魔法少女あらみたまさん
清見ヶ原遊市
序、ゆらゆらと
いつの間にか、居眠りをしていたらしい。
ふっと浮上した意識に、寝るな、と自分で自分に喝を入れる。
また、自分の願いを延々と繰り返し、音にする。
もう何度になったか分からないほど繰り返した願い事を言い終えて。
深呼吸して顔を上げると、ことん、と音がした。
直後、目の前に落ちてきたのは、願いを叶えるための道具。
手の中に納まる大きさの小箱。
軽いそれを拾い上げる、手が震えて何度も取り落とす。
小箱を捧げ持って、深く深く頭を下げた。
これが欲しかった。どうしても、どうしても欲しかった。
手の中に納まるほどの小さな道具。
これで全てを変えるのだと、男の頬が緩み、額にじわりと汗が浮く。
「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございますありがとうございますありがとうございます……っ」
男の髪が背中から床にふわりと広がる。
「これで、全てのオニを、封じられ、ます」
ごつん、と床に額を押し当てる。
男は笑っていた。
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