【クロイドー欠片の在処―】

伊勢早クロロ

序章

 それは普段と変わりのない、ただいつもより幾らか明かりが少ないであろう夜中に遂行された。

 日本が安寧に保たれているのは軍のおかげである。という洗脳に近い教育が施されてからすでに半世紀が経とうとしている。多くの国民は容易く錯覚を起こしながら、表面上の平和を貪っていた。

 愚民というには純粋すぎる国民の、果たしてどれだけがこの夜の出来事に気がついていただろう。おそらく誰一人として気にかけた者はいなかったに違いない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る