第193話 なんのつもりだ?

「バイト料が少ない」

 社長に文句を言う。

 僕から見れば、シフト枠に対して人数が多すぎるのだ。

 結果、全員思うほどに稼げない。

 まだ、深夜に出ている僕は競争相手が少ないからマシではあるが、それでも一人シフトは、それだけで楽ではない。

 とりあえず…ということで、風俗情報サイトのコメント承認の権限を貰った。

 嬢のフブログや動画が違法でないかチェックして、客のコメントを同様にチェックする、いわば内職みたいなものだ。

 1ポチ10円の地味な作業である。

 稼ぐ人は月に10万は稼いでいるようだ。

 滞納している税金も払わなくてはならないのだ、背に腹は代えられない。

 しかし、地味なうえにイライラする。

 個人的に送ってるならば問題無いのだろうが、不特定多数が閲覧するサイトに恋人のようなコメントを送るバカの多いこと。

「他の人と会わないで」

「客としか見てくれないんだね」


 気持ちは解らんでもない。僕も嬢に恋したツライ想いは理解できる。

 だが考えろ!!

 個人的な連絡先を教えてもらえないということは『客』でしかないのだという現実を…。

 個人的に連絡できるようになってから悩め!!


 ちなみにその手のコメントは全部、非承認だ。


 なにより可愛そうなのは、嬢から直々に非承認扱いされていることを知る由もない客が、一生懸命コメントを送り続けていることだ。

 手を下すまでもなく、非承認だ!!

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