鉄の掟
@higanbana
第1話 きっかけ
僕はとある高校に通い、とある夢をかなえるために日々勉学に励んでいる。
今日から新学期。二年になり新しいクラスに少しわくわくし、でもどうでもいいような中途半端な気持ちで通学路を歩く。
「よっ!おはよう。智。どうした?そんなくらい顔して。あ、もしかして朝まで宿題やってた?だったら俺と一緒だな。」
ほんと、朝からテンションの高い者はすごいと思う。うざいを通り越して尊敬してしまう。こいつは一年のとき同じクラスだった、斉藤 翼。その名前から予想できるように、サッカー部だ。
「今年も一緒のクラスだったらいいなぁ!」
「おう」
智はすこしめんどくさそうに返事をした。
満開の桜が並んでおり、校庭には桜の花びらが落ちていた。校舎は明日の入学式の準備がほぼ完成しているように見えた。
校門をとおり、生徒昇降口までは少し距離はある。40メートルほどの距離だが、今日の智にはもっと長く感じられた。それもそのはず。今回のクラス替えで残りの高校生活が決まるといっても、過言ではないからだ。智がかよう高校は、二年生で文理選択があり、その関係でクラス替えがある。そして二年生の時点のクラスで卒業まで行くという流れである。智は一年のとき隣のクラスの佐藤 麻衣に一目ぼれしてしまったのだ。そして文理選択のときに、麻衣が理系に行くことしり先生の反対を押し切って、理系を選択したのである。
昇降口の前がいつもより騒がしい。クラス替えの結果を見ている生徒がたくさんいた。中には泣いて喜んだり、抱き付き合ったりしている人たちもいたが、智には関係なかった。目的はひとつである。
全部で八クラスあり、文型が五クラスまで、理系が六、七、八の三クラスある。智は六組から順に目を通した。
「六組には・・・ない。」
そんな時後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「智!一緒のクラスだぞ!やったな。これで三年間俺たち一緒だぜ!」
声の正体は翼だった。翼とは特別仲がいいとはいえなかったが、いい友達とは思っていたので、普通にうれしく思えた。
「あ!そうだ。おまえ残念だったよなぁ。佐藤さん。八組だって」
その言葉を聴いたとたん、周りの音がどんどん聞こえなくなっていった。
教室に入るともうほとんどの人が教室に集まっていた。結局一年のときのクラスメイトは翼だけ。そして、目的だった麻衣とも違うクラス。おかげに席は一番前。波乱の幕開けだった。
始業式があってからもう二週間が経過した。最初は緊張感のあったクラスの雰囲気が少しずつ和らいでいった。翼はもう四、五人中のいい友達ができている。そんな中自分はまだ友達ができていない。
「おい。まだ佐藤さんと一緒のクラスになれなかったの落ち込んでるのか?いい加減切り替えろって!ほらっ、加藤さん目立たないけど美人だぞ。理系の女子は貴重なんだ。ちゃんとお近づきにならないと。な。」
「うるさいな!ほっといてくれよ。」
少し強い口調で言ってしまった。翼は何もいわず席に戻っていった。
それから数日、翼とは会話がない。謝ろうという気持ちはあるのだけれども、照れくささが勝ってしまっていた。
放課後、翼を教室に呼んだ。
「どうしたんだよいきなり呼んで、俺サッカーあるから用があるなら早くしてくれよな。」
「ああ・・・」
どうしても智は素直のごめんがいえなかった。
「この間のこと気にしてるなら、そんなのぜんぜんいいよ。俺も気に障ることいったん出し。ただ、一箇所だけいってほしい場所があるんだ。」
唐突に翼にいわれた場所は、二年九組のクラスだった。三年前までは九クラスあったみたいだけど、今は使われていない教室だった。智は、すこし恐怖心を持ちながら、ノックをした。
「はい」
智はびっくりした。使われていない教室に人がいることにも驚いたがそれ以上に、返事の声に聞き覚えがあった。やさしくて、透き通ってる声。間違えない。麻衣の声だ。智は確信した。
鉄の掟 @higanbana
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