トモダチつくろう
粟国翼
胴
胴
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ゴリゴリ。
みんながいうの。
ゴリゴリ。
死ねって。
ほかにもね。
キモチワルイ。
バイキン。
クサイ。
デブ。
キタナイ。
ニキビ。
オブツ。
ゴリゴリ…ガリッツ。
今日ね、落としたけしごむ拾ってあげたら『ともこちゃん』が泣いちゃった。
もう触れないって、大事にしてたのに弁償しろって。
私が触ったものに触れないのに弁償しろって変だよね?
お金には触れるのかな?
泣いちゃったからみんなが言うの謝れって。
私くさいかな?
手はも体もちゃんと洗ってるの。
顔のニキビも薬もぬって毎日ちゃんと洗ってるけどどんどん増えるの。
先生にもちゃんと顔を洗いましょうね清潔にねって言われちゃう。
もう、ニキビの汁は出ても顔の油なんてなくてかさかさなのにね。
だから私には誰も話しかけないの。
じっとじっとして息を殺して透明になるの。
ずっと寂しかった…だから考えたの!
友達がいないなら『つくれば』いいんだって!
ゴトン。
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「豚!」
「死ね! 死ね! 死ね!」
「キタナイ! 死ね!」
廊下を歩くと、男の子が3人すれ違いながら言う。
おはおよう。
声に出さないで私は挨拶する。
「こっちみんな! 腐る!」
「キモイ声で喋んな! 息すんな! 汚染される!」
わんわんわんんわん耳に響く。
何も見たくないし、なにも聞きたくないの奇遇だね…できれば息もしたくないけどそれは仕方ないのごめんね。
生きていてごめんね。
死ねなくてごめんね。
出来るだけ声も出さないし、動かないし、見ないようにするから、音だけ聞かせて。
みんなが楽しそうにしゃべっている声。
それだけで、空想できるから。
それだけで良いって思ってたのに…。
「はーい! みなさーん! 今日からこの6年3組のクラスの仲間になる殿城ゆう《とのしろゆう》さんです!」
私の耳に先生の声。
「殿城ゆうです! 東京から来ました! よろしくお願いします!」
可愛い女の子の声。
私はちらっと教壇をみる。
ボブヘアーの女の子。
私と同じくらいニキビもある太ってる子。
「じゃ、殿城さんはあの空いてる席に座ってね!」
先生に言われてその子は、机の間をずんずんあるいて来て、どさって赤いランドセル机に置いた。
「よろしくね!」
「…」
「え、と、よろしくね?」
「…」
「あんたに言ってるんだけど?」
へ?
「ごめんだけど、教科書みして」
その子は、言うけど教科書…マジックでバカとかシネとかいっぱいで塗りつぶされてて見せるの恥ずかしい…。
「もしかして忘れたの? 困ったな…って持ってんじゃん!」
ごつん!
机、くっつけてきた?!
机の上に出しっぱなしだった国語の教科書みつけて、机ごつんて!
「けちけちしないで見せてよ!」
「…!」
あっ。
「…は? なにこれ?」
ひょいって、取られた国語の教科書。
表はカッターでズタズタのをセロテープでとめた上にマジックで『ブタ』中もマックでボロボロ…恥ずかしい…見ないでよ…!
「さいてー」
ぱたんって教科書を閉じたその子は、そのままだまって黒板の方をむいちゃった。
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