グリムノーツ 太陽神の想区
@alusi
第一章 月のない夜
運命の書通りに演じていたはずなのに______
なぜ_〝ストーリー〟は壊れていくのでしょうか___
あぁ__恐ろしい_____
長女として生まれてきたのだから__
きちんとしないと_____
恐ろしい____
誰も____
気付いてくれない______
想区を繋ぐ霧を抜けると、辺りは真っ暗な高原だった。
真っ暗と言っても何も見えない訳ではなく、夜のような薄暗さ。
「暗いわね・・・いきなり夜なのかしら?」
「いや・・・でも月が見当たらないよ?曇っている訳でもないみたいだし…」
そう。エクスが言ったように、空が曇っている訳でもないし、だからと言って夜でもない。空を見上げてみても、月が何処にもない。
早朝や夕方のように微妙な明るさでもない。
それに気が付き、全員が固まる。
明らかにおかしい状況に全員が唖然として居る中、タオが口を開いた。
「は・・・じゃあなんで・・・」
タオがメンバーに疑問を投げかけようとした時だった。
「うわぁぁぁぁぁぁん‼‼」
「だ、誰かぁぁぁ‼‼」
少し離れた場所で少年の悲鳴と女性の声が聞こえた。
まさか、そう思ったエクス達。顔を見合わせ、コクンとうなずく。
一同は声のする方へ向かった。
そこには、ヴィラン達に囲まれた親子が。
ヴィランはこちらに気付き、敵の四分の三が近寄って来た。
でも、戦意のない親子の方には四分の一が残っている。
「まずいですね・・・早く助けましょう」
「エクス!あの親子の方にいってあげて!」
「わかった!」
エクスは三人と離れ、親子の元へ駆け寄る。
「・・・手を抜かないでくださいよ」
「言われなくても!」
タオとシェイン、レイナが前に出て変身する。
タオは白の騎士で前線を。シェインはホワイティで後ろから援護。
そしてレイナは鏡の国の時計ウサギで攻撃しつつ回復。
対してエクスの方。
「大丈夫?!僕の後ろに隠れてて!」
「あぁぁ・・・ありがとうございます・・・」
エクスはファントムに変身。
レイナ達が三人に対してエクスは一人。だが、エクスが変身したファントムは大剣使いのアタッカー。
人一倍攻撃力が高いため、向かって来るヴィランを全てなぎ倒した。
・・・その戦いはあっという間だった。
親子を囲っていたヴィラン達をきれいに倒し終えると、レイナが親子の傍へ駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
「あ、ありがとうございます…おかげさまで命を救われました・・・」
泣いている少年を抱きしめる少年の母親は震えていた。
「いえいえ!・・・あ、あの、実は私たちここに来たばかりで何も知らないんです。よろしければ・・・」
「あぁ!旅をしていらっしゃる方ですか!・・・なら、ここに来ていろいろ驚いたでしょう。助けていただいたお礼・・・村まで案内します」
「あ、ありがとうございます!」
「これで一安心だな。」
「そうですね。暗い中高原のど真ん中で佇むよりはマシです」
シェインの言う通り、ここは真っ暗で高原。
こんな開けた場所にいたら、ヴィラン達の思うつぼだろう。
「早くここから離れないとまたヴィランが来るわよ!」
「・・・高速フラグ回収おつです」
「え?」
シェインの言葉にまさかと思ったレイナはギギギ・・・と首をひねり、後ろを見る。
そこには大量のヴィラン、そしてご丁寧にメガ・ヴィランまで。
「うわぁ?!たくさん居るよ?!」
「もう!しょうがないわね・・・ぱぱっと終わらせるわよ!」
今度はレイナが白の女王、シェインがミーアになってヴィラン達に突っ込む。
しかし、ヴィランが予想以上に多く、なかなかメガ・ヴィランの方へ行くことができない。それをいいことに、メガ・ヴィランは火を吹いてくる。
「なかなか先に進めないわね・・・しょうがないわ・・・」
白の女王の持っている魔法書に光が集まる。・・・そして
「どいていただける?」
ヴィランの群れの中心部に紫色の雷が落ちた。
ヴィランたちはその雷の威力に耐えられず、きれいに吹き飛んだ。
その空いた道をミーアが走りぬける。
そしてミーアはメガ・ヴィランに向かって大剣を振り上げ、
「遊んで遊んで!!」
一気に振り下ろした。メガ・ヴィランはその必殺を正面から受け、倒れた。
・・・圧勝。メガ・ヴィランが居ても居なくとも容赦はしない。
ヴィランはきれいに居なくなった。
こうして、タオ・ファミリーの一行は近くにあると言う村まで案内してもらうことになったのだ。
「・・・そういえば、なんでこんなに暗いんですか?曇っている訳でもないし、月が見当たらないから夜って訳でもなさそうですし・・・そもそも、朝なんですか?」
「あぁ・・・今はちゃんとした朝ですよ。だいたい8時頃です。」
「ではなぜ・・・」
「・・・私たちはこの、太陽の出ない夜以外の時間を〝月のない夜〟とも言っているんです。」
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