第41話 魔王「魔界に花を咲かせたい」

参謀「さて…」

女勇者(参謀が何でここに…! つーか強化魔法の光でバレるバレる…!)

女勇者「おい! …どうするんだよ神官妹…!」ヒソヒソ。

女勇者「っていない…! あんのやろう…」

参謀「ん?」

女勇者(もうダメだ…! こ、こうなったら玉砕覚悟で…!)

呪族の幼女「…!」

女勇者(な、何…? 呪族の幼女から黒い何かが出て…光を隠した…!?)

女勇者 (こ、これこいつがやったのか…?)チラ

呪族の幼女「…」ニコ

女勇者(呪族の幼女~お前ってやつは…)ジワ

呪族の幼女(ふん…女勇者はわらわの嫁にするから死んでは困るからの…)

呪族の幼女(それに、それをするには何がなんでも女勇者には魔王を殺してもらって力を取り戻さないといかんからの)

参謀「おや?」

参謀「ふむ……ふふ」

女勇者(笑った…?)

参謀「魔王様は今日も天使のような寝顔で寝ていらっしゃる」

女勇者(魔王が天使の寝顔ってなんだよ…)

参謀「…今日も御安眠頂いているようで、安心しました」

参謀「さて私も寝るとしますか…」

参謀「お休みなさいませ魔王様…」ドサ

ドア「ガチャ、キィーガチャガチャ、バタン」

女勇者「ふう…何とかなったな…」ヒソヒソ。

女勇者(つーか毎晩魔王が安眠してるかどうか寝顔見に来てるのかよ…参謀キモ!)

女勇者(ん? 何か参謀の奴落としていったぞ…これは本?)ヒョイ。

女勇者(見たこと無い字だ…魔族の言葉か?)グイグイ

女勇者「ん?」

呪族の幼女「ん!」頭をつきだす

女勇者「何だよ…」ヒソヒソ

呪族の幼女「わらわのおかげで、たすかったのぢゃから、なでろ!」ヒソヒソ

女勇者「は? 頼んでねーし、つーかあそこでやらなきゃお前だって困る自体になってたんだからやって当然お互い様だろ?」ヒソヒソ。

呪族の幼女「んなっ!」

呪族の幼女「うぅ~! こんなときくらい、ごほうびくれたっていいだろ! ゆうちゃのばかっ! あほっ!」

女勇者「ばっ! うるせっ静かにしろ!」ヒソヒソ

魔王「うーん」寝転がり

女勇者「!」

呪族の幼女「!」

魔王「…」

魔王「スヤスヤ」

女勇者・呪族の幼女「ほっ」

女勇者「呪族の幼女~?」にっこり

呪族の幼女「な、なに?」

女勇者「そんなに頭撫でて欲しいならやってやるよ」ニィー

呪族の幼女「あ…えっと…もういい」ヒソヒソ

女勇者「遠慮するなよ」ヒソヒソ

女勇者「オラオラ!!」グリグリ(ウメボシ)

呪族の幼女(!!!! 撫でてない! それ撫でてないから!!!!)

呪族の幼女(と言うか強化した剣が近くて恐いっっっ!!)

女勇者「はあはあ…たくよー…今度うるさくしたら、この強化した剣お前に投げつけるからな…」ヒソヒソ

呪族の幼女「うう…ゆうちゃはひどいのぢゃ…こんなにわらわが、あいちているとゆうのに…」シクシク。

女勇者「それがキモいって言ってんだよ!」ヒソヒソ。

呪族の幼女「ん? このほんは…」

呪族の幼女「ふむふむ…ほお…これはまたずいぶんふるいもじのほんぢゃのう…」

女勇者「…読めるのか?」

呪族の幼女「わりと…ふむふむ」

女勇者「へー何て書いてあるんだ…」

呪族の幼女「いまよんでいるところぢゃ、…! これは…!」

女勇者「な、何だ! 何が書いてるあるんだっ!?」

魔王「うーん…ふぁ、誰か…いるのですか?」ムク

女勇者・呪族の幼女「!?!?」

女勇者「…!」聖剣を投げる

魔王「え…?」

カッ!

スドーーーーーーンっっっ!!

ズズズズ…。

呪族の幼女「ゲホゲホっ! ば、ばかものっ! いきなりなげるやつがあるかっ! しぬかとおもったぞ…ゲホゲホ…」

女勇者「う、うるせえな! あの場合しょうがないだろ…」

呪族の幼女「しかしすごいいりょくぢゃったの…」

呪族の幼女(城に大穴が開いて、さらにその先にあった山まで消し飛んだぞ…)

女勇者(これならさしもの魔王も…)

魔王「げほっげほっな、何だ…何が起きたんだ?」

女勇者・呪族の幼女「!」

女勇者 (あ、あれで…)

呪族の幼女(無傷じゃと!?)

魔王「わっ壁に大穴が開いてる!? と言うか僕の部屋が半壊している!?!?」

魔王「何があったんだ…ん? これは勇者さんの聖剣…?」

女勇者「!」

魔王「ん? 勇者さん何故ここに…そして聖剣があると言う事は…」

女勇者(不味いバレた!?)

女勇者(く…流石に殺ろうとしてるのがバレたらあいつも怒るか…?)

魔王「まさか僕の部屋でうっかり聖剣を投げてしまったのですか!?」

女勇者「え?」

女勇者「…あーうんそうなんだ…お前が寝ている方向に蚊が飛んでたからそれで投げたんだ」

魔王「…! 僕が蚊に刺されないようにと退治を…!?」

魔王「あ、ありがとうございますっ! 何だかんだ言って勇者さんって優しいですよね!」ニコ

女勇者「…!」ドキ

女勇者「べ、別にそんなたいした事じゃねーよ」

魔王「いえいえ! 僕もいずれは勇者さんのような気遣いも出切る立派な男になって見せます!」

女勇者「…今何て?」

魔王「え? だから勇者さんのように立派な男になると…」

女勇者「…」ガンガンガン!

