第2話 消された存在
一昨日。水曜日の部活後。
『また明日ね!』
5人「はいっ!」
やけに明るいその先輩は彼女達に『また明日』とだけ伝えて帰った。
翌日。木曜日の部活前。
宝陵中ソフトテニス部の伝統(?)は部長=さやがコートを開け、メニューを聞きに行くというものだった。
桃池「さや〜!先輩は?」
朱山「確かに…遅いね。
ついでに聞きに行ってみるよ。」
そう言ってさやは職員室に鍵を返しに行った。
準備を済ませ、部活開始の時間になっても先輩はやってこない。
翠川「さや、遅くない?」
蒼江「何かあったのかな…?」
まなとりなが考え出したところにさやが帰ってきた。
朱山「ごめんごめん、走るよー!」
先輩のことについては一切何も言ってない。
黄堤「さや、先輩は?」
朱山「後で話す。」
さやの強ばった表情から只事ではなさそうだとゆきは察した。
部活後。
帰る方向が同じ5人はいつも一緒に帰っている。
ゲリラ豪雨のせいで早めに終わった部活の帰り道。
既に雨は止んでいるが、湿度がやたらと高いようでジメジメとしている。
黄堤「後で話すって言ったことなに??」
控えめにゆきが訪ねた。
朱山「あぁ、あのこと…。」
ふぅーっと大きく息を吐いて彼女達にしか聞こえないような声でそっと言った。
朱山「どうやら私達以外全員から先輩の記憶が抜け落ちてる…いや、消されてるの。」
桃池「え?何で?どういう事?!」
朱山「分からない。」
さやは首を横に振った。
朱山「詳しい事は明日ね。
明日は部活も休みだから。」
これが昨日の事だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます