第11話 吾輩病気にかかったである?
「なるほど。確かに商人であれば何かしらの手段は持ち合わせているであるな。」
吾輩としても盲点だったであるが、これならワイバーンの処理も問題なく行われるだろう。
「その商人は信用できる人間であるか?」
「あぁ、大丈夫だ。長年続けてきた取引相手だぜ?」
ギィガが言うには、ワーウルフ達は育てた野菜や狩った魔物の肉を商人が買い取り、商人は街の日用品を売ってくれるのだと。
料理が盛り付けられた陶器の皿はそういうことだったであるか。吾輩納得。
ワーウルフ達のお墨付きなら信用してもいいかも知れんであるが、まずは一目見てから確認せねばな。
「ぃよっし!んじゃネコも無事だったことだし、戻るか!」
ギィガの声に応えワーウルフ達は立ち上がり、大きく吠える。その吠えるの何とかならないんであるか。凄いうるさい。
よし、ティナから降ろされたことだし気を取り直して吾輩も自分の足で……ってあれ?力が入らない……?吾輩としたことが地に臥すことになるとはっ!
「ネコ?どうしたの?立てないの?」
「う、うむ……」
「あーそりゃあれだ。お前魔力大量に使ったんだろ。」
「あ。」
使ったであるな。練習に使ってワイバーン戦にも使って……特にワイバーン戦は大量に使った記憶がある。
一番消費が激しかったのはやはり最後のウィンドカッターであるな。あれを撃ってから疲労感というか何かが抜ける感覚が凄かったである。
「それは魔力欠乏症って言ってだなぁ……確か――」
やはり魔力には限界があったみたいであるな。ギィガ曰く、使い切ると多大な疲労感が襲って来て動けなくなるらしい――今現在の吾輩がそうであるな!もうだるくてだるくてしゃーないである!
ワーウルフ自体魔法を使うものが滅多に現れないらしいのに、何故ギィガが知っているのかというとラナイナが魔法を使えるらしく、彼女が小さい頃同じ症状になったことがあるとか。その時村に来ていた商人に原因を教えてもらったらしい。
そしてこの症状だが、必ずしも悪いものではなく、治った時には魔力の最大値が上がっている時があるらしい。
んー?これどこかで聞いたことがあると思ったら、前世でテレビでやっていたであるな。確か、『超回復』とやらであるか?あれは筋肉であるから……それの魔力版ってところであるな。
さて、そういう訳で吾輩、動けないのであるが……結局、恥ずかしながらティナに運んでもらったである。
最初はギィガに頼んだのだが、案の定ティナがゴネてゴネて……ギィガにティナに運ばれるように頼まれる次第である。
全く、随分懐かれてしまったである。
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「まぁ、ワイバーンを……ネコさん大変でしたね。」
「今も大変なのであるが?」
「うふふ。でもネコさん動けないんでしょう?辛いものねー」
集落に戻り、ギィガの家にて、1人料理を作って待っていたラナイナにワイバーンの件について話すと特に驚いた様子もなく、いつもの微笑みを浮かべて聞いた。
今の吾輩はというと、昨日同様ティナに食べさせられている。いやまぁ、状況が状況であるから今回は甘んじて受け入れているのであるが。
それはいい。だが……!蒸された布に巻かれるというのは如何なものであるか!?あっつい!
「ラナイナ、この布はどうにかならないであるか?熱いのであるが。」
「ごめんなさいね、でもこうした方が早く治るらしいのよー」
それ民間療法って言うんじゃないであるか?
ま、まぁ魔力欠乏症経験者でしっかり者のラナイナが言うのであれば間違いないとは思うのであるが……それにしても熱いであるなぁ。よくティナは吾輩を抱えていられるである。
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――翌日――
あああああああああああ。体が動かないから分身以外のスキルの練習もできないし、汗がだらだら出て気持ち悪いしぃ。
良いことないである……おのれ、ワイバーンッ!あ、ティナ吾輩の事はいいから外で遊ぶがいいである。構うな構うな!
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――ワイバーン戦から2日後――
普通の人間が完治に3日程かかるらしい魔力欠乏症治ったである。
……マジか。
そしてこの完治した当日、丁度商人が来る日らしい。
タイミングいいであるな!助かるであるが!
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