第312話 何度目だ

「100円でいいの?」

「はい、税込みで108円になります」

「コレ本当に100円」

「はい100円です」

「信用できない…」


 100円ショップのレジ、女子高生と思われるアルバイトと耳が悪いおばあちゃんの会話…かれこれ2分ほど、この会話が繰り返されている。

 すぐ後ろが僕で、その後ろ…見たくない…


「100円ね」

 おばあちゃんが100円玉を差し出す。

「いえ、税込み108円になります」

「ほら!! 100円じゃないじゃない、おかしいと思ったのよ!!」

 怒りだす、おばあちゃん。

「で…100円なの?」

「いえ108円です」


 財布をひっくり返して、8円を出そうとする。

「110円でいいですか、10円あるようなので」

「…………」

 ガン無視

 ずっと探す…探す…探す…

「後ろ並んでるから、先にやってあげて、早く!!」

「いえ…できませんので…110円でいいですか?」

「…………」

 頑なに無視


 5分以上経っている…

「無いわ!!」

「あと10円頂けますか?」

「なんで100円でしょ?」


(ふりだしに戻ったやないけ!!)


 長い買い物が終わり

 花だか野菜だかの種を買った、おばあちゃん

「100円で、芽がでるのかね? あー信じられない!!」


 最後まで捨て台詞…

 近所に住んでたら嫌だなと思った。


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