町の事件

 時間を少し飛ばして、数日後の話だ。

 畑に種を植えたり、他にどんな農具が出せるのかとかを少しずつ調べていたある日のことだ。

 遠くから、爆発音が聞こえて、思わず家の中から外にでる。


「なんだ!?」

「あっちは……町がある方向よ!」

「まさか、何かあったんじゃ……いや、これ何もないわけないよな」


 そんなふうに、慌てていると一匹のコンドルがやってきて、家の前の看板にとまる。その足には昔漫画とかアニメで見た、小さい手紙をいれる道具がついている。


「これは、ミラエの……はぁっ!?」

「な、なんだって?」

「ま、町に魔物が襲ってきたって……」

「町に戦える奴は!」

「元は大きな国で騎士をしてたけど、父親の容体が悪くなった時に帰ってきた奴がひとり……それ以外は知らないけど、少なくとも魔法とか魔物と戦えるほど狩りが上手い人がいるなんて聞いたことない」

「くそっ!」

「ど、どうするつもりよ! あんただって戦えるわけじゃないでしょ!」

「喧嘩ぐらいはしたことあるから、時間ぐらいは稼げるよ。それに農具の中に斧だってあんだしな!」


 俺はそういって、今は鍬となっている武具を手にとって町へ走りだした。


 町へと辿り着くまでに更に二度爆発が聞こえた。


「くそっ、遅かったか!?」


 所々の建物から火が上がっている。幸いにも町民の姿は死体としても生きているとしても見えない。逃げられたんだろう。


「ゴブッ……」

「ん?」


 そして、近くの壊れた家の中から、声が聞こえてそちらを向いた。その瞬間、家の中から緑色の二足歩行する何かが出てきた。

 顔などの形も整っていないが、左手には鉈のような武器を持っているし、大きさに対してはかなり筋肉質な体つきだ。


「もしかして、魔物とか魔族ってやつか……?」

「ゴブッ!!」


 勝手に声と見た目からゴブリンと仮定する。そいつは、俺に向かって走りだしてきた。

 身長差もあり、攻撃を躱すのは大して難しいことじゃないが、こっちも攻撃をしにくい。


「どら!」


 どうにかすきを突いて、蹴り飛ばす。だが、効いてるんだか効いてないんだかわからない雰囲気で立ち上がって、再びこっちに向かってくる。


「やっぱ、蹴りとか殴りじゃだめかよ!」


 といっても、鍬を斧にするの急いでて忘れちまってたし、そんな集中力別にあてられねえっての!

 だんだんと攻撃を躱しているうちに、後ろに追いつめられてしまっていて、もうすぐ家の壁だ背中に迫ってる。


「んっ?」


 だが、その家は崩れていた。それは追い詰められていたと思ったが、そんなことはなかったぜという状況を作り出す。


「ゴッブ!!」


 ゴブリンのおおぶりの攻撃を躱した後に、俺は両手で持つサイズの瓦礫を持ち上げて――ゴブリンの頭に叩きつけた。


「ブグゥ……」


 見た感じ、死んではいないが痙攣してぶっ倒れた。


「ふぅ……まだいるんだろうな。こいつら」


 俺は鍬と斧へと変えて、慎重の町中に更に入っていくことにする。

 とりあえず、コンドルを送ってきた?

 と考えれば図書館に避難して棚なり何なりで、バリケードを作ってる可能性はあるな。いくらなんでも町の中じゃ目立つ図書館がわからないこともない。遠目煙も上がってる様子はない、向かってみよう。

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