第28話 魔王「勇者さんたちの奥の手?」
神官妹「まだ打つ手はあるわね」
神官姉「だから…協力」
神官妹「分かってるわよ…」
神官妹「しかし何で魔王は戦ってくれないのかしら…」
神官姉「魔王…ちゃんは…たぶん戦わない…ううん…戦えない」
神官妹「え? 何で?」
神官姉「女の…勘?」
神官妹「いや聞き返さないでよ」
呪族の王女「ほほほ…小賢しい相談は終りか? ザコスメども」
呪族の王女「面白い出し物があるなら、待ってやるから見せてみよ」
神官妹「へ、へー…舐めると、痛い目を見るかも知れないわよ…?」
呪族の王女「ほほ…痛い目など望むところじゃ」
呪族の王女「何せ三千年ぶりの刺激じゃからの」
呪族の王女「お願いだから楽しませてくりゃれ?」ニタ
神官妹「…」ゾク
神官妹(何て気持ち悪い目なの…いや元々そう言う性格なのでしょう)
神官妹(あれは私たち神官が勇者や魔王じゃないから舐めているんだわ)
神官妹(舐めているなら油断するから好都合!)
神官妹「姉さん勇者の元へ」
神官姉「うん…!」ヨロ
神官姉妹は悠然と立つ呪族の王女の横を慎重に通り、勇者の元へ行く。
呪族の王女「ほほほ…安心せい、そんなビクビクしなくても手など出したりせん、これでも王じゃ、約束は守ってやるわ」
神官妹「…;」
魔王「み、皆さん大丈夫ですか?」
魔王「神官姉さんも酷い傷を…今治します」
魔王「は!」
魔王は回復魔法を神官姉にかける。
しかし、いくら魔法を続けても一向に傷は癒えない。
魔王「ど、どうして…」
神官姉「無理よ魔王ちゃん…この傷は強すぎる呪いの傷…回復魔法じゃ…治らない」
魔王「そ、そんなそれじゃどうすれば?」
神官妹「治すには、呪いの元になっているあいつに呪いを解いてもらうか、倒すしかないかと…」
神官妹「魔王様」
魔王「はい?」
神官妹「魔王様は呪族の王女を倒してくれないのですか?」
魔王「え? い、いやいや僕の力じゃあんな恐ろしい呪族倒すなんて無理ですよ」
魔王「それに無理じゃなくても倒すなんて暴力的な事をやってはいけないと思います」
魔王「呪族の王女さんも、きっと三千年ぶりに他の者とあって興奮してるだけだと思うんです」
魔王「それに彼女の領土に勝手に入ってしまった非もこちらにあります」
魔王「なのでまずは誠心誠意謝って許して貰いましょう!」
呪族の王女「許さんぞ!」
魔王「え!?」
神官妹「と言ってますが…?」
魔法を「でも倒すなんて…僕には」
神官妹「…でもほっておくと魔王様を慕っている私の姉も見殺しになりますが…」
魔王「そ、それは…!」
神官姉「う…」
魔王「神官姉さん…く」
魔王「何でですか! 呪族の王女様!」
魔王「僕をお怨みなら…苦しめたいなら僕にそれをぶつければ良いじゃ無いですか!」
呪族の王女「ほほほ…ほんにお前は可愛い男(おのこ)よのう」
呪族の王女「良いか? 苦しみと言うのは何も肉体をいたぶるだけに限らん」
呪族の王女「心を攻める方が肉体のそれよりも苦しみを与える事が出来るのじゃ」
呪族の「それにわらわも、憎き相手には肉より心を責める方が興に乗るのでなぁ…ほほほ」
魔王「そ、そんな」
神官妹「良い性格してるわね…」
神官妹「魔王様説得は無理かと思いますが…?」
魔王「でも…僕に戦いなんて…」
神官姉「大丈夫…魔王…ちゃんは何もしなくて良いから」ヨロ
魔王「え?」
神官妹「! 何言ってるの姉さん」
神官姉「さっき言ったはず…魔王ちゃんは… 戦えないの」
神官姉「だから…私が…代わりに…戦ってあげるの…う」ヨロ
神官妹「理解できないわ…」
神官姉「愛の…力」
神官妹「よこしまじゃなきゃ誉めていたけど、まあ分かったわ」
神官妹「あれをやったらどうなるか分かってて、やるのね? それで良いのね?」
神官姉「う…ん」
神官妹「はあ…オーケー」
神官姉「愛の…力」
神官妹「聞いてないから、と言うか男をダメにする愛の力だからそれ」
魔王「あ、あの…どうなるかなんて…一体何をやるんですか?」
神官妹「申し訳ありませんが、戦わない人が聞いても意味は無いと思いますが」
魔王「う…」
神官姉「大丈夫…魔王ちゃん…絶対勝つから…」
神官姉「だから…もしも生きて…帰ってきたら…言い…たい事がある…んだけど…聞いてくれる…かな?」
魔王「は、はあ?」
神官妹「フラグたてんなっ!」ドゴっ!
