第192話 バカのドミノ

 シャッターの壊れた部屋、点検中にして売らないのが一般的だと思うのだが、このホテルは違う。

「なんでもいいから客入れろ」

 コレが基本方針。

 水が出なくても、清算機が壊れていても、客を入れろ、モニターで事務所を監視しているオーナーと社長はソレしか言わない。

 当然、クレームは多い。

 クレーム処理はバイトが行うわけだが…なかには暴れる客もいる。

 昨夜も、そういう客がいた。

 関西弁で捲し立て、話しにならない。

 結局、警察を呼んだのだが、なんで自分が警察を呼ばれたか解らないと怒鳴る。


 デリヘル客というのは、なぜ、あんなに必死なのだろうか?

 目の前で僕に掴みかかろうとする客を見ていると不思議でしょうがない。


 押すなと書いてあるボタンを押し、シャッターが開かないから従業員出入り口から勝手に入り、殺すぞと喚く…この時点で、僕が警察に訴えると言えば、不法侵入と脅迫で逮捕の現行犯逮捕なわけだが理解していないのだろうか?


 客がバカなのも困るが…それ以上に困るのが、「対応悪かったんじゃないの?シャッター壊れてるの関係ないよね、ピンチをチャンスに変える対応してくれないと」

 輪をかけてバカがいるということだ。

 ピンチを自分で産み出してバイトにフォローさせるなよバカ!!


 ちなみに警察は「ああいうの多いんですか?やっぱり?」

 事務所で談笑していた。


 結局、どうしても帰らないと言うので、部屋を売ってデリヘルを隣の市から呼んでました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る