ブレイブ・ファクトリー~人形使いのRe:すりーぷ~

Yuyu*/柚ゆっき

あちゃ~、トラックの巣だったか

 どうも、大学3年の槍野康介やりのこうすけだ。アダ名はランサーだ。

 そんな俺は今、ひとり暮らしをしていて、テレビを見ている。

 世界が滅亡はしないが隕石が地球の何処かに近日中に落ちるという話題で持ちきりになっている。


「んなわけねえだろうに」


 真夏の暑い中、シャツもなし素肌にアロハシャツにジーパンという、謎な服装で家出ゴロゴロしてる。日曜日だから、まあ普通っちゃ普通だろ。

 飲み物が欲しくなって、俺が立ち上がり冷蔵庫を開けた――何も入ってなかった。


「くそっ、マジかよ」


 ちなみに暑いを言っても、実は夜だったりする。最近雨降ってることが多くて、湿気のジメジメした暑さが夜でも続いてるわけだ。


「うぅん……家からとどいたトマトから水分とりだすか? いや、んな面倒なことする気起きねえし、コンビニ行くか」


 頭をボリボリかきながら、俺は財布をズボンのポケットに突っ込んで外に出た。

 だいたい時間は8時くらいで、夏でも暗いな。


「うぅん、ちょっと遠いな」


 愚痴りながら、歩いている。ふと空を見ると、流れ星がいくつも流れてる――いくつも?


「ああゆうばあいは、大気圏近くをとんでる衛星なんだっけか?」


 若干怪しい知識を思い出したが、次の瞬間、大きな地震が起こる。


「うおっ!?」


 だが、揺れはすぐに収まった。それこそ、地震というより大きな何かが、落ちたような揺れだった。


「なんだなんだ?」


 スマホで今の速報を確認する――前に速報メールを受信して、地域一帯にも放送が流れる。


『東京都心に隕石が落ち、現在大規模な停電が起きております――』

「おい、マジかよ」


 詳しい状況を確認するために、一番近くの大通りに出ると、かなり混乱に陥っていた。

 隕石が落ちた時に、クレーターができたりするらしいけど、それが及んでない地域でも東京は東京だから当たり前だ。

 そして、その上で信号機がとまり交通機関も麻痺している。


「あぶねえ、兄ちゃん!!」


 そんな声が聞こえて、後ろを振り向くと危ない運転をしてるやつが歩道を突っ走ってやがり、俺に向かってきた。


「うおおおっ!?」


 俺は何を考えてたのか、横っ飛びでもなくバイクの前頭部を踏み台にしてジャンプしてそれを回避した。


「あぶねえ!!」


 そして着地したわけだが、場所が悪く車道で、しかも混乱している。今度は耳にクラクションの音が聞こえる。


「死んでたまるかぁ!!?」


 次は横っ飛びで軽トラをかわした。

 しかし、そこには――


「おっと……ここはトラックの巣だったか」


 トラックの群れが押し寄せてきていた――さすがにこれは俺も諦めちまうぜ。


「あ~。彼女がほしい人生だった――」


 その瞬間、体に鈍痛が走った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る