神官姉「ぐはっ…!」
神官姉「こんなボロボロな時に酷い…妹ちゃん…」
神官妹「うるさい馬鹿姉! それに勇者もいつまで魔王様に引っ付いてるの!」
勇者「!」
神官妹「魔王様が戦わないんだったら、私たちがやらなきゃいけないんだから、しっかりしてよ!」
魔王「…あ」
神官妹「分かってるでしょ!?」
勇者「わ、分かったよ…でもアタシの魔族特攻はあいつには通用しないし、打つ手が…」
神官妹「ずっと一緒に魔王討伐の旅をしてきて、そんな状況なんていくらでもあったでしょう?」
神官妹「思い出しなさい! 昔あの戦竜将軍と戦った時の事を」
神官妹「魔族特攻が効かない戦竜将軍を私たちはどうやって、倒した?」
勇者「! そ、そうか…それなら」
神官妹「思い出した? じゃあやることは分かっているわね?」
勇者「任せろ!」スラ(聖剣を抜く)
呪族の王女「ほほ…聖剣など効かない事は百の承知の癖に、血迷うたか?」
呪族の王女(…とは言え、それを分かっててやるからには、そこに秘策ありと言う事か…)
呪族の王女(ふふ面白い…絶対の自信を折る事こそ、最高の美味)
呪族の王女「それにどんな技を出そうとも、わらわを殺すことは絶対不可能じゃからのう…」
神官妹「言ってくれるじゃない…行くわよ姉さん! 弱っていてもちゃんとついてきてね!」
神官姉「う…ん!」
神官姉・妹「はっ!」
神官姉妹が気を入れると、手から強力な神聖な光が放たれ、姉妹挟んだ間に何かしらの呪文を浮かび上がらせた光の壁を生み出し、姉妹の真ん中にいた勇者の姿を隠す。
呪族の王女(ふむ…何かしらの効果を持つ神聖術のようだが…はてあれはなんじゃろか?)
呪族の王女(しかも勇者の姿を隠して…目眩まし?)
神官姉妹「はぁー!」
神官姉妹は気合い入れると、その光の壁を維持したまま、呪族の王女に向かって走って行き、その光の壁を投げつけるように投げる。
呪族の王女(投げた…!? と言うかこれだけ!?)
呪族の王女(二人がかりの神聖力とは言え、やはり人並み、大した事は無い)
呪族の王女(と言う事は、やはり壁の後ろに隠した勇者が本命と言う事か)
呪族の王女(わざと食らってやって、何をしても無意味であると悟らせ、心を折るのも楽しいが)
呪族の王女(ここはもう少し味わうために華麗にかわして…じわじわと追い込んでいこうかのぅ…ほほ)
呪族の王女「そうれ」サッ
神官姉妹「!」
呪族の王女(…何を驚いておる、こんな鈍き技を、わらわが本気でかわせぬと思ったかっ!)
呪族の王女(よしこのまま壁の後ろに隠れている勇者を…)
呪族の王女(…! い、いない!?)
呪族の王女(ど、どこへ!?)キョロキョロ
勇者「てめえ…アタシのスピードは中々だって言ってたよな」
呪族の王女(過ぎた光の壁の後ろ…!)
呪族の王女(いつのまに…そうか先程の戦いの中で使っていた、あの早くなる光る技かっ!)
呪族の王女「く…!」
勇者「おせえっ!」
呪族の王女(壁越しから攻撃を…! かわせない!)
呪族の王女(だが私には聖剣は効かないっ…!)
と呪族の王女が安心した瞬間、呪族の王女のお腹に当たった剣先はトス、と軽い音を立て、そのままズブズブと、バターをナイフで刺すかのように、簡単に本当に簡単に刺さっていき、呪族の王女を貫いた。
呪族の王女はしばし放心するように、その光景を見つめていると、次に聖剣特有の切った傷口を、まるでヤキゴテで焼くかのように、ジュウウウウと煙を噴き上げ傷口を広げていく。
その瞬間堰を切ったかのように呪族の王女は悲鳴をあげる。
呪族の王女「ぐぎゃえええあえああっっっー!!」
勇者「苦しいかザマアみろ!」
呪族の王女「な、何故わらわには聖剣は効かなかったハズじゃ」
呪族の王女「一体何をしたっっっ! ! こ、これは聖剣に光の呪詛が…」
呪族の王女「まさか…これは、そうかさっきの壁はっっっ!」
神官妹「そうよ、あれは属性エンチャント」
神官妹「私たちの神聖力が有効な敵に対して特攻がつく、神聖力の属性エンチャントを勇者の聖剣にかけたのよ!」
神官姉「さすがの…貴女も…聖剣をベースに…使ったエンチャント…はかなりきつい…ハズ…と言うか…バッチグー!」
勇者(昔、何故か竜族なのに魔族の将軍やっていた戦竜将軍戦った時)
勇者(竜族だったから聖剣が効かなくて困ったところ)
勇者(神官妹に竜属性特攻の属性エンチャントをかけて倒した事がる)
勇者(そうダメージさえ通ればお前なんか大した事ないんだよ!)
呪族の王女「おのれえええええ!!!」
呪族の王女「っぁ、きゃああああっっっ!!!」
神官妹「! 勇者止めを!」
勇者「分かってるってーのっ!」
勇者「はああああっっっ!」
勇者は呪族の王女からエンチャントされた聖剣を引き抜くと、そのまま呪族の王女を滅多切りにする。
呪族の王女「ぎゃあああああーーー!!」
呪族の王女「痛い痛い痛いーーーっつあっひひーーひぃーーー!!」
勇者が付けた無数の傷から、吐き気がするほどの肉が焼けただれた肉の匂いがする。
勇者「へへ…さんざん舐めた真似しやがって…へっザマアみろ!」
呪族の王女「ぐぎゃえええあえああ!!」
呪族の王女「あああえああああ!!」
呪族の王女「あ…あ…あ………」
呪族の王女「ふ…」ニヤリ
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます