第33話 魔王「立派な街を作って見せます!」

大臣「お前が…街を作るだと?」

魔王「はい! 誠心誠意作らせて頂きます」

女勇者(作るって…)

神官妹(どうやって…? やっぱり魔法で作れるのかしら)

神官妹(そんな魔法聞いた事無いけど…でも)

呪族の幼女(小僧はわらわの力を吸いとった時、荒れ果ての地全体と言う莫大な範囲をやっておいて、わらわの力のみを吸いとるだけと言う真似をやりおった)

呪族の幼女(そんな真似は、よほど高度な魔法技術が無いと出来ん筈…)

神官姉(そんな…魔王ちゃん…なら楽勝ね♪)

大臣(…よく分からんが、街一つ浮かせるられるのが子供並みに出来るなら…)

大臣(まあ…街作るのも、きっと子供レベルに出来るんだよな…)

大臣(うむ…そう思うと何か出来るような気がしてきたぞ)

大臣(何かおかしいような気がするが…おかしくないよな、うむおかしくない)

大臣「よし、ならば任せてみよう…」

魔王「はい!」

大臣「ただし前の街に劣らぬ街を作るのじゃぞ?」

魔王「任せてください!」

魔王「では早速…」

女勇者(一体どう言う街を作るのか…)

神官妹(ちょっと楽しみね)

神官姉(きっと…素晴らしい…物が出来るに…違いないわ)

呪族の幼女(こやつの力を見極めるには丁度いいかも知れんの…)

呪族の幼女(奪われた力を取り戻すヒントがあるかもしれん)

魔王「では先ず、街を浮かせる時にくり抜いた土地を整地しないといけませんね」

魔王「足りない土はあそこの禿山を崩して使いますか…えい」

魔王が魔力を込めると、禿山は簡単に崩れ、そしてその崩れた岩土は導かれるようにぽっかりと空いた土地に埋まっていく。

大臣「おお…」

女勇者(相変わらずやることが規格外だな…)

神官妹(これなら、確かに街も簡単に作れそうだわ…)

神官姉(魔王ちゃん凄い凄い!)興奮

呪族の幼女(ふ、ふん…中々やりおるでは無いか)

呪族の幼女(…じゃ、じゃがわらわだって荒れ果ての地全土を呪いをかけられる力があったからな…ま、負けてはおらぬわ!)

魔王「整地はこれでよし」

魔王「次は建物ですね…材料はあそこに生えてる木を使いますか」

魔王(生きている木を使うのはかわいそうですが…材料が無くては仕方ないですもんね)

魔王(ごめんなさい木さん…!)

魔王「はぁ…!」

女勇者(森の木がどんどん抜けていって)

神官妹(どんどん木材に加工されていく…)

神官姉(凄い魔王ちゃん)パチパチ

呪族の幼女(よくこのような大魔力を使ってこんな器用な真似が出来るな…)

呪族の幼女(歴代の魔王クラスから考えたら、力みすぎてプルプルするほどの魔力を使いながら、装飾のような繊細な作業をやっているのと変わらん位の芸当じゃぞ…)

女勇者(今まで凄い事をやって、アタシたちを子供レベルだって嘲笑したアイツだ…)

神官妹(そんな魔王が一体どんな建築物を作るのかしら?)

神官姉 (ワクワク)

魔王「材料を作ったら次は組み立てと…!」

加工された木材が次々と折り重なり建物の形になっていく。

一同「おおおおお!!」

ほったて小屋「ウッス自分ほったて小屋っす、よろしくっす」チーン

一同「…」

魔王「出来ました! いかがですか!?」ニコ

女勇者「これは酷い」

神官妹「ですわね」

呪族の幼女「ちゅごいのか、ばかなのか、よくわからなりゅなってきた(凄いのか、馬鹿なのか、よく分からなくなってきた)」

魔王「えええ!?」

神官姉「大丈夫…魔王…ちゃんは、凄い!」ニコ

魔王「え? あ、ど、どうも」

女勇者 (こいつは)

神官妹(男をダメにする女)

呪族の幼女 (じゃの)

大臣「えええ? じゃない!」

大臣「何だこのふざけたボロ小屋は!」

魔王「ええ!? そんな凄く上手く出来たと思ったのに!」

ほったて小屋「ウッス自分ほっ…」ガラガラ

魔王「あ! 崩れた!?」

勇者(もしかして魔王って)

神官妹(致命的にデザインセンスが無い?)

