Re:born

八月

第1話あなたが呼んだから、わたしはここに来た。

あなたが呼んでくれたから、

わたしはここに来た。


201※/7/※※


am:7:00

目を開けるといつもと変わらない

窓辺。外から見えるのは海と船。

僕はこの街が好きではなかった。

魚臭いし何より不便の極みだ。

某人の”おらさ東京さ行くさ”

が心に沁みる僕の頭はおそらく

末期。ってほざいてる間にも

遅刻ギリの時刻だよ…


am7:15


自転車で安国寺を走り抜けたら

あと少し…で急カーブ

ここをドリフトするのが唯一の

自慢だった。これはプロに

勝るとも劣らない特技っと言っても

過言ではなかったし、周りの奴らもここだけは賞賛してくれた。

いつものようにドリフトをかまし

学校に遅刻2分前で到着……ふぅ…


教室から見える島はいつもと

変わらず軽率に澄んでいて。

初見者は綺麗だと思うんだろな

僕の頭は今日の課題で

埋まってるからね

『おい網谷‼︎』担任の怒鳴り声…

あっ…課題終わってねぇ…

『はい…』終わった………


みっちり絞られて教室へ帰ると

クスクスと笑い声

『笑ってろ…』

ったくあの担任も担任だ、

国語教師はどうしてあーお堅いのか

空を眺めて目を閉じた。



『祐!祐 !』友人の笑い声

『ぁ…?』不機嫌そうに顔を上げる

『まじドンマイな(笑)』こいつ煽ってがる…それも小学生レベルの会話で

『わかってんなら、ほっといてくれ。』無愛想に僕が言う。

『悪い、悪い』ぶっきらぼうに言う

こいつ…本気で悪いと思ってるのか…?そんな他愛もない会話を

しているうちに学校は終わってた


6時限目まで凡庸的に終え、

部活をして、学校を出た。


pm7:15

安国寺の坂を登り下り繰り返し

あの急カーブに差し掛かる。

帰りはこのカーブは登りだし

全く気にも留めない帰り道だった

ただ何故か今日だけは、意地だけでペダルを漕いでいた。

多分、今朝の不満が原因だ。

ペダルを漕ぐ足の痺れと

目に滴る汗で視界がぼやける。




ーー今日を迎えたその日から

これは決まっていた。ーー






『そう、今日、僕は死んだんだ。』




急カーブが差し掛かった瞬間目の前が光に包まれた。その瞬間僕は自転車と共に崖から転落した。













気がつくと僕は見慣れない公園のベンチで寝ていた。





『いってぇ…あれ…?夢…?』

見慣れない制服を羽織った僕は

周囲を見渡した。都会…?都会か…


都会…⁉︎


小さく錆びれた公園の周りには集合住宅地。あれ…?なんだよ…

どうなってんだよ…⁉︎

やけに肌寒い。それに雪。

7月だぞ…⁉︎ポケットから落ちた

学生証を拾った。





”高梨 栞”……たかなし…しおり?


そうか…俺は高梨栞だ。


じゃあ網谷祐って…?


あれ…?あみや…ゆう…って


誰だ…?



降り出した雪は、7月に生きた

俺にはやけに

眩しく、懐かしくて。







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