夜闘
「いつまで起きてるの!明日学校でしょ!早く寝なさい!」
親に一度は言われたことがあるであろう、この台詞。
子供は寝る時間を削ってでも遊びたいと思うもの。
かくいう僕も同じで、親に幾度となくこの台詞を言われてきた。
「分かってるよ!あとちょっと!」
なんて言いながら、結局夜更かしして、次の日に寝坊する。
でも僕が寝なくても、親に迷惑はそれ程かからない。次の日眠くなるのは僕だけだから。
でも我が家には弟がいる。
弟は夜になって布団に入ってもなかなか寝ず、遅くまで騒いでいることが何度もあり、そんな日は一緒に寝ている両親にとっては堪ったもんじゃなかった。
特に弟が幼稚園・小学校に通っていた頃はなかなか酷かった。
深夜、僕が自分の部屋で一人で寝ていると、昼間はあんなに温厚だった父親の怒鳴り声が僕の部屋まで聞こえてくる。
そして弟の泣き声が続いて聞こえてくる。
仕事で疲れている父親にとっては、かなり辛かったに違いない。
父親は休日になると、弟と公園に遊びに行ったり、プールに連れていったりしている。
もちろん家族サービスとして連れて行ってあげているのに違いはないだろうけど、昼間の明るいうちに弟を疲れさせ、早く寝かせようという算段もあるに違いない。
弟も成長し、夜になってもあまり騒がなくなったけど、何のマイブームか知らないが、最近は自分が寝るタイミングで無理やり両親も一緒に寝かせようとするらしい。
23時頃になると
「パパ寝ます」
「ママ寝ます」
そう言って寝室に親を連れて行こうとする。
「まだ仕事が残ってるから」
「ちょっと待って。テレビ見てるから。」
親が何度そう言っても、弟もなかなか喰い下がらない。
しばらくすると弟は諦めて、不服そうな顔をしながら一人で寝室に向かう。
これでは、どちらが親で、どちらが子供か分からない。
昔迷惑をかけた分、両親にぐっすり寝て欲しいと思っているのか、ただ一人で寝るのが寂しいだけなのか。
結局、理由は分からない。
ただ一つ分かることは、今夜もまた実家では、両親と弟の夜の闘いが繰り広げられるだろうということだけだ。
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