虫歯物語

若狭屋 真夏(九代目)

 「変態宣言」

僕の名前は「上杉空」24歳になる。2流の大学を卒業して、今は営業マンとして毎日を働いている。

はっきり言っておこう。「僕は変態だ」と。。

「変態」といっても「世間に害をなす」ものではない。つまりは性癖とかというものではない。

ではなぜ僕がここで「変態宣言」をしたか。僕の変態は「ぐらぐらした歯」を手で触っては楽しむ。という行為だ。

だからと言って、歯磨きをしないわけではない。

むしろ営業だから「必死」に支度をしていないといけない。

半月に一度は歯医者に行って「やに」のクリーニングをしてもらう。

それなのになぜか虫歯が出来るのだ。

「歯痛を知らない人間は人生の苦しみの半分も知らない。」とどこかの哲学者がいったが、僕は24にして「人生の苦しみ」の半分を経験したことになる。

しりあいのばあちゃんが「歯磨きを全然してないのに虫歯になったことがない」と聞いて僕はそのばあちゃんが「哀れ」に思った。

だってあの「ぐらぐら」と歯を動かす「快感」を彼女は得ることがないのだから。

とはいえ、僕もなりたくて虫歯になるわけではない。

僕が行く歯医者さんは自宅から徒歩2分で着く。

その歯医者さんに選んだのは「可愛い歯科助手」さんがいるからだ。

僕は「虫歯」というものを「趣味」と「出会い」のために使っている。

「神経」のどことどこを切ったか、とか全然覚えてなくて、ひょっとして「神経」って復活するのか?」なんて思っている。

正直、「大人のDVD」には歯医者さんの歯科助手さんがいろんなことをしてくれる。なんてシリーズがあったが(僕はそういうのは趣味じゃないので見てない)そんな感情を持ったことがない。

ふつーに椅子に座り、白髪の先生に神経を切られたり、虫歯を抜かれたりする。彼女は「専属」(ってそんなサービスがあるのか?)になっている。

そして今日も歯医者に向かう。

僕の虫歯物語はまだまだ続くのだ。

ついでに彼女との恋も。。。。。と言いたいところだが、彼女の名前も知らない。いや、素顔も知らない。いつもマスクをしている(当たり前だが)

マスクの下の顔を見てみたいものだ。と思っている毎日だ。

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虫歯物語 若狭屋 真夏(九代目) @wakasaya

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