コント 薬物

ジャンボ尾崎手配犯

第1話

伊達「やっぱり世の中興奮することは一杯あるけど、薬物を使ってる時が一番興奮するね」

富澤「間違いない……いやいや、どういうことだよ、どうしたんだよ」

伊達「いや、最近薬物絡みのニュースが多いからさ」

富澤「まあ、高知東生とか清原とかね」

伊達「だから、コントで薬物の怖さをみんなにも知ってもらおうかなと思って」

富澤「そういうことか。びっくりさせるなー」

伊達「俺が薬物常習者やるから、売人やって」

富澤「俺、売人なの?」

伊達「売人っぽい顔してるから」

富澤「俺のどこが売人なんだよ。まあ、いいけどさ」

距離をとる二人。

伊達「あー、やべ、クスリ切れちゃったよ。最近、仲良くしてたディーラー捕まっちゃったしなー。どうしよー。あ、そういえば、この前、紹介してもらった奴がいたな。ちょっと不安だけど、この際しょうがねーかー」

携帯を取り出し電話をかける伊達。

富澤「もしもし、こちら(マツモトキヨシ風に)トミザワタケシ」

伊達「なんか、前にも聞いたことあるな。あのー、これ富澤さんの番号でいいすか?」

富澤「はい」

伊達「実は、前に紹介してもらった伊達っていうものだけど、クスリをね、ちょっと買いたいんだけど」

富澤「クルミ?」

伊達「クルミじゃあねえよ、クスリだよ! リスか俺は」

富澤「ああ、クスリですね。何が御所望ですか?」

伊達「今ね、あのコカインをさ、切らしちゃって、大至急欲しいんだけど」

富澤「でしたらまず成田に行ってください」

伊達「成田に? それで」

富澤「成田に着いたら、コロンビア行の飛行機に乗って、首都のボゴタで降りてください。そこからタクシーとバスを乗り継いで、8時間ほどかけて山奥に入ると、コカ畑がありますので」

伊達「なんで原産地に直接行くんだよ! 観光スポットじゃねえんだぞ。お前がディーラーなんだから直接よこせや!」

富澤「すいません、お客さん、今キャンペーンやってまして、薬物にまつわるクイズに正解すると10パーセント割引になるんですよ」

伊達「え、クイズやってんの。そんなディーラー聞いたことないけど、まあ、じゃあ、やるよ」

富澤「薬物クイズ、スタート! 問題です。東南アジアには三カ国の国境にまたがる『黄金の三角地帯』と呼ばれる麻薬の生産地がありますが、そこに含まれていない国は次の内どれ? Aタイ Bミャンマー Cラオス Dベトナム」

伊達「えーと、どこだっけな」

富澤「あと十秒」

伊達「えーと、Dのベトナム」

富澤「正解はAの小向美奈子でした」

伊達「問題変わってるじゃねえか! もういいから、さっさと薬よこせや!」

富澤「クール宅急便でよろしいですか?」

伊達「世界のどこに、クール宅急便でコカインを送る奴がいるんだ、生魚か。普通に受け渡し場所を指定してくれよ」

富澤「じゃあ、交番の前に集合して、現地解散するというのは?」

伊達「捕まるだろうが! 飛んで火にいる夏の虫だろ、それじゃあ」

富澤「灯台下暗しと言いますけどねえ」

伊達「もっと普通の場所にしてくれ」

富澤「渋谷の109の前とか」

伊達「なんだ、女子高生か」

富澤「いやいや、人の多いところがいいんですよ」

伊達「わかったよ、じゃあ、そこに行くから、待ってろ」

携帯を閉じる伊達と富澤。

近づく二人。

伊達「おう、待たせたな」

富澤「金は持ってきたか」

伊達「当たり前だろ」

富澤「俺はバーツでしか受け取らない主義だ」

伊達「なんで、タイの通貨しか使えないんだよ。円を扱え円を」

バッグからコカインを取り出す富澤。

伊達「お土産みたいに渡そうとするんじゃねえよ。しまえ、しまえ。もっと人のいないところで。あ!」

富澤「何ですか、トイレですか?」

伊達「違うわ、あそこに警官がいるんだよ」

富澤「じゃあ、このコカインちょっと持っててもらっていいですか」

伊達「馬鹿か。職質されたら、俺が捕まるだろうが」

富澤「あ、それが狙いなんで」

伊達「俺はもう行くぞ。じゃあな」

富澤「お客さん! コカイン忘れてますよ」

伊達「ついて来るんじゃねえ」

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コント 薬物 ジャンボ尾崎手配犯 @hayasiya7

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