第20話 魔王「子供の難民?」

勇者「何すんだこのガキ!」

魔族子供「うるさい! 何が友達だ!」

魔族子供「勝手に俺達の中に入ってくるな!」

魔族子供「そーだ! そーだ!」

次々と魔族の子供たちは勇者に向かって石を投げる。

勇者「うわ、うざ! てててて! やめろクソが!!」

魔王「こ、ここにはまだこんなに魔族の子供たちがいたのですか?」キョロキョロ。

魔族っ子「勇者が魔界の多くの街を陥落させて去った後、略奪しに来た普通の人間の軍隊から逃げてきた子供たちです」

魔王「!?」

魔王「は、話は聞いてましたが、これほど難民が出てたのですね」

魔王「はい、みなあてもなく彷徨っていところ、この街に流れ着きお父さんに保護されました」

魔王「? でも子供たちだけ? 親は…?」

魔族っ子「子供を逃がすため身を呈して人間と戦ったらしく、ほとんどが私のお母さんのように殺されるか…生死不明です…」

魔王「…酷い」

魔族っ子「はい…」

魔王「…」

魔族っ子(…お母さんに言われて、人間を恨むのは止めていたけど)

魔族っ子(やっぱりこんな酷い事をしている人間は許せない…許せないよ)

魔族っ子(きっと魔王様なら人間を魔界から追い出す力があると…思う)

魔族っ子(だって…あんなに凄い事が出きるのだもの)

魔族っ子(なのに何で魔王様は人間と戦おうとしないの?)

魔族っ子(あの力があれば何だって出きる筈なのに…)

魔族っ子(…頼めば…やってくれないかな?)

魔族っ子(同じ魔族の仲間だし、この酷い惨状を知った今なら、今後押しすれば人間と戦ってくれるかも…)

魔族っ子(よ、よし…ちょっと言ってみようかな…?)

魔族っ子「あ、あの魔王様!」

魔王「…」

魔族っ子「やっぱりこんな敗者に鞭打つような人間は魔界から追い出した方が良いと、お、思います!」

参謀(…! あの魔族の娘何を言う気だ…!?)

魔王「…」

魔族っ子「勇者があんな芝居して下手に出てるのも…」

参謀(…! ば、馬鹿! 言うなっ!)

魔族っ子「きっと魔王様より自分が弱い事を知っているからです!」

参謀「チッ!」

魔王「…」

魔族っ子「だから魔王様ならきっと勇者何かに負けません」

魔王「…」

魔族っ子「だから私たちと供に…」

魔王「…」

魔族っ子「魔王…様? あの…聞いてますか?」

魔王「醜い」

魔族っ子「え?」

魔王「だから世界は───」

魔王「???するしか───無いのだ」

魔王「全て───??に…する」

魔王「時間は無い」

魔族っ子「え? ま…おう様? 今なん…て?」

魔王「…」

魔王「え?」

魔王「す、すみません聞いてませんでした、何ですか?」

魔族っ子「え…? あ、あの…今なんて言いました?」

魔王「…? 僕何か言いました?」

魔族っ子「あ…い、いえ」

魔族っ子「何でも…ありません」

魔王「?」

参謀「…」クイ(眼鏡位置直し)

参謀 (あれは───…)

参謀「魔王様」

魔王「? 何ですか参謀さん」

参謀「私は急用を思い出しましたので、少し元魔王城に戻らせて頂きます」

魔王「え!? このタイミングで!?」

参謀「申し訳ありません。では」

魔王「ちょ、ちょっとー!!」

魔王「行っちゃった…」

勇者「てててて! 止めろって言ってるだろ!」

勇者「マジ止めないと、子供だからって~~~」

魔王「!」

魔王(いけない忘れてました!)

魔王(あのままにしてたら、本当に勇者さんが怒り出してしまいます)

魔王(早く止めないと!)

魔王「人間に向かって石を投げたらイケません!」

魔王「うわ!」

勇者を庇った事により代わりに石つぶてをぶつけられる。

勇者「お、お前」

魔族子供「何だお前!」

魔族子供「邪魔だ引っ込んでろ!」

魔王「そ、そうはいきません!」

魔王「もう戦争は終わったのです! これ以上争って何になると言うんですか!」

魔族子供「何んにもならねーよ!!」

魔族子供「そんなの分かってるよバカヤロー!」

魔王「え…?」

魔族子供「でも…俺のトーちゃんとカーちゃんは、そこの勇者に殺されたんだ!」

魔族子供「そんな奴が俺たちの街にいるのが許せるか!」

魔族子供「そーだ! そーだ!」

魔王「!」

勇者「!」

勇者「チッ…」プイ

魔王(そ、そっか…そう言うところを見てないので、分からなかったですが)

魔王(勇者さんは魔界に攻めてきた時、父上や7魔将軍以外にも、色んな魔族と戦い…殺した事があるんですよね)

魔王(その中には彼らの親も…)

魔王(ならば怒るのも無理からぬ事ですよね…)

魔王(でも勇者さんは私の友達)

魔王(ちょっと口は悪いけど、こんな私なんかと友達になってくれるんだから、きっと良い人に間違いありません!)

