Phase01-03「継承」
統制軍所属第四番艦『インヴェルノ』先進技術の推移を結集して作られた戦艦。現状ではこれを含め四つしかない大気圏外での戦闘を想定した戦艦の最新型だ。新型ATと共に試運転が繰り返されてきた。そのAT格納庫兼メンテナンスルームにランスは収容された。
ランスから降り、ようやく手足を伸ばす事ができると、つなぎの男が近づいてきた。機械技師独特の油と鉄の混じった匂いがする。
「こいつが…」
「えっと、」
青い瞳で健太郎をまじまじと見つめそうつぶやいた。少し驚きながら健太郎は何を言ったものかと考えいていた。
「お前が乾の息子だな」
質問ではない確認だ。
「は、はい。健太郎といいます。」
失礼のないように頭を下げながら挨拶をする。
「だろうな、ミサキそっくりだ。」
男は悲しそうな顔でそう言った。
乾美咲、健太郎の母親だ。といっても彼に母親の記憶はほとんどない。母は成人してから大病を患い、子をなすことさえ難しいと言われていた。そんな中、親戚一同の反対を押し切り二人目の子である健太郎を産み落とすと同時に死を迎えた。年の離れた姉も居たのだが、彼女も健太郎が幼い頃に事故で亡くなっている。
「俺はマイク。こいつを作ったのは俺のチームだ。乾、お前の父親とも古い付き合いにる。」
そう言うとマイクは左手を差し出した。健太郎はそれに応えるように左手を出し握手を交わす。
「ちなみに言うとだな。こいつはまだ完成していないんだ。」
「え?」
父譲りの感でこれはあと武器を載せるだけだと思って居たがマイクの計画はそうではなかったらしい。
「乾からは飛行型を作るっていう話をもらってるからな。浮けるだけのやつを俺は飛んだとは呼ばない。そもそもこんな状態であいつに渡すのですら不本意だったんだ。第一…」
「あー、そのおじさんの話そこから長くなるからちょとこっち来てくれるかな」
健太郎が声かかった方を向くとそこには黒髪の男がいた。アジア人。顔立ちを見るに彼と同じ日本人のように見える。健太郎は彼に連れられてドックから、戦艦インヴェルノの内部へと入っていった。
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