赤と白の運命

NatSumi

第1話 幼き2人


これは、彼女達の幼き日の出来事。



赤の女王、白の女王、白の騎士

そして、赤の騎士 ゼイス

彼女達が10歳の頃の話である。


「ねぇ私達ずっと友達よねぇ」

白の女王が赤の女王に問いかける

「なっ...あ、当たり前じゃない」

赤の女王も照れ臭そうに答える。

その2人の様子を白の騎士と赤の騎士は

陰でこっそりと見守っていた。

「僕らも女王を守るために

特訓しなくてはな」

赤の騎士はそっと白の騎士に言った。

「あぁ、そうだな」

白の騎士も賛同した。

自分達の未来を知る由もなく、

友情だけが深まっていく。



対立し合う二つの城

赤の城と白の城。

そこに10年前娘が生まれた。

彼女達は、自分がこの城の女王に

なることを知っていた。

互いの母親には

白の女王と

赤の女王と

関わるなと常々言われ続けいてた。


そう、その時

母親は知っていたのだ。

『運命の書』には逆らえないことを。

娘に辛い思いはさせぬよう

厳しく言ってきたのだ。

それも、運命と分かっていながら....


だが、赤の女王と白の女王が

知り合ったのは7歳の頃、

誰もいない川辺に白の騎士が

訓練しているのを白の女王は

微笑ましそうに見守っていた。

そして、少し離れた所で

赤の騎士と赤の女王が居た。

白の女王は自分と同じくらいの

年の子を見つけ走って行った。

「ねぇなにしてるの〜」

人との関わりがない白の女王は

好奇心旺盛に赤の女王に話し掛けた。

「...」

同じく、赤の女王も赤の騎士以外の

同年代の子と話すのは初めてだった。

「ふふふ、私お友達いないの

あなたよかったらお友達になって?」

白の女王は赤の女王の横に座り、

赤の女王を見つめた。

それを見たから赤の騎士は驚いた。

白の騎士も白の女王が居ないことに

やっと気付き、2人の方へ走っていく。

「女王!突然いなくならないでくださいよ」

「あらぁ、ごめんなさい」

白の女王に悪気はなさそうだ。

「...あんた、名前は?」

赤の女王は白の女王の顔を見ることなく

問いかけた。

「ふふふ、白の女王よ」

初めての友達は母親に

口うるさく言われていた

対立する城の女王であった。

しかし、2人にはそんなのは関係ない

初めての友達。

ただ、それが嬉しかった。

彼女達は毎日この川辺で話したり

遊んだりしていた。

赤の騎士も白の騎士も

そのことを母親には秘密にしていた。

永遠の友情であることを

彼女達は誓ったからだった。




そして、彼女達も運命の書を与えられた。




自分の運命の書を手に入れると

彼女達は一心に頁をめくった。

誰一人語らず、静かに....

最初に沈黙を破ったのは白の女王だった。

『嘘よねぇ?』

誰も白の女王の問い掛けに

答えようとはしなかった。


本人も含め、

誰も彼の死を受け入れないでいた。

赤の女王が一人その場を立ち去った。

誰も追うことをせず....

空気だけが重くなる。




一方、エクス達は


「そろそろ休憩しない?」

調律の巫女であり、僕達のリーダーで

あるレイナは言った。

レイナは、その場に座り込んでしまった。


「シェインも少し休憩したいです...」

僕よりも見た目は年下だが、

大人びた言動の多いシェインも

レイナの横に座り込んだ。


「だいたいよ、これだけ歩いて

誰にも会わねえって少しおかしくねえか?」

僕らの中では一番のしっかり者。

少し喧嘩っぱやいが、

誰よりも情熱を持ってる

タオは呆れ口調で言った。


確かに、森の中に入ったわけでもないのに、

1日歩いて誰にも会わないなんて珍しい。

僕は辺りを見渡した。

街も人もいない。


僕らは途方に暮れていた。


「あれ?誰かこっちに来ますよ」

シェインが指差す方を僕らは見た。

確かに、誰かこっちに歩いてくる。

あれは...女の子?

僕やシェインよりも幼い女の子が

こっちに向かって歩いて...?

いや、走ってきている。


「いやぁ〜助けて〜」


女の子は助けを求めてこちらに

向かってきてたようだ。

女の子の向こうには多数のヴィランの姿

女の子は追われていた。


「助けなきゃ‼︎」

レイナは威勢良く立ち上がった。

僕らは女の子の方へと走り、

ヴィランに立ち向かった。


ヴィラン達も僕らに襲いかかる。

「...クルルル...クルルル」




と、その時




グサッ


一体どころか多数のヴィランが

一気に倒された。


ヴィランの後ろには男の子が居た。

「白の女王無事ですか!」

男の子は真っ先に女の子の方へと向かった。

「えぇ大丈夫よぉ」


僕らは顔を見合わせた。

「まさか、白の女王と白の騎士?!」

僕は驚いて思わず声が

少し大きくなってしまって。

それもそのはず、僕らが出会った

白の女王と白の騎士はもう少し

大きかったからだ。

「む、何故私達の名前を知っている」

白の騎士がこちらを睨みつける。

「も〜そんな顔しないで〜」

白の女王は白の騎士をなだめる。



「あ、やば」

シェインが思わず声を漏らした。

それもそのはず、先程とは

比べ物にならないヴィランが

そこにいた。

「囲まれてるじゃねぇか」

タオは周囲を見渡しながら言った。



僕らは誰の合図でもなく栞を取り出した。



エクスは、その『導きの栞』を

強く握りしめた。

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赤と白の運命 NatSumi @wimper04

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