カレとワタシ
あっか
第1話 はじまり
「山ちゃん、LINEのID教えて?」
黒いもふもふのジャンパーと
黒いスーツ用ズボンをはいた男の人が
声をかけてきた。
「富岡さん!!‥びっくりしたぁ〜〜!」
仕事帰り、会社出た後の待ち伏せに
気づかなかったワタシはびっくりして
持っていた缶ジュースを落とした。
「大丈夫?はははっ。驚かすつもりはなかったんだけどごめんね?山ちゃん」
『山ちゃん』と呼ばれている私は
山下あずさ。18歳。
高校卒業後、すぐ会社に就職。
そこでこの富岡さんと出会った。
まだ入社して日の浅いワタシは
富岡さんがどんな人かも知らない。
だけど、仕事中会うと
変顔して笑わせてくれる。
気持ちを和ませてくれる人だ。
‥けど、『山ちゃん』って
なかなか慣れないなぁ。
なんで『山ちゃん』なんだろ。
「山ちゃん、LINEのID‥」
「んっ?‥あっはい!!」
富岡さんに言われて慌ててワタシは
バックの中身を探る。
LINEのID交換し終わると
「あとでLINEすんねー!」
と、富岡さんは言うと仕事に戻った。
「そっか、富岡さん営業だったな‥。」
営業はいつも仕事終わるの遅くて
大変だなぁ‥。
ワタシは工場で食品を扱う仕事をしている。
朝はめちゃめちゃ早い。
これからやっていけるか不安だけど
頑張らなくちゃ‥
そんな不安はよそに
持っていた携帯からの振動が手に伝わる。
[新着メッセージがあります]
「まさやからだ。」
まさやはワタシの高校時代からの彼氏。
専門学生で、愛知県に先週行ってしまった。
『あずさ〜〜仕事終わった?』
『今、終わったよ(●´ー`●)』
『お疲れ様(*´∀`*)』
『ありがとうヽ(*^ω^*)ノ』
仕事終わりはこのLINEが来るのが
一番楽しみだった。
ワタシを支えてくれる彼氏。
仕事で嫌な事があっても唯一話せる相手
だから。
だけど、この関係に
ピリオドが来るなんて
今のワタシは予想もしていなかった。
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