第9話「闘え玲奈! 厨房がリングだ」

 庶民的な大衆食堂である天驚軒てんきょうけんは、奥にカウンター席があり、その向こう側が厨房ちゅうぼうだ。テーブル席がメインだが、カウンターに座ればよりいっそう中華の香りと熱気を楽しむことができる。そこからは、大鍋を振るったり、香味を炎でおどらせる大将の「ハイイイイッ!」とか「これぞ東方不敗とうほうふはいが最終奥義ィィィィ!」などの奇声を聞くことができた。

 今、カウンターに並んで座る日陽ヒヨウいづるたちの前に、少女たちが立っている。

 エプロンをした厨房の二人は、阿室玲奈アムロレイナ古府谷文那フルフヤフミナだ。

 かくして、料理対決の火蓋ひぶたは切られた。

 すぐに玲奈が冷蔵庫に走り、食材を確認し始める。その背中を見守るいづるは落ち着かないが、隣の楞川翔子カドカワショウコがゆるい笑みで手を握ってくれる。翔子はいつも、いづるを安心させるために微笑んでくれるのだ。

 だが、文那は腕組み仁王立ちで動かない。


「あーら、随分とお急ぎね? 阿室玲奈。そんなに慌てても美味おいしい料理はできなくてよ」


 余裕、それも異常に落ち着き払った勝者の貫禄である。

 だが、文那の言葉に惑わされることなく、玲奈は自分の作業に集中しているようだ。その背を見詰め、いづるは祈るような気持ちで応援の視線を注ぐ。

 どうやら玲奈の料理は決まっているようで、野菜をカゴに入れて大型の業務用冷蔵庫から戻ってくる。そんな玲奈を横目に見やる文那のすずしげな眼差し。


「阿室玲奈、大丈夫かしら? どうしてもと頭を下げるなら、わたくしが手伝ってさしあげてもよくてよ?」

「私とて阿室家の女、武門の意地があるわ。それに、調理実習だってこなしたことがある……その教えの通りにやれば、私にだって」

「まったく、マニュアル通りにやっていますというのはアホの言うことでしてよ?」


 文那の余裕はどこからくるのだろうか?

 彼女はまだ、一歩も動いてはいない。

 その間にも、玲奈はぎこちない手付きで野菜を洗い始めている。その作業がどうにも要領を得ない未熟なものであることは、カウンター席でそわそわし始めた翔子やメイドの来栖海姫クルスマリーナを見れば明らかだ。

 一方で、自分こそ玲奈の本当のライバルと自称する男は冷静だった。

 富尾真也トミオシンヤは落ち着いて玲奈に声をかける。


「落ち着け、阿室っ! こういう時、慌てたら負けなのよね」

「富尾君……でも、急がないと時間が。30分しかないのよ?」

「逆を言えば、30分もある。料理は決まったな? まず一度深呼吸しろ、心を落ち着けるんだ。大丈夫、自由なメニューでだいたい30分も料理できるのよ。あなたならできるわ」

「そ、そうね……ありがとう、富尾君。なんだか、できそうな気がしてきたぞ?」


 ようやく玲奈の顔に、いつもの笑みが戻ってきた。

 りんとして涼やかで、不敵で揺るがない、そして優しげな微笑ほほえみだ。

 だが、反対に肩を小刻みに揺らしながら、文那がフフフと笑う。

 彼女はやはり、まだ動こうとはしない。

 そして、文那はおもむろにスカートのポケットからなにかを取り出した。


「ウフ……フフフ、ウフフ……オーッホッホッホ! 笑止しょうし! 笑止ですわ! あまりに笑止の極み、笑いが止まりませんことよっ!」


 いや、それじゃ笑止じゃないじゃん、むしろそっちが笑止千万じゃん……思わずいづるは心の中で突っ込む。文那は突然高笑いを始めるや、手にしたものを玲奈へ突きつけた。

 それは、どこにでもありふれたスマートフォン、いわゆるスマホだ。

 真っ赤なスマホケースは金縁きんぶちでエングレービングされており、どこかで見たことがあるような気のする紋章がデカデカと描かれている。あれは確か、ガンダムに出てくるジオンの紋章だ。


