第4話 街からの脱出

城の入口を抜け、4人は外に出た。

その光景の前に4人は驚きを隠さずにはいられなかった。

「何なの! これ!」

その街はヴィランで溢れかえっていた。 まるで、王様の逃げた先へは行かせないぞと言わんばかりの通せんぼをしていたのだ。

「このヴィランを全て倒していけってか?」

ざっと見ただけでも、数百匹以上のヴィランがいる。

所々には、メガヴィランも混ざっており、守りが強固であった。

「全て倒すわよ。 そうしないと、先に進めないのだから」

「姉御の言う通りです。 このヴィラン達はきっと、王様を守るためにいるんです。 もし、逃したら、後ろからやられるかもしれませんよ」

「全て倒さないといけないんだね。 皆、行くよ!」

エクスの声と共に、4人はヒーローにコネクトする。

そして、ヴィランの群れに突撃した。

ドン・キホーテが前線に立ち、盾で守りながら前進する。

そのすぐ後ろに、ハンプティはドン・キホーテを守るように周囲のヴィランを斬り伏せていった。

エイプリルは魔法で皆の士気を高める。

アリスは、後方にいる敵を1匹ずつ確実に仕留めていった。

しかし、このチームワークもある者によって潰されようとしている。

メガヴィランである。

機械型のメガヴィランはアリスの弓を受けながらも、少しづつ前へ進んでくる。

「駄目〜! 止められないよ〜」

「私が行くわ!」

エイプリルはアリスの声に反応し、機械型のメガヴィランに魔法を畳み込む。

メガヴィランは怯みはしたが、倒れるとまではいかず、前へ進もうとしている。

「それなら!」

エイプリルは走って、メガヴィランの前に立ち、

「この距離はどう!?」

エイプリルは近距離で魔法をメガヴィランに叩き込んだ。

エイプリルの放った光魔法は周りのヴィランを巻き込んで、光に包まれていく。

「やった!?」

エイプリルが勝利を確信したかの様に言い放ったが、光の中に赤い眼光が見える。

「嘘でしょ!?」

そう言って、エイプリルは回避行動をとろうとしたが、一歩遅かった。

エイプリルはメガヴィランの突進に吹き飛ばされ、宙を舞った。

メガヴィランの突進はエイプリルを吹き飛ばしても、止まろうとはしなかった。

その先にはアリスがいた。

アリスは、メガヴィランの突進を止めようと、弓を引いて放つ。

しかし、メガヴィランの突進は止まろうとはしなかった。

アリスは、矢を放つ。

何回も放つ。

「止まって! 止まって! 止まって〜!!」

まるで、矢に願いでも込めるかの様に放った。

メガヴィランは矢の猛攻に耐え切れず、アリスの手前で倒れ、霧の様に消えていった。

「エイプリルは!?」

アリスはメガヴィランを倒したのを確認してから、エイプリルの元に向かった。

エイプリルの元に向かうと、ヒーローのコネクトが解除されており、そこにはレイナの姿があった。

「ごめんなさい。 どうやらエイプリルはもう限界みたい……。 安全な場所に行って、隠れてるね」

レイナがそう言うと、アリスは頷いて、残りの二人のところへ行った。

レイナは、城の方向へ向かって走った。

「みんな、無事に帰ってきてね」

レイナは願いを込めるように独り言を呟いた。



「敵はまだおるのか!」

「ま〜だいるみたいだね。 まったくしつこいやつらだよ」

ドン・キホーテの声にハンプティが軽口を叩く。

「ならば、わしが前へ出る。 後ろは任すぞ!」

「はいよ。ラ・マンチャの騎士さん!」

二人はヴィランを退きながら、前へ進んでいく。

退けた先には、鳥型のメガヴィランがいた。

「おや? 俺様の出番かな?」

ハンプティは軽口を叩いてはいるが、額には汗をかいている。

「大丈夫じゃ! わしが防いで見せる!」

鳥型のメガヴィランは突風を巻き起こし、ハンプティ達の足を止める。

突風を巻き起こした直後、メガヴィランは竜巻を起こして、ドン・キホーテにぶつけようとする。

ドン・キホーテは盾で塞ごうと、構えはしたが、盾では抑えきれずに吹き飛ばされてしまう。

「ラ・マンチャに栄光あれ〜!!」

その声が周りにいる者にも聞こえる様に言う。

