小さな体を抱きしめてⅠ

ぴちゃ…と水音が響き、キュリオの周りを波紋が広がっている。子供を手放さなくてはいけないほど国は傾いていない。それどころか国も人々の心も潤い、捨て子などしばらく出なかったほどだ。城にある孤児院などは両親に先立たれた子供など、そのような境遇の者たちしかいない。


何も知らぬであろうこの純粋無垢な赤ん坊が不憫でならないキュリオは、その小さな体をそっと抱きしめた。すると、腕の中の彼女の手が不安そうにキュリオの胸元に触れる。


「何も心配はいらないよ、私が傍にいる…」


赤ん坊の不安を全身で受け止めるようにキュリオはその腕に力を込めた―――――


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