第382話 混ぜるな危険
『カツ丼』と『牛丼』
すでに完成されている、丼ぶり界の3すくみの2角である。
もう一つ、『天丼』である。
これらは絶妙なバランスで成り立ってる。
豚という、野良化するとすぐにイノシシに戻る危険を孕んだ家畜。
牛という、家畜の座に収まり切らない凶暴性を秘めた角持つ家畜。
この世の食材を衣という聖戦衣で包み込んでる食の昇華、天ぷら。
無限の可能性を模索し様々なバリエーションを産みつつ、原点に落ち着く。
揺るがぬ原点にして頂点。
それが丼ぶり3巨頭であり、キングが空席のまま争い続けるエンドレスワルツこそ丼ぶり業界なのである。
なのに…なのに…それなのに!!
某チェーン店が牛と豚を混ぜやがった!!
そんな共闘、誰も望んでいない…
海老もビックリだ。
大体、卵とじと生卵かけるんだから、おかしいだろ!!
なんかスクランブルエッグに生卵をかける暴挙だよ…
スクランブルに拍車をかけたら離陸失敗しますよ。
許されざれる暴挙…
神に反旗を翻すというのか…
この生鮮…いや聖戦の行方を我々は見ている事しかできぬのか。
神とは…
そう『卵』
豚に秘められたイノシシを封じ(卵とじ)
牛の突進を柔らかく受け止め(卵一丁)
自らも聖闘衣を纏い参戦する。(卵天)
誰が…神(卵)を射るのか…
聖戦は混迷を経て、その矛先を神へ向けてしまった…。
『豚』と『牛』…混ぜるな危険。
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