「阿室玲奈っ、わたくし存じてましてよ? 貴女は昔から機械音痴きかいおんち……果たして貴女にガスコンロが使えるのかしら?」

「っ! たかがガスコンロ一つくらい、私の手で着火させてやるわ。アルバイトは伊達だてじゃないっ!」

「あら、そう……しかし、覚えておくのね。料理の腕の違いが、戦力の決定的差ではないということを教えて差し上げますわ。まして、熱意や根性、真心といった精神論など愚の骨頂でしてよっ!」


 そう言うと文那は、白く細い指をスマートフォンに滑らせる。


「今という時代は全て、情報戦……膨大な量の情報を手に入れ、精査し、活かしてこそ。阿室玲奈っ、貴女にこんな真似ができて? わたくし、もう既に必勝のレシピを手に入れてましてよ」

「クッ、その手が……わ、私だって」


 流石の玲奈も、心の中に不安と焦りがあるのだといづるは察した。平静を装い普段の表情で望むも、気持ちは慣れぬ料理に緊張しているのだ。

 玲奈もポケットから携帯を取り出す。

 だが、いづるの左右で声があがった。


「そうだよぉ、玲奈先輩っ! わからないことはネットでググればいいんだよぉ~」

「だめだ、楞川っ! 阿室がガラケーとはいえ、携帯電話で一人でネットに接続できるとは思えん! クッ、なんという不利な条件」


 そうなのだ、玲奈は機械が駄目、苦手なのである。

 両手で握ったガラケーを、指でボチッ、ボチッと操作し始める玲奈。それすらも文那の作戦だとも知らず、彼女は張り合ってネットでの検索を試みた。

 そして、いづるの携帯電話が着信音を響かせる。

 流れる音楽は、逆襲のシャアの『MAIN TITLEメインタイトル』だ。

 まさかと思ったが、とりあえず着信に応じて通話に出るいづる。


「あ、あら、いづる君!? いづる君なのね、そう……操作を間違ったみたいだわ」

「え、ええ……っていうか、目の前にいるので声が二重に聞こえます」

「インターネットに接続しようとしたんだけども、いづる君にメールを送ってしまったみたいなの」

「いえ、メールというか……電話、繋がってますよね、これ」

「そ、そうね! ああもう、私ったら。とりあえず、一度切るわね。ごめんなさい、いづる君」

「いえ……玲奈さん、頑張ってください。玲奈さんの手作りの料理、僕は楽しみです」


 いづるが相手を見て携帯電話に語りかければ、視線の先で玲奈は少し頬を赤らめ頷く。そうして彼女はガラケーを畳むと、それをポケットの中へと押し込んだ。

 どうやら吹っ切れたようで、玲奈は洗った野菜を切るべくまな板の前で包丁を持つ。

 危うい手付きでハラハラするが、今のいづるには見守るしかできない。

 そして、まだ文那は何もせずにスマホをいじっていた。


「さて、いづる様っ! なにか食べたい料理はあるかしら。わたくしが作って差し上げますわ。いづる様に愛の手料理……これでまた一段と、親密度が増しますのね」

「いや、ええと……じゃ、じゃあ、北京ダックを」

「いやですわ、いづる様。そうやって不利な阿室玲奈の援護をしようとしても、ダ・メ・で・す・わ・よっ! ああんもう、女性に優しいいづる様も好きですわー!」


 付き合いは浅いが、古府谷文那という女……どこまでも思い込みが激しい。

 改めていづるは、クネクネ動く文那を引きつる笑いで見やる。

 悪い人ではない、悪気も悪意もない。

 だが、とんだ恋路の御邪魔虫おじゃまむしで、しかし憎むに憎み切れない女性だった。


「ふふ……いづる様に本当の中華の醍醐味だいごみを教えてさしあげます。そもそも中華料理というのは――」


