トンボ、飛んだ

@tonboya

第1話トンボが止まった

 家の近くにあった庭園、そこでは夏の終わりが近づくと、たくさんのトンボが姿を現した。

 子供の頃の私は、そこで彼(女)らを捕まえて遊んでいた。特に虫網を使わず、素手で捕まえることに一種の拘りをもっていたものだ。

 そうしてトンボを捕まえて遊んでいたある日のこと。捕まえたトンボを逃がすと、そのトンボは一度逃げたかと思えば、突然Uターンして私の……あろうことか鼻の頭に止まったのだった。文字通り目の前で、いつも通り首を傾げるトンボに私はその場から動けなくなってしまった。

 結局そのトンボは、少しすると再びどこかへ飛び去ってしまった。彼がどうして私の鼻に止まったのか、その理由は未だにわかっていない……。

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