Blue World

速水 綸

ミライのカコ



『時間』を売れるなんてウソだ。

そんなうまい話があるわけないじゃないか。

そもそも時間を売るとか超能力かよ。



その噂を聞いた時、俺はこう思った。

知ってる限りでは現代に時間を売るなんて技術はないし、売れたとしても代わりに夢とか友達が手に入るなんてあり得ない。

普通の人なら何処かの誰かがばら蒔いたデマだろう。とかしか思わないだろう。




子供の頃、よく親にこう言われたのを覚えている。


「時間は限り有るものなの。今を大切に生きていかないと絶対に後悔する時が来るから、やりたい事はちゃんとその時にやりなさい。人生は一度きりなのよ。」


小さかった俺はこの言葉が如何に大切かは理解していなかった。というか、理解できなかった。


まだまだ小さいから時間なんて余裕なんて思っていたのだろう。

まあ、少し前の俺も同じ考えだった。


でも違った。消えてから気付いた。


誰かがいなくなった時に分かるように、無くなってから気付いたんだ。


気付いてからでは遅い。間に合わないんだ。


お願いだ。今を大切に生きてくれ。

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