らぶずっきゅん

@arith12

第1話

「こんばんは、お巡りさん今日もご苦労様です。」

 「いやあ、ほんとに困ったものですよ。」

 3日前に殺人事件が私の家のすぐ近くであった。被害者は20才くらいの女性らしい。実に物騒である。犯人はまだ捕まっていなかった。次の標的があるのかは分からないが何か対策を考えなければいけない。と言っても個人にできることなどたかが知れている。暗くなったら外に出ないだの、人のいない所にはいかないだの、そんなところだと思う。警察もパトロールを巡回させているので犯人も思うようには行動できないだろう。

 「それではお気をつけて。」

 警察とのやり取りが終わった。ボーッとしていたので何を会話したかほとんど思い出せなかった。まあ、思い出さなくても問題はないだろう。ふと、時計を確認すると夜の10時を過ぎた頃だった、とりあえず今日は寝ようと考えていたら電話が短く震えた音がした。誰からだろうか。自分に用が有るというのは何故か嬉しく感じてしまう。期待を込めてケータイの電源を押した。名前を確認すると『真部まどか』と書いてあった、一瞬誰か分からなかったが、少しして思い出した。同じ麻雀同好会のメンバーだったはず、あまり印象には残っていなかった。確か、入会したてのときにアドレスを交換したきりだった。とにかく内容を確認しなければ。内容はこう書いてあった『こんばんは、夜分遅くにすみません。近くで殺人事件があったのはご存知だと思います。まだ犯人が捕まっていないので非常に怖いのです。よろしければ私の家に来ていただけないでしょうか。実家も遠いので頼れる人が中野くん位しか思い浮かびませんでした。1人でいるのが耐えられません。場所は大学の寮の302号室です。念のためインターホンを鳴らして合言葉を言ってください。合言葉は「さくらんぼ」です。』

 なんだろう、必死なことは伝わってくる。でも、他に頼れる人がいないという点は疑問に思う。特に用事もないので断る理由もないが。場所も非常に近かい、私も大学の寮に住んでいた。302号室は隣の建物なので、5分もかからないだろう。特に準備するものもないので、財布とケータイと鍵などのいつものセットを持って外に出た。うーん、少し寒いな。季節的には秋の終わりといったところ。目的地までは近いのでがまんすることにした。階段を登り目的の3階までついた。少し歩くと302号室は見つかった。えーっと、インターホンを鳴らして合言葉を言うんだったよな。さっそくインターホンを鳴らした。

 「合言葉を」

 「さくらんぼ」

 がちゃがちゃとドアの向こうで音がした。扉が少し開く。どうやらまだチェーンは外していないようだった。

 「中野くん?」

 私は返事を返した。少し空いた隙間から真部さんの顔が見えた。少しするとドアは完全に開いた真部さんは急かすように私を部屋の中へと誘導した。間取りはほとんど私の部屋と一緒だった。ただ、緑の家具で統一された部屋の雰囲気は私の部屋より落ち着きをあたえた。

 「ごめんなさい、ありがとう、来てくれて嬉しい。」

 「いや、用事も特になかったし、明日も休みだしね。」

 会話をしたのは実に1年ぶりだろうか。複雑な状況にすこし困惑してしまう。もし、犯人が来たとして私に何ができるだろうか。相手にもよるが、私は体重がある方ではないのでできる抵抗などたかが知れている。それでも私を選んでくれた真部さんのためにもできる限りのことをしようと決意を固めた。

 「あれ、眼鏡なんかしてたっけ。」

 「ううん、普段はコンタクトなの、家にいるときは眼鏡なの。」

 なるほど、通りで記憶の中の真部さんとは違うわけだ。相手を不快にさせない程度、顔を観察させてもらった。まず、目に止まったのがおっとりとした目だった、それから整った鼻、少し小さめの口に、優しさのある輪郭、肩にかかるくらいのセミロングの髪、そして控えめな胸。地味な感じだが、どことなく自分に自信がある表情。本を読んでる姿が非常に似合いそうだ。