 スマホを片手に、文那が得意げに語り出したその時だった。

 不意に玲奈が「いたっ!」と小さな悲鳴を上げた。

 みれば彼女は、包丁片手に指を口にくわえている。

 思わず立ち上がった翔子が、ちらりと店の大将を見た。アルバイトの山田さんが黒服二人……確か、亜堀アボリ呂辺ロベとか言うボディーガードの二人と雑談してる中でも、大将は二人を見守る立ち尽くしている。

 大将が大きく頷くのを見て、翔子がポーチから取り出した絆創膏ばんそうこうを差し出した。

 カウンターの向こうでは、玲奈がそれを受け取り溜息を一つ。


「ありがとう、翔子さん。私、意外と不器用なのね……そういえば日陽家でも、私は食べてばかり。翔子さんがセイ君なら、私はレイジ君なのよね」

「だいじょーぶですよぉ、玲奈先輩っ! わたし、沢山絆創膏持ってますから。エヘヘ、乙女のたしなみ……今度は指を切らないよう、気をつけてガンバですぅ~」

「ええ。やってみるさ!」

「玲奈先輩、ファイトッ!」


 玲奈は一生懸命、そして真剣で、ともすれば必死に見えた。そう、阿室玲奈という少女はいつでも、相手との勝負で手を抜いたことがない。常に横綱相撲、真正面から取り組み、相手の力を全て引き出して受け止める。その上で、相手の全てを超えてみせるのが彼女の戦い……"萬代ばんだいの白い流星"と呼ばれた少女に求められる勝利の方程式なのだった。

 だが、今回ばかりはそれも難しい。

 みんなで作業を分担する調理実習とは勝手が違う。

 それに、いづるも薄々気付いているが……玲奈は料理は得意という訳ではなさそうだ。彼女とて人間、文武両道で学問もスポーツも万能、教養に富み様々なセンスを持ちえていても、苦手なことくらいあるのだ。機械の操作など、未だにテレビのリモコンすら操れない日々である。

 そして、もう一つの疑問が再びいづるの胸中に浮かび上がる。


「っ! また指を。やはり刃物は苦手ね、私……三日月ミカヅキだって、最初は太刀よりメイスを好んで使ってたもの」

「なにやってんだ、ミカァ! じゃない、阿室っ! 包丁の扱いには気をつけるんですよぉ! 楞川、絆創膏だ。全く……手作り料理、血に染めて、なんて洒落にもならないぞ」

「ふええ、玲奈先輩大丈夫ですかぁ?」


 また玲奈は手を切ったようだ。

 そしてそれを、フフンと鼻を鳴らして文那は余裕の笑みで眺めている。

 そう、玲奈は常に真っ向勝負……全力全開で勝負に挑む。それは、自分が有利であるジャンルでも変わらない。全てにおいて王者、ディフェンディングチャンピオンとしての威厳を求められつつ、その望みに応えてみせるのが玲奈だ。

 だから、いづるはに落ちない。

 なにが文那のプライドを過去に傷付けたのだろうか?

 真也と並んで自分を玲奈のライバルと自称する文那の過去に、なにが?

 疑念は募るが、今は玲奈を支えて応援したい。彼女は四苦八苦して野菜を切り終えると、中華鍋をコンロに乗せた。油を取り出し、調味料や香料を確認している。


「ええと、火の強さは……これでいいのかしら。大丈夫ね、点火……けコンロ! いまわしき記憶と共にっ!」


 シュボッ、とガスコンロに火が灯る。それは、店の大将が「残り10分じゃ!」と叫ぶのと同時だった。だが、文那はまだ動かない……全く作業を進めていない。

 そんな文那の余裕が不気味で、ともすれば不可解だった。

 勝負を投げ出しているようではないが、不思議に思っていづるが見詰めていると……文那はその視線に気付いてニコリと笑った。笑顔はかわいいが、文那はいづるへと屈託くったくない笑みを向ける一方で、隣の玲奈にフフンと鼻を鳴らす。


