者「嘘じゃねーよ!」
魔王「じゃあ何でここに来たのですか!」
女勇者「…!」
魔王「何で来たんですか?」
女勇者「そ、それは…」
女勇者「えーと…まあ」
女勇者「アレがアレだったから…その」
魔王「アレ?」
魔王「アレって何ですか?」
女勇者「え、あ、あ~アレは、その…」
魔王「その?」
女勇者「えーと…」
女勇者「うう…///」
魔王「勇者さん?」
女勇者「ううう…るっせーなっ! ばかっ! アレ何か知るかっ!」
魔王「逆ギレ!?」
女勇者「ううう…///」
魔王「…こほん、勇者さん貴女は魔族子供♀さんが心配でここに来ましたね?」
女勇者「…違うし」
魔王「魔族子供♀の命が関わる事だったからいても立ってもいられなくなって」
女勇者「…違うし」
魔王「魔族子供♀さんが好きだから…」
女勇者「違うし…」
女勇者「違うし、違うし!」
女勇者「根拠も無いのに勝手な事を言うんじゃねーよ!」
魔王「根拠はあります!」
女勇者「は、は? 何唐突に言い出してるのこいつ…」
女勇者「じゃあ何だよその根拠って」
魔王「根拠…それは貴女が火を苦手にしてるところです!」
女勇者「…!」
女勇者「…余計意味が分かんないんだけど…」
魔王「僕はずっと考えてました…何故勇者さんは、魔族が大嫌いなのに魔族子供♀さんとだけは仲良くしてたのか…」
女勇者「別に仲良くなんて…」
魔王「…それは、貴女が魔族子供♀さんを妹に重ねてたからです!」
女勇者「!」
女勇者「…」
女勇者「それこそ意味が分からないんだけど…」
魔王「いいえ…貴女は魔族子供♀さんを亡くなった妹さんに重ねてました」
魔王「絶対です」
女勇者「だから、何でアタシを売ったやつ何かそんな風に思わなきゃいけないんだよ」
女勇者「あんなゴミ…! 食われて清々したわ…」
魔王「それも嘘ですね」
女勇者「だから何でだよ!」
魔王「それは貴女が火を見て苦しむ事です!」
女勇者「!」
魔王「もしも本当に清々してるなら、妹さんが妖魔将軍に焼き殺されても何も感じなかったハズ…」
魔王「でも貴女は火を見る度に苦しい思いをしている」
魔王「それは、妹を見殺しにした事を本当は後悔してたからじゃ無いですか?」
女勇者「!」
魔王「裏切られても妹の事を嫌いになりきれなかったからじゃ無いですか!?」
女勇者「!」
魔王「自分に懐いていた妹が大好きだったんじゃないですか?」
女勇者「!」
魔王「そしてそれは今でも…」
女勇者「…く」
魔王「だから自分に懐いてくれる妹のような存在だった魔族子供♀さんが、例え大嫌いな魔族でも好きになってしまった…」
魔王「そう貴女は魔族子供♀さんが好きなのです」
魔王「違います?」
女勇者「…」
女勇者「勝手な事を言いやがって…」
魔王「…女勇者さん」
女勇者「全部お前の勝手な妄想だろうがっ!」
女勇者「またお前はっ! …分かってもない癖に………余計な事しやがって…」
魔王「分かってない…かもしれません…」
女勇者「だったら…!」
魔王「でも余計な事はします!」
女勇者「!」
魔王「何も知らないのにおこがましいかも知れません…」
魔王「もしかしたらとんでもない間違いをまた僕はしているかも知れません」
魔王「でもそれでも、友達の為に必死に悩み何とかしてあげようって気持ちが全て間違っているとは僕には思えません!」
女勇者「だからそれが余計なお世話だって…」
魔王「はい! 余計なお世話させて頂きます!」
女勇者「…はあ?」
女勇者「な、何開き直ってんだよ…それが間違ってたらどうするんだよ…」
魔王「間違ってたら、間違っている事はちゃんと言ってください」
魔王「間違ってたらまた考えますから」
魔王「友達の勇者さんの為に!」ニコ。
