-2日目- 「リプレイ」
ピピピピピピピピピピピピ・・・。左手に握られたままのスマートフォンが、いい加減早く停めてくれと言わんばかりに、けたたましくアラーム音を鳴らし続けている。
ハッと我に返ったわたしは、ようやく動いてくれた右手によって、賑やかしいスマートフォンの口を閉じさせる事が出来た。
その後の幾つかの展開は、大方の予想がつく通りで、バスルームでは冷水シャワーを頭から浴びて悲鳴を上げ、真っ黒焦げなトーストを前にして、呪いの言葉を唱えた。
仕方がない。まだ“この時点での”わたしは、同じ日の同じ時間を繰り返しているなどとは、夢にも思っていなかった。
単なる奇妙な偶然の一致だろうと、高を括っているその程度の認識でしかなかったのである。
もしかしたら、「見て見ぬ振り」という行動は、昨日と今日のわたしの身に起きた場合と同じように、違和感の発生とその事象を眼の前にしても、直感的にその気づきを拒否しようと妨げる人間の防御本能なのかも知れない。つまりは、対処の難しい生理的現象を感じ取った場合に、まだ考える事を始める前の原始的な人間がまず最初に取るべき自分の身を守る行動姿勢とも言い換えられるかも知れないと感じられた。
勿論、それは何度も何度も同じ時を繰り返してきた、“今の”わたしだからこそ、言える境地である。
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