受信料徴収員 ★★★★ ★★★(完)

 7日目。


 一日無断欠勤した武を心配した同僚は、翌日の夕刻に武の部屋を訪れた。

 扉をノックしても、携帯電話にも出ないのだが、駐車場に車はある。どうしたものかと考えたものの名案を思い付かなかった同僚は一旦引き上げようした時。


 部屋からすさまじい声が上がった。


 ただ事ではないと思った彼は警察に110番、マンションの周辺はパトカーと救急車が駆けつける騒ぎとなった。

 聞きつけた人ならざる声について必死に説明する武の同僚、なに事かと野次馬がマンション周辺で様子を見守る中、警察官はドアをノックして呼びかけたものの、部屋の住人から返事は帰ってこない。

 警察官は大家を促しどのカギを明けさせる、恐る恐るドアのカギをマスターキーで開ける管理人。


 ドアをそっと開け、中の気配をうかがうも、何かが飛び出して着たり、動く気配は感じない、慎重に扉を開け踏み込んだ警察官達は驚愕した。

 何があったのか全く想像がつかない、部屋の中は竜巻でも吹き荒れたがごく滅茶苦茶になっていた、、、、、、、



 主婦は近所で起こった怪事件の新聞記事を読んでいた。

 紙面で詳細は伏せられているが、知人づてに聞き及んだ話では発見された被害者の姿との部屋の有様、、、、、、、


 特に被害者の死に方が尋常じゃないと言う事は良く解ったがにわかに信じがたくもあったが、、、、、、、主婦友の話を思い出しただけでも彼女は背中に「ゾクッ」と寒気が走る、一人で家にいる事が急に不安になった。

 時計に目をやるともう夕食時はとっくに過ぎている、夫はまだ仕事から帰らない。

 テレビの映りが悪くなったのを相談するつもりだったのだが、、、、、、、片付けモノが遅くなる事と連ドラが視れない事に不満の鼻息が出る。


 不意にドアインターホンのベルが鳴る。主婦は心臓が口から飛び出るかと思うほど驚いた。


 夫が帰ったと思いドアカメラの画像を確認した主婦だが、知らない人影が写っていた。

 カメラ越しに人相風体は判別しにくいが、人影は身分証をカメラにかざしインターホン越しに丁寧な口調で用向きを告げて来た。


 「夜分遅くすみません。私、蓮田と申します。皆様の放送局、、、、」


 主婦はため息をつく、ウチは口座引き落としだ!


 文句を言ってやろうと思ったが、ふとテレビの映りについて少し相談する事を思い付いた、、、、、、、




 「受信料徴収員」 完

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