Probatio Diabolica(悪魔の証明)
ユーキチ
テレポートの証明
#01
Probatio Diabolica
《テレポートの証明》
1
「さっさと吐いた方が楽だとおもうんだけどなぁ。ねえ、お嬢ちゃん。」
「……」
「いつまでもこんな狭く暗い部屋で尋問され続けんのはイヤだろ?」
「……」
「何聞いてもだんまり、か。それともオジさんが怖いからか?」
「……」
「どうなんだ?ハンニンナノカ?」
「はい。」
「それは認めたのか?」
「え?」
「だから聞いてるんだよ、範忍七香さん、あんた犯人なのか?」
「はい。あたしは
「フゥ、こればっかりだ…やってられないな…それにカツ丼三杯もかっ食らっといてよ。」
「味付けが濃かった。」
「おぅ、何かと思えばカツ丼の批評ですかい。
それは署の目の前の中華料理屋のものだからそっちに言ってくれ。」
「あんなの、水がぶ飲みしないと食べれたもんじゃないわ。
出前そこでとるのやめたほうがいい。取り調べなんかよりよっぽど拷問。」
「贅沢言ってんじゃねえや、まったく。誰のために出前とってやったんだか。」
「知ってるわ、どうせ私の自腹って。」
「だいたいな、取り調べ=カツ丼て古くさい発想、今日日だれもしやしねえよ。」
「…オムライスとかどうかしら。近くに洋食屋ないの?」
「お嬢ちゃん、キミね。今自分が置かれてる状況分かってんのかい?
このまま何の証拠も提示出来なけりゃ、キミ、殺人の容疑がますます色濃くなっちまうんだよ?」
「何故?逆を言うとアタシが殺人を犯した証拠がなければ容疑は軽くなるんじゃないかしら?」
「ンじゃ聞くが、その日被害者…キミの恋人だった
「いましたよ。」
「それが証拠の一つだ。」
「じゃ聞きますけど、死亡推定時刻ってのを割り出してましたよね?」
「ああ。一昨日の17:32に信田は死んだとみられている。」
「アタシはその10分前に部屋を出ていました。それがアタシの証拠の一つです。」
「だからそれ証拠じゃない。証拠と言えないって何遍も…」
「アタシは自分ちのトイレじゃないと用を足せないんです。そういう体質なんです。いくら恋人の部屋だからといって例外じゃない。刑事さんも身近に居るでしょ、そういう人。」
「ああ。旅行に行くとすると大変だろうなって思うよ。」
「最終日なんて帰る事しか考えてないくらい。」
「要するにキミはその時刻、自宅へわざわざ用を足しに戻った。」
「そういうことです。」
「しかしなあ、キミがその時に尿意を憶えたという証拠も無い訳だ。」
「便意です。」
「べ…、うん。どっちにしろキミのその主張を裏付けられる人間はいない訳だ。」
「いましたよ。」
「へ?」
「一人いましたよ。過去形ですが。」
「恋人の信田か。死んでしまったんでは証人にはならない。」
「ハイ。ですからアタシが証明です。」
「何のCMだっけそれ…。まあいいや。本人が証人だというのは理論上説明にはならない。」
「アタシは、濃人が死んだ時どこにいましたか?という事情聴取にこうして赴いたんです。
だから正直に話してるんですけど…」
「……」
「やっぱり信じてもらえないんですね。」
「ああ、こちらには信田が死んだ時にキミがその場に居たという決定的証拠を掴んだからね。」
「……え?」
「ハッキリ言おう。キミは恋人の
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