すると、メガヴィランの翼には矢が数本刺さっており、動きが鈍っている。

「レディの嗜み教えてあげる」

その言葉と同時に複数の矢がメガヴィランに刺さり、倒れたのを暗示する様に霧ように消えた。

「そっちはどう?」

「今はドン・キホーテがどうなっているかだね」

「分かった。 倒れた所に行ってみるね」

「援護射撃も忘れないでくれよ」

「は〜い」

アリスが軽い口調で答えた後、二手に分かれた。

ハンプティは残りのヴィランを倒しに、アリスはドン・キホーテ……いや、タオの無事を確認しに行った。

アリスはドン・キホーテの吹き飛ばされた場所へ向かう。

その場所には、コネクトが解除されたタオの姿がいた。

「すまない。もう限界みたいだ。 防ぎきることができなかった」

「大丈夫よ。 その後、私が仕留めたから。 レイナちゃんなら城の方で隠れてると思うからそっちに向かってね」

「すまねぇ! 後を頼む!」

タオはそう言って、城の方向へ走って行った。

アリスはタオが安全な方角に走っているのを確認してから、ハンプティの所に戻った。

ハンプティはヴィランの数をどんどん減らしていってる。

先程までの軽口も無くなっており、今は肩で息をしている状態だった。

いくら斬り伏せても湧いてくる……。

ヴィランが減る様な感じがしないのだ。

ハンプティはそれでも、ヴィランを斬っていった。

かなり数は減らしているはず……。

そう思いながら、ヴィランを斬った。

しかし、いくら斬っても湧いてくる。

これにはもう手立てがない……。

そう思った矢先であった。

「悪い子は寝てなくちゃ駄目よ!」

その声は、ハンプティの後ろから聞こえ、横には高速で何かが通り過ぎた。

その何かは複数のヴィランに刺さり、次々へと消えていく。

その何かは矢だった。

声の主はアリスだったのだ。

そこからは二人でヴィランを倒していった。

何匹斬ったのか、射ったのかもう分からない数を倒した。

そして、ヴィランの数が減っていき、街の入口が見えてきたのだ。

街の入口周辺にいるヴィランを倒していきながら突き進む。

そして、入口周辺のヴィランを倒し終わり、入口に向かおうとしたが、上空から何かがやって来る。

その何かは、街の入口に降り立った。

メガヴィランだった。

しかし、先程の機械型、鳥型とは違うタイプだった。

見た目で一番近いので表したら、ドラゴンだ。

そのドラゴンは、鋭い眼光で二人を見る。

二人を敵とみなしたのか、二人に向かって炎を吐き出したのだ。

二人は後ろに下がり、炎を回避する。

アリスは後ろに下がった後で、すぐに弓を引き、ドラゴンに向かって矢を放つ。

ドラゴンの皮膚に矢は刺さったが、大したダメージにはなっていなかったようだ。

ドラゴンはアリスに眼光を向け、火球を放った。

避けようとしたが、反応が間に合わず、火球はアリスに当たった。

アリスはダメージに耐え切れず、ヒーローのコネクトが解除され、シェインに戻ってしまった。

「これはヤバイです」

ドラゴンはシェインに眼光を向けたままで、次の火球を撃とうとした時、

「真っ二つにしてやるぜ!」

ハンプティはドラゴンの懐に入り込んでおり、ドラゴンに乱舞技を決めた。

ドラゴンはハンプティの乱舞技に耐え切れず、体が崩れ落ち、霧のように消えていった。

ハンプティは周りにヴィランがいないかを確認した。

ヴィランが全ていなくなったのを見てから、コネクトを解除し、エクスの姿に戻った。

エクスは、すぐさまシェインに駆け寄り、

「大丈夫?」

「新入りさん、助かりました」

「良かった。 ヴィランも片付いたし、レイナとタオを呼びに行こうか」

「そうですね。 では、一度城に戻りましょう」

そう言って、二人は城に戻り、ヴィランとの戦闘が終わった事を伝えた。

「そうか! じゃあ後は王様をぶちのめすだけだな!」

「タオの言う通りだね」

タオの言葉にエクスも同意する。

4人は想区の入口へと向かった。

この物語を完結させるために。

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