呪族の幼女 (じゃの)

神官姉 (可愛い…♪)

大臣「ふざけるなっ! あれで上手くだと!? 蛮族の建築レベルより劣っているではないか!?」

魔王「そんなに!?」

女勇者(分からないのかよ)

神官妹(住んでいた魔王城から考えれば、あれがどんなに低い建築レベルの物なのか分からないのかしら…)

魔王「おかしいな…魔王城より良いものを作った筈なのに…」

神官妹(あ…魔王城すら魔王の中ではレベルの低い建造物になってるって事か…)

呪族の幼女(自分の個性を大切にしすぎて盲目になるタイプか、よくいるの個性と技術の意味を履き違えるタイプ)

神官姉(素敵…♪)

魔王「でもおかしいな…組み立てても、固定の魔力を解いちゃうとバラバラになってしまう…」

魔王「建物って素材を作って組み立てれば、勝手にくっつく物じゃないのでしょうか?」

女勇者 (え…?)

神官妹 (いやいやツ積み木じゃ無いんだから…)

呪族の幼女(わらわはあんなのに負けたのか…)

神官姉(無知な魔王ちゃん…萌える♪)

大臣「いいから! 魔王城とまでは行かなくても良いが、それに近い完成度じゃないと、わしゃ納得せんぞ!?」

魔王「え? あんなレベルの低い建物で良いんですか?」

大臣「何!? 魔王城がレベルが低いだと?」

女勇者(ん? そう言えば魔王城でレベルを低く感じるって事は…)

神官妹(もしかして無駄な個性をいれなければ…)

呪族の幼女(無難なのは作ることが出来る?)

神官姉 (ドキドキ)

魔王「何だそれならそうと言ってくれれば良かったのに…」

魔王「では魔王城並のクオリティーで作ります」

魔王「木材は木窓やちょっとした柱に代えて、メインは石材に変えましょう」

魔王「あそこの岩肌から作れば良いかな? は!」

魔王が気合いを入れると、灰色の岩肌だった断崖絶壁が、細かく砕け、綺麗な石垣状のブロックに変わっていく。

そしてそのブロック群は魔王の魔力に導かれ次々と積み重なり、建物のような形に形成されていく。

大臣「こ、これは!」

女勇者 (こ、これなら)

神官妹(確かに魔王城のような)

呪族の幼女(建築物になる?)

神官姉(やっぱり…魔王…ちゃんは凄い!)

廃墟「うっす自分廃墟っす。ボロボロっす」チーン

一同「…」

勇者(途中まで綺麗なブロックで綺麗な建物が出来そうな勢いだったのに!)

神官妹(完成したら廃墟になった!?)

呪族の幼女(何故じゃ!? 何故こうなる!? 逆に高度な魔法技術だったりするのか!?)

神官姉(魔王ちゃん…何でも素敵)

魔王「出来ました! 限りなく魔王城に近づけてみました!」

一同(しかもやっぱり自覚無し!?)ズーン

大臣「ふ、ふざけるなーーーっっっ!」

魔王「えええ!? これでもダメ何ですかっ!?」

大臣「ダメ以前の問題じゃ、もう良いから街を元に戻せ!」

大臣「戻さぬなら、無条件降伏受入れの件は白紙にするぞ!」

勇者 (あ、やば…)

神官(だ、ダメです大臣様! 無条件降伏を白紙に戻したら、魔王のあの恐ろしい魔力で攻める口実を与えてしまうっ!)

神官姉(魔王軍…に転職しようかしら?)

呪族の幼女(無条件降伏…何の話じゃ?)

魔王(そんな…街を戻さなくてはいけなくなったら、魔族っ子さんのお母さんのお墓も戻さなくてはいけなくなってしまう…)

魔王「そしたら魔族っ子さんとの約束が守れなくなってしまう…)

魔王(それだけは絶対に避けなければいけないっ!)

魔王(でも僕の超絶素晴らしい建築センスを受け入れてもらえなければ、もう打つ手が無い!!)

魔王(僕は一体どうすれば…?)

???「やいやいやいやいやいっっっ!!!」

一同「!?」

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