2#はぐれた子オオカミ

 「みんな…みんな…どこに行ったの?」


 一匹の子オオカミが、岩場で泣き叫んだ。

 強烈な暴風雨に視界を阻まれ、はぐれてしまったのだ。


 子オオカミのムウガは、崖の側でブルブルとふるえていた。

 ムウガのお腹はペコペコだった

 とてもひもじかった。


 『狩り』の術の全く知らないムウガは、ただ泣き叫ぶだけが精一杯だった。


  子オオカミのムウガが崖の側にいてから、十数日間が過ぎ去ったある日のことだった。


 「ん?」


 ムウガは、7色のカラフルな『木の実』がフワフワと、谷底に向かって降りていくのを見た。

 子オオカミのムウガは、夢中になって崖を駆け降りた。


 「いろんな色の大きな木の実…!!艶々してて美味しそう…!!」


 大きな木の実…風船の束は、崖の下でフワフワと山風に揺れていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る