野菜炒やさいいためね。では、わたくしもそろそろ動くとしましょう……阿室玲奈、わたくしは後追あとおいで失礼しますわ……


 ようやく文那は動いた。

 スマホをしまうと、彼女は電子ジャーからご飯をどんぶりによそい、冷蔵庫からは卵を出してくる。そしてそれらを調理台に並べると、自分で無数の中華鍋を選び始めた。

 その最中でも彼女は、余裕の笑みで鼻歌交はなうたまじりだった。

 一方で玲奈は、額に汗を光らせながら中華鍋を振るっている。


「いづる様、周富徳シュウトミトクという人のことを、知っているかしら?」

「えっと、知ってますよ。あの人は、料理の鉄人って番組を一身に背負って、挑戦者たちを倒そうとした人ですから。で、料理人としてもタレントとしても一流で、凄い人です」

「正確な評論ね、流石さすがはいづる様。なら、その言葉からすると、その人のやりかたなら効きそうでしてよ」


 そしていづるは、ハッ! と脳裏にひらめいた記憶に思わず席を立つ。

 そう、周富徳……誰が呼んだか、"炎の料理人"とたたえられた中華の鉄人である。亡くなったあとも、その腕と人柄を惜しむ声は強く、今でも多くの人たちによって親しまれている。あの有名なエビマヨを考えたのも彼で、伝統を重んじつつ精力的に勉強と修行を重ね、中華の新境地を開いた偉大な先駆者パイオニアだ。

 そして、周富徳にはものすごいエピソードがある。

 それをいづるは今、完全に思い出していた。

 そうこうしていると、玲奈が完成した料理を皿に盛り付けた。不揃ふぞろいな野菜たちがひしめき合っている、それは熱々の湯気をくゆらす野菜炒めだ。シンプルに野菜のみだが、見よう見まねで加えられた調味料の数々が、食欲をそそる匂いを醸し出している。


「残り5分じゃ! ふむ、お嬢さんは完成したようじゃな。流石はワシの弟子! しかし評価には一切手心を加えん。それがワシ、東方不敗の流儀じゃああああっ!」

「望むところです、師匠。野菜炒め……阿室、できまーすっ!」


 その時、文那が動いた。


「見えましてよっ! 水の一滴! わたくし、今まさに心は明鏡止水めいきょうしすい!」


 彼女は突然、カッと瞳を開くや働き出す。

 文那は「トランザムッ! ですわ!」と叫ぶや、テキパキと調理を始めた。残り時間は5分を切っている、しかしいづるにはわかる……彼女がなにを作ろうとしているかを。

 あっという間に文那は中華鍋をコンロにかけた。


「阿室玲奈……わかるかしら? ここで料理対決を受けた訳を」

「私たちお嬢様育ちでも、調理器具を使うことは普通の人と同じだと思ったからよ」

「そうよ、食材を調理する技はわたくしたち高貴な女といえども、訓練をしなければ」

「そんな理屈っ!」


 文那は僅かな時間で、チャーハンを完成させた。卵だけが具の、シンプルなチャーハンだ。そう、かつて周富徳は一流料理店のコックを決める試験で、限られた時間の中チャーハンを……一番得意なチャーハンを選んだ。残り時間が5分になるまで動かず、熱々あつあつのチャーハンを出すため時間を待ち、シンプルな卵だけのチャーハンで腕を見せつけたのだ。

