008「妖精さん、手榴弾を購入せり」

両者の間に、膠着状態が続いた。

豚人間は、攻撃をやめたシルバーを見上げて、大笑いしている。


「女の仕事は、子供を産む事ブヒィー!」

「魔法じゃなくて、子育てを学ぶべきブヒィー!

魔法なんて子育てに必要ないブヒィー!」


そんな豚どもを無視して、空をゆっくり移動しながら、シルバーはネットの皆と悠長に作戦会議をしていた。


『森に潜む敵を倒したいなら、森を焼けばいいですお!』


「いや、駄目だろ……下手したらプラチナがいる村まで燃えるぞ?

豚人間を倒せても、俺が恨まれるじゃないか。

それじゃ本末転倒だ」


『気化爆弾なら、一撃で森ごと倒せます。アメリカ軍を見習ってください』


「情報が欲しいのに、殺してどうする!?

そもそも、そんな金ないし、オーバーキルだし」


『妖精さん、アンタ、音を立てずに移動できるんだから、豚の真後ろに回り込んで、至近距離から発砲すればいいんじゃね?』


「いや、森の中を飛ぶと、俺が事故ると思うんだが……?

蝶蝶の羽根って大きいから、絶対、木々に引っかかると思う」


『なら、手榴弾でOK。あれなら真下に落とすだけで、豚の近くに落ちると思う』

『中国製手榴弾なら、アフリカで100円くらいで売ってたお』

『これで妖精さんは、爆撃機さん!』

『ちょwwww不良品が出たら妖精さん死ぬぞwwwwww』


手榴弾。それは持ち運び便利な手投げ爆弾だ。

塹壕戦や都市戦で重宝され、密閉空間で炸裂すると恐ろしい効力を発揮する事から、愛用者が多い。

試しに、ネット通販で検索すると、様々な形の手榴弾が売られている。


(手榴弾か……使った事がないな。

確か、上のピンを抜くと数秒後に爆発するんだっけ?)


丁度いい事に、破片手榴弾が百円で売られている。

拳銃弾5発分という恐ろしい安さに衝動買いをした。

しかし、よく見たら、手榴弾の構造は丸くはなかった。


「楕円形……?手榴弾って丸いものだと思ってた。」


『妖精さんっ!それは投げやすくするために、わざわざ楕円形に作っているのですぞ!』

『楕円形にすると容量が大きくなって、たくさんの火薬と凶器が入って便利どん』


「な、なるほど……」


『そのサイズだと、半径15m内にいたら重傷だと思う』

『ピンを抜いた瞬間から、手榴弾は我々の味方ではなくなると、米軍の教官が言ってました』

『抜いたらすぐ投げるんだお!』


シルバーは右手で、安全ピンを抜く。

いつ、爆発するか分からないから、投げる動作すらせずに、手榴弾を落とした。

木々にぶつかりながらも、重力に従って、真下にいる豚人間達の元へと、それは向かう。


「ブヒィ?」

「変わった石ころブヒィ?」


『手榴弾の歴代最大負傷記録は500mだから、運が悪いと君も死ぬぞ!妖精さん!』

『逃げろぉー!』


(ちょ、おま、それを先に言えよっー!)


逃げる暇もなく、手榴弾が破裂した。内部にある爆発物が引火し、大量の金属片を周りにばらまく。

豚人間達の肉体を、破片が切り裂いて、ボロ雑巾にクラスチェンジさせる。

幸い、空に浮いているシルバーの所には、破片は届かなかった。


『たった一撃wwww』

『手榴弾の広範囲攻撃やべぇぇぇぇぇ!!』


「コスパが良すぎるだろ……銃弾より、手榴弾の方が良いかもしれない」


『不良品と巡り合ったら、安全ピン抜いた瞬間に妖精さん死ぬ訳だが?』


「それを恐れたら、中古品なんて使えん。

中古の銃だって、暴発する可能性がある訳だし……お金少ないし……」 


『貧乏は辛いよ』

『豚は全滅したか?』

『いや、2匹生き残ってるぞ』

『怪我して動けない豚は、ただの豚だ。死んだ豚は焼き豚だ』


豚は2匹生き残っていた。

手足に怪我を負ったせいで動けない。

しかし、豚がいる場所は木々育った森の中。

シルバーの背中の羽が、枝に引っかかる可能性があるから、距離を取ったまま尋問するしかなかった。


「お前らに聞きたい事がある!」


『豚と美少年。これは良い、コミケに出したら売れる!』

『尋問って、色んな幅広い知識がいる分野なんだが……妖精さんに出来るのか?』


「ブヒィッー!命だけは助けて欲しいブヒィー!」

「ブヒィー!可愛すぎる女の子ブヒィー!

