第460話
「駆けつけてくれたのは嬉しいが、素人に原稿を任せる訳にはいかない。サインでもなんでもやるから帰ってくれ」
「気遣いは無用ですよ師匠!! 師匠はノエルの心の師匠なのですから――たとえ初対面でも、強い絆で結ばれているのです!!」
「――どうしよう、南条、この娘、怖い」
「――ドア破って入って来た時点でおっ察しするべきですわ」
どうしようかこれ、と、やる気満々のノエルを前に辟易とする二人。
可憐な少女が部屋の前で息巻いているその光景は、遠目に見るとほのぼのとしたギャグマンガの一コマだが、吹き飛ばされた扉やら光のない瞳やらを一緒に勘案すれば、ばっちりとホラーな光景である。
もちろん、この作品がギャグ魔法小説の特別篇で、彼らが実際別世界で、実の師匠と弟子だと言うことを知っていれば――話は別なのだが。
「子供だからな、警察に通報するのもどうかと思うし」
「ここはひとつ好きに描かせて、満足させて帰らせるというのはどうです」
「それでいこう」
予想だにしない展開に思わず弱気になった三十路女二人は、十代の少女に押し切られる形で、しぶしぶ原稿を任せることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます