第10話「死の刻印」

■PC1オープニング・シーン4 ~死の刻印~

リザベラ:さっきの重要ワードだ。


GM:シーンは先程君が叫んだ直後、上空よりぽっかり空いた穴から魔族達がこの都へ進行してくる。

ちなみに君は両腕の疼きが尋常じゃなく痛み、ほとんど動けないほどだ。

「―――イオス様!」

そう言って駆け寄ろうとするのはセクエンツィアだ。


イオス:「近づくな!危険だ!」


GM:「で、でもっ!」

逡巡するセクエンツィア。だがその瞬間、始めて聞く男の声が耳に入る。

「その通りだ。そいつに近づくな、娘」

通路の奥から聞こえたその声。

見るとそこから現れたのは褐色の肌をした一人の戦士。


イオス:うわ、出た。


GM:「……くっ、もう発動しかかっているか!」

君の姿を見てその男は舌打ちする。

「覚醒する前に―――殺すッ!!」


イオス:げっ!


GM:男は地を蹴って君へ向かってくる。その瞳には何のためらいも無い。

だがその瞬間、褐色の戦士は後方より放たれた爆光が男の背中に命中し

男は大きく身体のバランスを崩す。

「……ぐッ! 何者だッ!!」

褐色の戦士が後方を見ると、そこから現れたのは――君の友イクフォードだった。


リザベラ:これは予想外。


GM(イクフォード):「悪いな。そいつを殺させるわけにはいかないんだ」

いつもの軽口でイクフォードが言う。


イオス:「遅いぞ……馬鹿野郎……」


GM:「……邪魔をするなら、貴様から斬る!!」

言ってイクフォードへ向かっていく褐色の男。

だがそんな男の行動に慌てる様子もなくイクフォードは掌にて生み出した光を男の方へ向ける。

「おっと。悪いけど、ここでアンタの相手をしている暇はない。退場してもらうぜ」

そう言ってイクフォードから放たれた光に包まれた瞬間、褐色の戦士の姿が消えていく!

「―――しまッ」


イオス:本当に何者だこいつ…。


GM:その言葉を最後に、褐色の戦士は姿はこの場より消えた。

「よお、イオス。どうやら、発動したみたいだな」

イクフォードはいつもと変わらず飄々と君に近づき聞いてくる。


リザベラ:なんで知ってんだよ


イオス:「その口ぶりからすると……この痣のことを知っているらしいな……」


GM(イクフォード):「ああ、そいつは魔王の呪いサクセサー・オブ・サタンの一つ、死の刻印タナトス・スティグマと呼ばれるものだ」


イオス:「《魔王の呪い》……魔王の力を受け継ぐ烙印か……」


GM(イクフォード):「でよ。こんな状況でなんだけど。オレ、今からお前の使用人やめるわ~」

とそんなことをアッサリ言うイクフォード。


イオス:「……お前何を言っている」


GM(イクフォード):「なあ、イオス。お前、レオード様を超えるって言ったよな。 悪いけど、そいつは無理だぜ」


イオス:「なっ――!」


GM:「お前は自分から『弱点』を作ったんだよ。『人との繋がり』って言う弱点を」


イオス:「貴様に何がわかる!!」

そのセリフは見過ごせねえ。


GM(イクフォード):「お前はオレとセクエンツィアに心を許した。

だが、それは同時にオレ達に対する油断を作ることとなった。

信じることはな、裏切られて傷つく事と隣りあわせなんだよ」

いつもとは違う冷たい口調でイクフォードはそう語る。

そして、その瞬間、君の両腕に現れた真紅の刻印が完全に刻まれる。

「さて、と。これで完成だな、お前の死の刻印タナトス・スティグマ

これから先、お前は罪を背負う事になる。それをどう受け止め、生きていくか。見させてもらうぜ」


イオス:「やかましい! 貴様は考えたことがあるか! 力を得るほど、己を高めるほど、奴に近づくほど削られる自分自身を! 自分が第二のレオードになるのではないかという恐怖を! 人との繋がりは、俺が俺である証だ! たとえこんな烙印を刻まれようとだ!!」


GM:君のその言葉に対しイクフォードは笑みを浮かべる。

見るとイクフォードの背後にはこの城を襲っていた無数の魔族達が存在し、その頭を垂れていた。

「ははっ、お前らしいセリフだな。まあ、そう思うんならその道を貫いて見せろよ。

それから最後にオレの本当の正体を教えておいてやるよ。

この大陸の魔族たちを統べる『四柱テトラード』の一人、イクフォード=ゼオルデスだ。それがオレの本当の名だ」


リザベラ:三人目!?


GM(イクフォード):「じゃあな、イオス。今回はお前の刻印が刻まれたのを確認できればオレの任務は終了だ。けど次に会った時は敵同士だぜ」


イオス:「いいだろう……」


GM:その瞬間、君の両腕の刻印から“ぶしゃあああああッ――”と異形の形をした無数の紅い刃が生える。それは全長100m以上へと変貌し、無数に枝別れて行く。


イオス:げえっ!ボスキャラみたいになっちったい!

「がああっ!」


GM(イクフォード):「おっと……巻き添えを食わないうちに消えるわ。じゃあな、イオス」

そう言ってイクフォードは姿を消す。

「イオスさ―――」とそれと入れ違いのように君の隣りにいたフローリアが。


イオス:「逃げろッ!!」


それはイオスが本能的に感じた自らの力への恐怖。それに対する警告だった。

だが、それを行なうにはあまりにフローリアとの距離は近く。

あまりに己から生まれた力は強大過ぎ、そして……。


“どすっ――”


GM:その瞬間、君は肉を切り裂く感触を腕の刻印から感じた。

「―――え」

見ると君の腕から生えた真紅の刃がフローリアの身体を貫いていた。


イオス:「フローリア王女ッ!!」


GM:そして間髪入れずに“ぐしゃああぁ!!”と続けて生えた真紅の刃が

フローリアの身体を無数に刻み殺していく。

いや、フローリアだけでなく君の腕から生えるそれは周りの、この城にいる人間全てを標的にするかのように襲い始める。


イオス:えっと、何か行動できる……?


GM:ううん。無理だよー(笑)


イオス:ぎゃーす!


GM:「ぎゅああああああぁぁ!! な、なんだこの赤い刃は―――」

「や、やめろ! た、たすけ、たすけ――」

“どすぐしゃげきどすどしゃ―――”

君の意思とは無関係にその刃は城中にいる全ての人間を惨殺する。


イオス:やばい、やばいって!


GM:やがて、君の刻印が眩い紅い輝きを放ち――!


そして、次の瞬間、王城は―――この世から消滅した。


イオス:いきなり規模がでかい!


GM:そして、次に目を覚ました時。君は瓦礫の山に立っていた。

辺りは血と肉片と死体の海と化している。見ると君の足元には幼い子供の死体まであった。


イオス:「そんな……何だ……これは……」 腕は…?


GM:腕は元に戻っている。そして先ほどまであったざわめきも治まっている。

ただし、しっかりと刻印は刻まれているが。


イオス:「そうだ、セクエンツィアは?!」


GM:ぱっと見はいないね~(笑)

そうやって声を上げると君を囲むように生き残った兵士達が出てくる。ざざッ!と。

「…き、貴様…! よ、よくも…よくも俺達の国を! 友を!息子をぉぉッ!!」


イオス:「俺に近づくな! 早く逃げろ!  俺を恨んでもいい! 憎んでもいい! 早く逃げて生きろ! またいつ発動するかわからない!」


GM:「……イオス=ヴァルムオンド」

と、君の背後から現れるのはこの国の王・ジルナウスⅡ世。

その手にはフローリアの服の破片を握り締めていた。


リザベラ:あ、王様死んでなかったんだ


イオス:「陛下、早く逃げてください……」


GM:「……先ほど、お前はそれがいつ発動するか分からないと言ったな。

ならば、それが発動する前に貴様を殺せばいいことだ」

とその目には自らの娘を殺され、君に対する憎悪をみなぎらせていた。

「イオス=ヴァルムオンド! 貴様を処刑するッ!!」

その宣言と共に君の周りにいた兵士達が君目掛け襲いかかってくる―――!

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