 それを今、文那はやってのけた。

 そして、店の大将が「それまでぇ!」とポーズを決めて叫ぶ。


「二人とも御苦労じゃった。ではっ、まずはお嬢さん……阿室」

「お嬢様、お疲れ様でした。ご立派になられて……私はとても嬉しいです」


 黙って見守っていた海姫が、わずかに頬を緩めてまなじりへ指を走らせる。

 その笑みに玲奈も、額の汗を拭って大きく頷いた。

 だが、流石は一国一城のあるじ、自らの腕一本で店を支える大将……二つの皿を前に、全く贔屓ひいきや私情を挟まぬ言葉が叫ばれた。


「先ずはお嬢さんっ! ワシが見込んだ阿室玲奈の野菜炒め……む! むぅ……このっ、馬鹿弟子ばかでしがああああっ! 味付けがデタラメ、しょっぱいわい! そして、野菜には火の通りやすさ、通りにくさがあるというのに……全部同時に入れおったな! だからお前はアホなのだあ!」

「し、師匠……お恥ずかしゅうございます。この阿室玲奈、料理の中で料理を忘れたわ」

「そして、こちらのお嬢さん! 我が愛弟子まなでしのライバル古府谷文那! ふむ……この味は! この味はぁ……なっちゃいない、なっちゃいないぞ文那ァァァァァッ! お前のような聞きかじりの付け焼き刃が、周富徳を真似るなど言語道断! 形ばかりでパラパラホクホクなチャーハンにしたとて、ワシの心を、客の心を動かすことはできんっ!」


 海姫に薦められ、いづるも翔子や真也、そして黒服二人組と試食する。

 ハッキリ言って、ひどい。

 玲奈の野菜炒めは、火の通り具合から味付け、見た目も酷いものだ。そして文那のチャーハンは、形こそ周富徳の名エピソードを再現しているが、ただの焼き飯の出来損できそこないだった。そして、店の大将は料理人として当然の一言で裁きを下す。


「両者失格! 勝者などおらぬ! そもそも……料理を作る人間が、料理中に携帯電話をいじるなど骨頂こっちょう! 不衛生極まりない上に、客に対して失礼と知れぇぇぇい!」


 玲奈はハッとした表情で口に手を当て、そしてうつむいてしまった。

 反対に文那は、フン! と鼻を鳴らすとエプロンを脱ぎ捨て、厨房を出てしまう。彼女はそのまま黒服の亜堀と呂辺を連れて、店の出口で振り返った。


「また決着が付きませんでしたわね……阿室玲奈! ですが、流石はわたくしのライバルでしてよ。悔しいですけど、小手先の技と知識を用いた分、わたくしの負け……い、いえっ! 負けてなくてよ、勝てなかっただけ。……ではいづる様、失礼しますわ!」


 それだけ言うと、文那は出ていってしまった。慌てて亜堀が追いかけ、呂辺は頭を深々下げると、ふところからお代を出して去っていく。嵐の後の静けさで、ようやくエプロンを脱ぎながら厨房を出た玲奈も安堵の溜息を零す。

 厳しい顔で怒っていた店の大将は、最後に優しい笑顔になった。


「お嬢さん、最後に……何故、野菜炒めを? ワシが思うに、料理の難度だけでこのメニューを決めたとは思えんのじゃ」

「師匠……それは、その。外食はどうしても野菜不足な食事になるもの。だから、いづる君たちに少しでも野菜を、と思って。でも、私は料理を作る人間として最低なことを。食材を触る手で携帯電話を……私は取り返しのつかないことをしてしまった」

「わかればいいのじゃ、わかれば。明日も店を手伝ってくれるかのう? これからもずっと、ワシの馬鹿弟子でいて欲しいのじゃ。ドモンと一緒に、ワシを支えてくれい!」


 それだけ言うと、最後に大将は改めて皆の食事を作るべく厨房に戻ってゆく。その背を「ですから俺、山田ですってば!」と、アルバイトの青年が続いた。玲奈もニコリとみんなに微笑みかけて、元気を取り戻した声でオーダーを聞き始める。

 いづるはそのチャイナドレス姿を、自分たちを気遣きづかって生まれた塩辛い野菜炒めと一緒に記憶に刻んだ。

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