魔王「わ、ちょ! な、何をするんですか…また僕の頭を聖剣で軽く叩いて」

女勇者「…」ガンガンガン!

魔王「ゆ、勇者さん?」

女勇者「…」ガンガンガン!

魔王「無表情なのは…ちょっと恐いですけど…もしかして怒ってます」

女勇者「…」ガンガンガン!

魔王(うーん僕はどうしたら良いんだろ…)

呪族の幼女(あの魔王は強いけど…絶対にあほぢゃ)

呪族の幼女(しかし参謀の持っていた本…)

呪族の幼女(こんな本この魔王城にあったとはのう…)

呪族の幼女(なるほどそう言う事か…参謀め…くくく)


~後日~


魔大工「おらそこの若いのキリキリ働けや!」

弟子「へいっ!」

商人「下位魔族と和解出来て良かったですね」

魔王「本当です…! これも商人さんのおかげです…本当にありがとうございました」

商人「いえいえ…少しでも魔王様のお力になれて私も嬉しいです」

神官妹「ぐぬぬ…おのれ商人め…」

神官妹「女勇者! 何とか魔王を倒す方法は無いのっ!」

女勇者「ない、つかまた一人で逃げた癖に話しかけんな」

神官妹「まだそんな事で怒ってるの?」

神官妹「いい加減慣れなさいよ!!」

女勇者「逆ギレされた!?」

女勇者「つーか聞かなくても分かるだろ…最大まで強化した攻撃でも無傷だったんだぞ…」

女勇者「あんだけ時間かけて1もダメージ与えられないやつをどーやって倒すっつーんだよ」

女勇者「もー無理…無理無理無理」

女勇者「倒せる方法があるなら逆に聞きたいわ」

神官妹「ですよねぇ…」

女勇者・神官妹「はあ」

魔王「…」

戦魔将軍「魔王様」

魔王「? どうしました戦魔将軍さん」

戦魔将軍「言われた通り、街の復興と、荒れ果ての地周辺の開拓ほぼ終わりましたが…」

戦魔将軍「次は何をしましょうか?」

魔王「ご苦労様です戦魔将軍さん」

戦魔将軍「はは!」

魔王「それで次は…う~ん」

魔王(大分荒れ果ての地も、開拓されてきましたね…)

魔王(ここには近くに呪族の王女さんの古城もあるし、是非ここは商人さんが言う人間の魔界観光ツアーの目玉の街にしたいところですね)

魔王(しかしそれをやるには少しここは…)

魔王「…」

戦魔将軍「魔王様?」

魔王「花を咲かせたい」

戦魔将軍「は?」

魔王「花ですよ花!」

戦魔将軍「は、はあ…」

魔王「ここは元荒れ果ての地だけあって、草木が全くないと思いませんか?」

戦魔将軍「左様で御座いますなぁ…」

魔王「いずれ人間さんたちの観光名所にするならあまりに見窄らしい光景だと思いませんか?」

戦魔将軍「かもしれませんが…魔界ですから荒廃とした景観の方があっていませんか?」

魔王「ダメです! 綺麗な方が人間さんだって観光したくなると思いますし、絶対そっちの方が良いです!」

商人「戦魔将軍様の魔界の本来の姿を見せたい、と言うのは確かに魔界らしさアピール出来て良いかと思いますが…」

戦魔将軍「む…商人」

商人「それはそれ、これはこれと言う感じに」

商人「寝泊まりするようなところは魔王様が言うように癒されるように緑溢れる景観にし」

商人「その他魔界を象徴する観光場所は戦魔将軍様の言う通り、魔界の荒々しさを見せるため、そのままにして見てはいかがでしょうか?」

戦魔将軍「ふむ…商売ごとは正直疎いのでよくは分からんが…その方が良いのか?」

商人「はい、元々魔界と言う名前だけで行く価値のある上に、泊まる場所でも最上の癒しを与えることが出来れば、かなりの可能性でリピーターになってくれると思います」

戦魔将軍「りぴ…りぴー何だって?」

商人「また来てくれるお客様の事ですよ」

戦魔将軍「ふむ…まあ良く分からんが、魔王様が良いと思うなら儂はそれに従うだけだ」

戦魔将軍「しかし魔王様」

魔王「何ですか?」

戦魔将軍「儂は人間界に言った事があるので分かりますが、人間界の植物は魔界の植物とは比べ物にならないくらい美しいでござるぞ?」

魔王「そ、そうなんですか?」

戦魔将軍「はい、なので魔界に生えるようなおどろおどろしい植物を生やしまくっても逆に景観をそこなうだけかと思いますが?」

魔王「そ、そうなんですか…じゃあ人間界の植物や花を植えましょう!」

戦魔将軍(それではもう完全に魔界じゃ無いようなでこざるが…)

戦魔将軍「良いお考えかと思いますが、魔界のような荒廃した土地に人間界の植物を生やすのは難しいかと…」

戦魔将軍「それに魔界には植物が育つのに必要な日の光が御座いません」

魔王「地上の植物は日の光も必要なのですか!?」

戦魔将軍「はい、だから美しく育つのかと…」

魔王「うーん…」

魔王(確かに魔界はずっとどんよりした暗雲立ち込める土地)

魔王(人間界の植物が日の光を必要とするなら、確かに困った問題ですね)

魔王「参謀さん何か方法はありませんか?」

参謀「あると言えばありますが…」

魔王「あるのですか!?」

参謀「はい」

魔王「その方法とは?」

参謀「陽光石です」

魔王「陽光…石?」


続く

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