第45話 俺、必要ないからさ

 久しぶりに友人と会った。

 彼は運送関係の仕事をしている。

 主に、コンビニにパンを配達しているのだが、コンビニで彼に出会った。

 偶然ではなく、彼の配達途中に連絡が来て、指定のコンビニに来いというのだ。

 丁度、近くにいたので、彼をコンビニで待っていた。

 彼は、廃棄する予定のパンを幾つか僕にくれた。

 不良品の予備でパンを持たされるのだが、毎度、余るのだそうだ。


 ありがたいが、惜しむらくはバリエーションが乏しい…というか1種類って…選べねぇ…。


「あと、コレ貰ったんだけどさ、俺には必要ないというか…まぁやるよ」

 と僕に栄養ドリンクを差し出した。

 箱入りの高そうなヤツだ。

「ありがとう、風邪っぽくてさ、助かるよ」

「風邪?うん…まぁ無理するなよ…じゃあな」

 彼は仕事に戻って行った。


 風邪薬と一緒に飲もうとドリンクホルダーに置いた。

 翌日、会社の昼休み、熱っぽいので薬と一緒に飲もうと箱を手に取って…。

「ん?…あれ?…これ違うな…なるほど…アイツには必要ないな…」


 それは…栄養ドリンクでは無かった。

 それは…精力増強ドリンクであった。


 紛らわしい…箱しやがって!

 飲んだことは無いが…効くのだろうか?

 いや…会社で飲まなくて良かった…本当に良かった…。

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