魔王(それを彼らに分かってもらえばきっと仲良くなれる筈…)

魔王 (そのためにはどうしたら…)

魔王 (そうだ…!)

魔族子供たち「うう~!」

勇者「うざ…」

魔王「皆さん!」

勇者・魔族子供たち「?」

魔王「皆さん悔しい気持ちは分かりますが、勇者さんは、貴方たちお父さんお母さんを手にかけた事を深く反省しております」

勇者「はあ!?」

勇者「お、おい何を勝手に…」

魔王「良いからここは任しておいて下さい」パチリ(ウィンク)

勇者(ちょ、ちょっと…こいつ一体何を言う気だ!?)

魔族子供「嘘だ! その外道勇者が反省なんかするもんか!」

魔王「いいえ反省しております」

魔王「何故なら私たちがこの土地に住めるように、毒の浄化のお手伝いをしに来てくれたのですから」

魔族子供「毒…?」

魔王「あそこを見てください!」

魔族子供たち「?」

魔族子供「あ! 何か空が青紫ぽいぞ!」

魔族子供「私知ってるあれは毒の色だ!」

魔族子供♀「ふええ…怖いよぉぉ…」

魔王「そうです。ここは毒の霧が立ち込める土地なのです」

魔王「なので早く安心して皆さんが暮らせるようにするには、あの毒を浄化するしかありません」

魔王「ですが私一人の力ではそれはとても大変」

魔王「戦魔将軍さんたちも、戦士系なのなで、そう言った術は苦手です」

魔王「参謀さんも用事があると言う事でどこかに行ってしまいました…」

魔王「なのでこの毒を浄化するには、私一人でやらないといけないのですが、ああここで問題が!」

魔族子供「な、何があったんだ!」

魔王(ふふ、食いついて来ましたね)

魔王「私一人だと浄化することは出来ても時間が凄いかかってしまい)

魔王「時間がかかると、今この街を守っている結界の効果が切れてしまうのです!」

魔族子供「結界の効果が切れるとど、どうなるんだ!?」

魔族子供「お前馬鹿かよ! 街にあの毒霧が侵入して来るって事だろ!」

魔族子供「あ、あんな毒を吸ったら死んじゃうぞ!」

魔族子供♀「ふええ…怖いよぉぉ…」

魔族っ子幼「だいじょうだよ! 魔族子供♀ちゃん!」ナデナデ

魔族子供♀「ありがとう…魔族っ子幼ちゃん」

魔王(よし…大分怖がりましたね)

魔王「そうです街の中に毒が入ってきてしまうのです!」

魔族子供たち「うあああ><」

魔族っ子「た、大変だわ」

魔王(あれなんか魔族っ子さんも信じちゃった…)

魔王 (まあいいか)

魔王「僕はこの手立てがない状況に途方にくれました」

魔族子供「ど、どーすんだよ! 何とかしろよ、あんた魔王何だろ!?」

魔王(…魔王って知っててこの態度なんだ…流石子供;)

魔王(まあ、子供だから良かったんですけどね)

魔王(子供は乗せやすいから…)

