歩く人
もりやま
夢
僕には夢がある。
マーティンほど大それたものではないが、彼のそれより現実感の無いものだと思う。
「世界を旅し、幾万の未踏をふみしめたい」
理想を語る力もなければ夢想を語る知恵もない僕が持つには手に余る夢だ。
それでも腹の底から涌き出る抗いがたい羨望を夢と呼ぶなら、そういうことなのだろう。
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