女勇者「!」
女勇者「…」
女勇者「何だよ…それ、めちゃくちゃだろ…」
魔王「かも知れませんね」
女勇者「だから開き直るなって…腹立つ」
魔王「すいません」
女勇者「…」
女勇者「…」
女勇者「あ…」
魔王「ん?」
女勇者「…」
魔王「勇者さん?」
女勇者「…」
女勇者「…でも、あんなことしてアタシ」ジワ。
魔王「…!」
女勇者「もう会わせる顔無いよ…」ポロポロ。
魔王「女勇者さん」
魔王「…謝りましょう」
女勇者「許して…くれるかな?」ポロポロ。
魔王「…大丈夫ですよ」
女勇者「ほんと?」
魔王「ほんとです! だって魔族子供♀さんだってきっと女勇者さんが好き
なんだから」
女勇者「…そうかな」
魔法使い「…ええいウジウジクズらしくないっ!」
女勇者「魔法使い…」
魔法使い「全くいつまでもグズグズして…もうクズじゃなくて…今日からグズだな…いいからとっとと謝ってこい! …ふん///」
女勇者「う、うっせーな! お前なんかに言われなくても…」
女勇者「謝れば良いんだろ! 謝れば!」
魔法使い「そうだ馬鹿…ほら早く行け!」
女勇者「…ちっ偉そうに…」
魔法使い「泣き虫より偉いだろう」
女勇者「!!///」
女勇者「てめっ…く…ばっ!!///」
魔法使い「まさかお前のあんな可愛い一面が見れるとはな…」
魔法使い「許してくれるかな?(女勇者の真似)」
女勇者「~~~っ!?!?///」
女勇者「う、ううううう~~~っ!///」
魔王「ま、まあ落ち着いて勇者さん、ほら魔法使いさんもせっかく行く気になったんだから…」
魔法使い「そのグズがとっとと行かないからいかんのだ。ふふん」
女勇者「…てめー後で覚えてろよ…」
魔法使い「忘れた」
女勇者「きぃーっ!」ブンブン。
魔王「だ、だから魔法使いさんからかわないで…;」
戦魔将軍「待って下さい魔王様!」
魔王「何ですか? 戦魔将軍さん」
戦魔将軍「まさかこれで勇者のやった所業を許すのですかっ!?」
戦魔将軍「厳しく対応するのでは?」
魔王「貴方が言いたい事は分かります」
戦魔将軍「ならっ…!」
魔王「ですが厳しくするかどうか私でも戦魔将軍さんではありません」
魔王「それを決めるのは魔族子供♀さんです」
戦魔将軍「!」
魔王「魔族子供♀さんが許すと言うなら、私たちがそれ以上どうこうする話じゃありません」
魔王「後は当人同士の問題です…分かりますね?」
戦魔将軍「それは…く、確かに」
戦魔将軍「で、ですが…もしも魔族子供♀が勇者を殺すと言ったら儂はやりますぞ!? それだけはお忘れなく」
女勇者「良いよそれで」
戦魔将軍「何っ!?」
女勇者「アタシも覚悟を決めたよ」
女勇者「うん…もしも魔族子供♀が死ねって言うなら…うん死ぬよ」
戦魔将軍「なっ…なっ…」
魔王「勇者さん…」
魔王「…大丈夫、きっと魔族子供♀さんは許してくれますよ」ぎゅ(女勇者の手を握る)
女勇者「…!」
女勇者「…う、うん///」
神官妹「はあ…死んだら凄い困るんだけど、まあ…何と言うか…本当に女勇者は変なところじゃ甘いんだから…外道勇者の癖に」
呪族の幼女「じゃから女勇者の心はお前より綺麗じゃと言ったろ?」
神官妹「…」スパーン!
呪族の幼女「ふぎっ!」
女勇者「よ、良しじゃあ謝ってくるぞ…」
女勇者「…それで魔族子供♀は何処に?」
魔王「…」
魔王「…え?」
女勇者「…え、じゃないよ」
魔王「いやあのえーと…魔族子供♀さんは病室ですよね?」
神官姉「ここ…魔族子供♀の…病室」
魔王「じゃあ誰か移動させたのですか?」
一同「…」しーん。
魔王「え?」
続く。
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