魔王「…安心してください! 何と困っていたらこの勇者さんたちが手伝うと申し出てくれたのです!」

勇者「な…!」

神官妹「え? 私もなの?」

神官姉「…!」

勇者「ちょ、お前何勝手に!?」

魔王「勇者さんは、戦争で仕方なくとは言え、貴方たちの親に手をかけてしまった事を深く後悔していました」

魔王「こいつらの親を殺して一人にしちまったのはアタシの責任だ。少しでもこいつらの悲しみを拭えるならアタシは全力を尽くすぜ、と言ってました」

勇者「は、恥ずかしい台詞言った事にしてんじゃねー!!///」

魔族子供「そいつがそんな事を…」

勇者「言ってねーから! マジ言ってねーからっっっ!///」

魔王「ね? だからとりあえずやらせて見せても良いんじゃないかな?」

魔族子供「う、うーん…」

魔王「毒霧も迫ってるし」

魔族子供「…! …し、しかたねーな、そこまで俺たちに尽くしたいって言うんならやらして見せても良いかな…」

魔王「ありがとう!」

魔族子供「ふん…!」

魔王「上手くいきました勇者さん! これでポイント稼いで仲良くなって下さいね! ^^b」

勇者「親指立てて、上手くいきました! みたいなアピールしてんじゃねーよ!!」ゴチ

魔王「な、何故叩くのですか!? しかも優しく」

勇者「優しくて悪かったな~~~」ゴチゴチゴチ

魔王「うわー痛くなくても何か嫌です! 止めて下さい!」

勇者「うっせ! 勝手な事やりやがって誰が毒霧の浄化なんか手伝うかよ!」

魔王「ええ!? 手伝ってくれるんじゃ無いんですか!?」

勇者「やるか! 一人でやってろ!」

神官妹(…勇者、魔王を信用させて骨抜きにするんじゃなかったの?;)

魔王「だ、だって僕たち友達でしょ、それくらいもやってくれないのですか?」

勇者「バーカ! 友達って言葉で人を体よく使おうとしてんじゃねー!」

勇者「お前の中の友達って、使い走りにするのが友達なのか!? ああ!?」

魔王「そ、それは…確かにすみません…」

勇者「ふん!」プイ

神官姉「魔王…ちゃん」

魔王「え…神官姉さん、な、何ですか」

神官姉「私…手伝う」

勇者・神官妹「え!」

魔王「え…! ほ、本当ですか! ありがとうございます」

神官姉「…♪///」

神官姉「…」

神官姉「それでね…あのね」

魔王「? どうしました」

神官姉「えっとね」

神官姉「…///」

魔王「?」

神官姉「あの…私も…」

魔王「はい」

神官姉「私を…こ、恋…」

神官姉「…><」

魔王「ど、どうしました?」

神官姉「う、ううん…そのね」

魔王「はい」

神官姉「私も…友達にして…くれる?」

魔王「え? し、神官姉さんも友達になってくれるのですか!?」

神官姉「…///」コクリ

魔王「そ、そんなのこちらからお願いしますよ。ありがとうございます神官姉さん!」ニコ

神官姉「…!///」パアア

魔王「今日から友達ですね!」

神官姉「う…ん。 じゃ、じゃああっちの毒霧…浄化…してくるね」

魔王「はい! お願いします!」

神官姉「うん…」タッタッタ。

神官姉「…」キッ。

勇者「え?」

神官姉「魔王ちゃんは…渡さない!」小声。

神官妹「ちょっと姉さん一人じゃ危ないわよ!」タッタッタ。

勇者「要らねーって…」

魔王「えと…」

勇者「まえとにかくアタシはやらねーからな!」

魔王「でもそれだと勇者さんが嫌われたままに…」

勇者「は? 別に嫌われたままでいい…」

魔王「駄目ですよ!」

勇者「!」

魔王「勇者さんは僕の大切な友達です!」

勇者「え…///」

魔王「そんな勇者さんが、回りから嫌われたまま何て、僕嫌です!」

勇者「は、はあ? 何いきなり熱くなってるの? ま、マジイミフ~何ですけど///」

勇者(ば、バッカじゃないの、友達なんてフリでやってるだけだし///)

勇者(それなのにこいつ100%アタシを信じきって、友達のためにとか、ほ、ホントバカ!///)

勇者(バカバカバカバカバカバーカ><///)

勇者 (はあはあ…)

勇者 (…)

勇者(で、でもまあ? どのみちこいつを骨抜きするには信用させなきゃいけないし?///)

勇者(凄い嫌だけど…本当に凄いかかってしまうのです嫌だけど?///)

勇者(しょ、しょうがないからちょっとだけ手伝ってやるか…///)

勇者「ち、ちち、ちっ! しょうがないな~///」

勇者「そこまで言うなら手伝ってやるよ///」

魔王「! ほ、本当ですか勇者さん!?」

勇者「う、うっせーな! アタシは本当に嫌なんだからな!///」

魔王「はい!」

勇者「ほ、本当に仕方無くやるだけなんたからな…!///」

魔王「はい、ありがとうございます!」

勇者「ちっ…///」

勇者「じゃあアタシは向こうの方浄化してくるから、とりあえず街の周辺で良いんだろ?」

魔王「はい! お願いします!」

勇者「ふん」ツカツカ

魔族子供「…」

魔族子供(…勇者め…やっぱり許せない)

魔族子供(見てろよ…)

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