6

1


冷ややかに橙滲む海霧が浜百合濡らす夏の始まり













2


別れ傘ぎん針散らす街灯が照る頬濡らす秋雨の水
















涙ぐみ息を継ぐ魚河岸の空さっき殺したさかなのうろこ
















4


海賊よ世界のすべてここにあり積み木の城で孫を待ち伏せ














5


ひっぱってよじって切ってまた編んで縁が織りなす美しき綾














6


埋め火かと思いや揺らぐ熊の笹小春日和の午後のうたた寝














7


水草に絡む尾の傷血の筋はあの子の秘めた子猫の仕業














8


床を這い砕けたグラス指を切り赤ワインが一粒一粒





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