第121話 妙な感じである?
「くぁ……また出たのであるか?」
卯之原亭での食事のあと、ポチと共に部屋でだらけ切っていたところでコーリィ達がようやく帰ってきて、依頼の内容を聞いているのである。
武装した魔物であるかー……そもそもが人間より能力に優れた魔物が人間の武器や防具を使いこなすとなると、それだけで脅威であるよな。コーリィ達は退けたようではあるが。
さて、そのコーリィではあるが……我輩を抱き留め、毛を撫でたり肉球を触っている。曰くネコ様成分補給なのだと……ちなみに次はティナが予約済みである。我輩は前世でも撫でられ慣れているから平気であるが、あまりしつこくするでないぞ?
「それにしてもネコ、なんだかいい匂いがするね?もしかしなくても外で何か食べた?」
「うむ。」
「やっぱりアンタ、大人しく留守番してなかったわね?」
ロッテの小言は華麗にスルーである。貴重品は我輩が預かっているし輩に入られても気にすることはないであろう?盗るものないんであるし。
「盗られるものがないからと思ってたら甘いわよ、ネコ……?」
「うん?」
「世の中にはね、いるのよ……女が止まった部屋だからって侵入してベッドの匂いを嗅ぐ男が……!そしてベッドに落ちている毛を拾ったりする男も!」
「妙に具体的に言うであるな……まさかロッテ」
「それ以上言わないで。」
あ、はい。今後はしっかり留守番するである……分身にでも任せて。
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その夜、我輩は妙な感じがして目が覚めた。
妙な感じとは、体中に静電気が走るような、ゾワワッとした感触である。
どちらかと言えば不快な感覚に我輩の眉間にしわが寄る。誰か知らんが我輩の眠りを妨げおって……
「ネコ……?」
「ティナよ。お前も何か感じたのであるか?」
「ヴウ……?」
「ポチでもあるか?」
コーリィとロッテは依然として眠っているであるな。安らかな表情をしてる様子から我輩同様の変な感覚は襲ってなかったみたいであるな。
「ちょっと外に出るである。」
「待って私も行く。」
「ポチはここで待機してほしいである。」
「ワウ。」
ポチに2人の警護を頼むと我輩とティナは窓から抜け出し宿の屋根まで登り詰める。
ふむ、外に出るとより不快な感じが増したであるな。どう考えてもこれは……異常であるな。屋根からそこら中に視線を向けてみると我輩同様にこの感覚に目が覚めたのか、窓から顔を覗かせる従魔もちらほらいるであるな。
「ネコ、この感じ、街の外からしない?」
「するであるよなぁ。行ってみるであるか。」
我輩の言葉にティナは無言で頷く。いつもであれば「ネコと一緒だー!」だなんだと喜色で顔を染めたかもしれないが、事の異常さを察しているのであろう真剣そのものである。
本来街の外に出てはいけない我輩はティナの陰に隠れ、変な感覚の発生源であろう方向へと向かってもらう。……もちろん、無断で外に出てバレてしまっては事なのでちゃんと門から出るであるぞ?
「お?ワーウルフの嬢ちゃんじゃねぇか。」
「こんばんわ。外に出たいんだけどいい?」
「おぉ、構わねぇけどよ。今日は何かあんのか?さっきもAランク冒険者のカルラさんが出てな?」
……え、カルラ来ているのであるか?
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