第10話 想命石
屋敷の主人、ボードウィンが収集している石には名前も聞いたことのないような石がある。
相手と心を通わせる効果があるという石。
アスウェルはそれと同じ物を聖域の主から貰っていた。
久々に石の存在を思いだした影響か、その夜はおかしな夢を見た。
そこは、見渡す限りの緑が広がる場所だった。
足元には新緑の草原、遠くに森が見えている。
空は高く雲は白い。
見上げた空から一羽の鳥がアスウェルの肩へ舞い降りた。
緑色の小鳥だった。
鳥は一つ鳴き声を上げ、アスウェルの頬へ体をすりよせる。
クチバシにくわえていた木の実を空へ放り投げて、肩から飛び立つ。
それを口にくわえて戻ってきた。
鳥はアスウェルへその木の実を差し出す。
「……」
アスウェルはそれを受け取り、空高くへ放り投げた。
しばらく一人と一羽は、木の実の投げ合いをして時間を過ごした。
そんなおかしな夢をアスウェルは見た。
翌日。
「どうしたんですかアスウェルさん」
屋敷の蔵書館へ本を返却しにいくレミィの手からアスウェルは本を取って、
「ひゃあ、見ちゃダメです! 返して下さい」
本を掲げて、身長差のあるアスウェルから取り返そうと必死になって飛び跳ねるレミィを見た。
一つ納得する所のあったアスウェルは、しばらく彼女を使って遊ぶことにした。
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