第709話

 弟子ではない。

 ただその技を勝手に朝倉が盗んだだけだ。


 そう言い切ったドワーフのギムレットであった。

 だが――どうしてか、ノエルの修行については、妙に乗り気な表情を見せた。


「軟弱そうな弟子だな」


「失礼な!! 柔軟と言ってください!!」


「面白い、こいつがどこまでモノになるのか、試してみたいという気にはなる」


「だろう」


「ならないでください!! 結構ですから、ノエルは頭脳派魔法使い――そう、インテリジェンスな知的で聡明な感じのノリで行くのです!!」


「はっはっは、俺の弟子なのにそんなのになれる訳ないだろ」


「はっはっは、この脳筋馬鹿女の弟子が、そんなのになれるわけないだろ」


 意外とこの師匠たち、考えていることが似ている。


 ノエルの抵抗は虚しく終った。

 かくしてあっさりと、彼女はギムレット一時預かりという形になり、弟子に出されることになったのだった。


「ふぅ、これで当面、あいつの相手はしなくていいから、仕事が捗るぞ」


 と、朝倉。

 実は結構、勢いとノリで彼女を弟子にやったのは、内緒であった。

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