四:窓に

 やれやれ、四つ目か。

 あぁ、なんかいよいよ降りそうな感じだな。さっさと終わらせるか。


 ……おい、お前うしろ見てみろ。うしろの窓だよ。


 ……。

 …………。


 あん? なにもないって?

 だろうな、別になにかあるなんて言ってねーだろ。


 でもな、この学校にゃたまに窓から覗いてくる化け物がいるんだよ。そいつにはいつ会えるのかわかんねぇ。

 夜かもしれないし、真昼間かもしれない。

 新月の日かもしれないし、満月の日かもしれない。


 いつ会えるかはわかんねーが、奴は確かにこの学校に棲んでる。


 だけどよ、あいつを探そうなんて思わねーこった。あいつはそこらの幽霊に比べて格段に質が悪い。


 ひどい寂しがり屋で、自分を見つけたやつを気に入ってなにがなんでも自分のところに引き摺り込もうとしちまうからな。

 だから、むやみやたらに窓を見るもんじゃない。授業中とか、暇だからってぼーっと窓を見るなよ。


 ふとした瞬間に、あいつは姿を見――おい、今なんか横切ったよな。いや、気のせいか。そんなタイミングよく現れるわけねーな。


 まぁ良いや、とにかくこの学校には寂しがり屋の化け物がいるから気を付けな。

 それが四つ目の話だ。今度は短くて良かったろ。別に手抜きじゃねーよ。マジでこれ以上はなんもわかんねー。謎の多い化けもんな――おいウソだろ、マジか。


 おい絶対うしろ向くなよ。フリじゃねぇって、絶対向くな!

 今、お前のうしろの窓に! 窓に!


 ……。

 …………。


 あん? クトゥルフ?

 知らねー、そのクトゥルフってのがパクったんだろ。うっせー次だ次。


 あ、マジで今日は窓は見ずに帰れよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る