 「ど、どうしたの中野くん。私の部屋落ち着かない?」しまった、気づいたら真部さんの事を凝視してしまっていたのだ。

 「あ、ごめん。ちょっと事件のことを考えていたんだ」

 「そ、そうなの…?、ところで犯人の動機はなんだと思う?」犯人の動機?考えたこともなかった。まず犯人像が分からないので答えようがない。ここは適当に答えておこう。

 「愉快犯とか?、だとしたら次の犠牲者がでてもおかしくないよね。」

 「ちょ、怖いこと言うのやめてよ。警察だっているし。時間の問題よ。」まあ、そのとおりだと思った。大体の殺人事件は解決しているわけで、解決しない確率のほうが低いわけだ。

 「もっと、楽しい話題にしようよ。そうだ、麻雀同好会のお話ししてよ。」話題にするような事は麻雀同好会では起こらない、ほとんど野郎の溜まり場という感じで、日々くだらないシモネタで盛り上がっているだけなのだから。

 「うーん、そうだなー、話すとすれば歴代麻雀同好会(いつから存在するのか私は知らないが)で出てない役満は天和だけらしい」

 「えー、すごい!じゃあ国士無双十三面待ちとか九蓮宝燈とか地和は出てるってこと?何かテンションあがってきた!」

 それからもくだらない話が続き、結構打ち解けてきたころ。時間もいい頃合いになってきた、お酒も入っていて何かどうにでもなれという気持ちになってきた。そして定番の話題がやってきた。

 「で、中野くんって彼女いるの。」にやにやしながら聞いてきた。落ち着いたイメージのある真部さんの口からこんな言葉出てくるのは意外だった。完全に悪酔いしている。実にけしからん!

 「えっと、いないよ。」

 「うふふ、やっぱり。」にやにやとした笑いをしながらも可愛らしさを感じさせる。

 「そっかあ、童貞なんだあ、そうだよねえ」完全に馬鹿にしてきていた。私はきっぱりと答えた。もちろん次に言うことは事実だからだ。

 「ど、童貞じゃないよ」卒業したのは数日前のことだが。

 「え、そうなの」少しつまらなそうな顔をさせ、テンションが下がったように感じたが、一瞬のことだった。だいたい、私はもてない方ではないのだ、甘く見てもらっては困る。

 「へえー、じゃあさじゃあさ。エッチなことしたことあるんだー。へえー、ふーん」

 こういう系統の挑発で私は特に怒りはしないのだが、このままでは話が進まないので私も挑発をしてみた。

 「じゃあ真部さんは彼氏とかいたことあるの。」

 「どう思う?」意地悪な顔で逆質問されてしまった。

 「真部さんみたい人はもてるだろうなあ、しっかりしてそうだし。」正直な所感である。

 「うふふ、ヒ・ミ・ツ。」正直言って反則だこれは。

 「ねえ、キスしていいかな。」つい口走ってしまったが後悔はない、ここで嫌われても特にリスクがあるわけでもないし。

 「え、」戸惑っているようだった。少しの間沈黙が続いた。

 「いいよ」か細い声でつぶやいた。その表情は少し下を向いてて、全貌を確認することはできなかったが少し覗ける頬が真っ赤に染まっていて非常に愛らしかった。私は四つん這いに近づいって彼女の唇にキスをした。

 「っん」という声と共に体がびくンと震えた。構わず私は彼女にキスを続けた。彼女のとろんとした表情を確認すると私はたまらず勃起した。

 濃厚なキスを何分くらいしていたのだろうか分からない、どうでもいい。脳みそが溶けてしまいそうだった。

 「ごめん」抱き合いながら私は謝った。軽々しくこんなことはしてはいけないのだから。

 「ううん、いいよ」少し肌寒い部屋で彼女の温もりを最大限に感じた。

 「最後に言いたいことがあるんだ」

 「んもう、あらたまってどうしたの」

 

 


 「……僕がその殺人犯なんだ」


あとがき、

なんか寝れないんでエッチな小説書きたかったんですけど、変な方向にいってしまいました、ラストのシーンの付箋回収全然してませんしね、関連がない。たまたま真部さんは運が悪かっただけだ。

真部さんは処女なの?、どうなんでしょうか、私の理想の女性(姿)を描いてみたんですが。もの静かな感じで自分に自信がある貧乳な娘、ああ最高だ。もてるでしょうねえ、もてないはずがない。つまり二次元最高ってことだ。あとはわかるね。

長編もの書いてみたいけど途中でわけわかんなくなりそうで難しい。


ここまで読んでいただきありがとうございました。機会があれば次回もお会いしましょう。

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