こっちに降りてきたら、天国に逝かせてあげるブヒィー!

もちろん、性的な意味ブヒィー!」


『こっちの豚は、こんな状況になってもエロ豚な件』

『俺も、自分に正直に生きたい……』

『これだけ前向きだと、人生、楽になるだろうなぁ……』


(尋問するなら、1匹だけで良いから……こっちのエロ豚は殺しても良いよな?)


セクハラトークを連発する豚人間にめがけて、シルバーは自動拳銃を向けた。

障害物はたくさんあるが、相手は動けない上に、投石もできない豚だ。

時間を少しかけて、木々の隙間を見つけ出し、そこから銃撃する。


「ブヒヒヒッ!女の子はズボンより、スカートが一番ブヒィー!

小さな胸でも気にする必要はないブヒィー!

俺はチッパイでも、愛せ――」


豚は死んだ。頭の穴が一つ増えている。


『どっちが悪党なのか分からない件』

『抵抗できない相手を虐殺するなんて、まじ外道ww』


「そこの豚っ!

俺の質問に答えないと、この相棒みたいになるぞ!」


そのシルバーの声に、唯一、生き残った豚は恐怖に震えた。

一方的に狩られる側だと、理解したようだ。


「な、何でも話すブヒィー!

だから、俺の命と、出来ればお嬢さんの処女を欲しいブヒィー!

一目見た時から、合体したいと思ったブヒィー!

1万2000年前から、きっと運命の赤い糸で結ばれていたに違いないブヒィー!」


『ちょwwwwwこいつも状況を理解してないwww』

『下半身の欲望に正直すぎるだろwww』


男なのに、女だと間違われる。

しかも、目の前にいる豚が、最低最悪なレイプ魔だから、頭が痛くなりそうだった。

シルバーは、嫌そうにしながら、尋問を続ける。


「お前らは全部で何匹いる?」


「600匹いるブヒィ!」


「え?」


「全部で600匹くらいいるブヒィー!

お嫁さんは十人ほどブヒィー!

乱婚制の良い集落ブヒィー!」


『ちょwwwwwwwww多すぎぃwwww』

『一度に、大量に生まれるタイプの動物だな、こりゃ……』

『そんなに相手したら、妖精さんの貯金が空になるわwwww』


(ど、どないすれば良い……?

1匹ごとに、5発銃弾撃つ必要があると考えたら……銃弾3000発必要だよな?

つまり、弾薬費だけで6万円?

そ、そんなぁー)


シルバーは、しばらくの間、思考停止した。


「正直に答えたから、俺と楽しい事をして欲しいブヒィー!

チッパイを揉むのは難しいけど、頑張って努力するブヒィー!」


『しかも、超楽観的だぞ、この豚』

『好戦的で、前向きに生きてるとか……戦闘向けすぎる生命体だ……。

こいつらが、現代兵器でも持ったら、あっという間に覇権確立しちゃうぞ……』

『間違いない、こいつは大物か、馬鹿のどちらかだ』



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★破片手榴弾 100円  中国製だから安いぞ。爆発して破片を撒き散らすぞ。


残金2万2000円 ⇒2万1900円


現実だと不良品(インド軍3割、韓国軍2割)が多いけど、観察系お姉さんのおかげでまともに爆発するぞ。

良い子は真似しちゃ駄目だぞ。

運が悪いと、安全ピン抜いた直後に爆発するぞ。




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(´・ω・`)主人公が今まで購入したアイテムは、こっちに全部纏めた。

http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Neltuto_tuuhan/Aitemu.html

【内政チート】「俺は農民どもに無理やり言うこと聞かせるっ!サーベル農法でチートする! 」明治時代の日本

http://suliruku.blogspot.jp/2016/04/blog-post_12.html


【小説家になろう】 「俺は自動販売機に転生してチートする!」

http://suliruku.blogspot.jp/2016/03/blog-post_84.html

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