第47話 空港にて…

 何度目かの海外出張…空港にて、早めに搭乗手続きを済ませて香港空港を見物していた。

 空港って面白い。

 色んな国の人がいて、色んな施設があって、飽きない。

 イスラム教?の信者用にお祈りする部屋まである。

 僕は、海外の絵本を集めるのが好きだ、この日も何冊か購入した。

 英語がしゃべれない僕にとって、空港内は生きた英語学習の場でもある。

 色々買い物をすることにしている。


 3冊買うと1冊タダになるから、もう1冊買えと言っているのが解らずケンカになる…。

 ナゲットが小さいと文句を言う…。

 立ち入り禁止区域(なぜ禁止か解らない…)でくつろいで銃を突きつけられる…。


 色々な経験ができる。


 その日、香港の夕方の便で帰国予定だったのだが…。

 搭乗口で1時間前に待っていた…。

 なかなか搭乗案内が流れない…。

 離陸時間が過ぎた…飛行機が来ない…。

 若干の不安が過った…。

 思い切って、搭乗口の外国人に聞いてみた。

 チケットを差し出して、いつ飛ぶんだ?と…。

 外人の表情が変わった。

 少し待てと言われた、外国人は早口でどこかに電話している。

 ほどなく…通路の向こう側からキャビンアテンダントが3名走ってくる。

 綺麗な女性が、ヒールをカッコッと鳴らしながら、僕を指さす。

「Mr sakurayuki?」

「Yeah」

 気さくに答えた…

「Hurry up here!」

 鬼のような形相で親指をグイッと突き出す。

 走った…CA3人引き連れて…広い…広い…香港空港を走り抜けた…。


 そう…搭乗口が変更されていたのだ。

 英語で案内は流れたらしい…搭乗口変更の案内は掲示板でも確認できた…。

 惜しむらくは、僕がそういう事態を想定してなかったことだ…。


 通常の搭乗口は閉鎖されており、僕はパイロットが乗るゲートから機内に入った。

 ファーストクラスからビジネス、エコノミーまで、晒されるように歩かされる…。

 日本人の会話が聞こえてくる…。

「あの人、いたよね…最初の搭乗口に…」

 たまに舌打ちも聞こえる…。


 40分遅れでフライトしました…。

 羽田では、日本人はパスポートのチェックなしで通過できました…。

 緊急措置です。


 すいませんでした。


 でも…こう…なんか…日本に行く便なんだから…日本語で案内あってもいいんじゃないか!

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