「僕と猫」
山猫スミエ
「僕と猫」
僕の勤める小さな町の小さな駅。そこには一匹の猫が居る。
そいつはどこにでも居そうな白猫だ。
そいつは僕が駅に来ると決まって傍に寄ってくる。
でも、餌をねだるでもなく足に擦り寄るでもなく僕の横に
ちょこんと居るだけだ。
僕が動くとそいつも動く 僕が止まるとそいつも止まる
駅長やお客さんはまるで親子みたいだと言って笑った。
皆、僕の後を着いてくるそいつが好きだった。
僕もそいつが好きだった。
何度かそいつを家に連れて帰ろうとした。
でも、そいつは僕が抱いて帰ろうとすると逃げて行く。
ほっとけば着いてくるのかと思ったが何日経っても家まで着いてこない。
どうすれば良いだろう?
僕は思わず駅長に相談してみた。すると、駅長は笑って言った。
一緒に帰ってやれば良い。
その日、勤務を家に帰ろうとした時。僕はそいつに向かって言った。
じゃあ、帰ろうか。
猫は待ってましたと言う様に目を細めてにニャーと鳴いた。
いつも1人の帰り道でも今は1人じゃない。
月明かりを街頭代わりに僕と猫はゆっくりと家路を歩いた。
「僕と猫」 山猫スミエ @yamanekosmis
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