理系夫と文系嫁のSF用語講座
寝る犬
バタフライ・エフェクト
嫁「ねぇ、バタフライ効果って何?」
夫「……何で今更シュタゲなんか見てんの……」
嫁「そこにDVDが落ちてたから、ねぇそれよりバタフライ効果」
夫「あー、うん。初出はローレンツの『予測可能性――ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスでトルネードを引き起こすか』って言う論文なんだけどね」
嫁「なにそれ面白そう」
夫「簡単に言えば、カオスな系では初期のごく僅かな差異が次第に大きな差になり、結果に重大な変化をもたらすってこと」
嫁「……」
夫「?」
嫁「もういい。説明する気ないでしょ」
夫「え? いやいや、ごめん。えっとね、ちょっと待って」
嫁「夫の『簡単に言うと~』とか『わかりやすく言うと~』は全然わかりやすくないんだからね」
夫「はい」
嫁「世の中に出て悪い印象を持たれないように、私が諭してあげてるの。良かったね」
夫「はい」
嫁「じゃあ、バタフライ効果。早く」
夫「うーん、例えば学校のプールに小石を落とすとするでしょ?」
嫁「うん」
夫「石は1cmにも満たない小さな物でも、波紋が広がってプール全体にさざ波が立つ訳」
嫁「途中にコース区切るロープがあったら止まるんじゃない?」
夫「ぐぬぬ……いや、今の説明は語弊があった」
嫁「ホントは夫もよく分かってないんじゃないの?」
夫「いやいや……あ、嫁は今朝卵焼き残したじゃん?」
嫁「……うん、だって半熟食べられないんだもん」
夫「それを生ごみでゴミ捨て場に出す」
嫁「うん」
夫「匂いにつられてカラスが来る。カラスが来たのを見て隣のおじさんが鳥よけの反射ディスクをベランダに吊るす」
嫁「……?」
夫「ディスクの反射で目が眩んだドライバーが事故を起こしかける。和解した二人がやがて付き合い始める」
嫁「ちょっと何の話?」
夫「二人は作詞家と作曲家で、この二人が出会ったことにより、ミリオンセラーが誕生する」
嫁「意味分かんない」
夫「つまり『嫁が卵焼きを残したからミリオンセラーが誕生した』とこう言うことになる」
嫁「うーん、そうなるかな……」
夫「元の理論とは弱冠趣旨が違うけど、こう言う『一見なんの関係もなさそうな些細な出来事が大きな事象の原因となる』事を、SFではバタフライ・エフェクトとかバタフライ効果って言うんだ」
嫁「あーだからオカリンはちょっとずつ過去を変えて――」
夫「ストップ! まぁそう言うこと」
嫁「あれだね、ピタゴラスイッチみたいな感じだね」
夫「うん? うーん、そう……かな……?」
嫁「あ、あれだ。『風が吹けば桶屋が儲かる』ってやつだ」
夫「そう、それ!」
嫁「うんもう分かった、じゃあ続き見よっと」
夫「それ……なのかな? ……いいのか……?」
――了
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